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遺品整理で捨ててはいけないものリスト|選定のコツも解説

遺品整理で捨ててはいけないもの

故人が残したものを整理する遺品整理では、すぐに捨ててはいけないものがあります。

そのことを知らずに捨ててしまうと、遺族や親族間でトラブルが発生するおそれや税金などの手続きの際に書類が不足してしまうことがあるでしょう。

本記事では、遺品整理を行う際に捨ててはいけないものをリスト化して解説します。

本記事を読むことで、相続のトラブルを避けたり手続きに必要な書類を処分せずに済んだりするので、遺品整理を行う人は参考にしてください。

記事監修者プロフィール

遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。

遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)


株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井

目次

遺品整理ですぐに捨ててはいけないものリスト

遺品整理

遺品整理ですぐに捨ててはいけないものは大きく分けて、以下の5つに分けられます。

  1. 重要書類
  2. 個人的価値がある品
  3. 財務価値があるもの
  4. コンピュータやハードドライブ
  5. 家族にとって重要な物品

それぞれにどのようなものが含まれるのか、詳しく内容を見ていきましょう。

重要書類

重要書類に含まれるのは次の7つです。

  1. 遺言書や信託に関する文書
  2. 生命保険の証券や年金の書類
  3. 銀行口座の情報、株式や債券の証書
  4. 不動産に関する権利書、契約書、抵当書
  5. 税金関連の記録や確定申告の書類
  6. 車や大型機械の登録証明書と保険書類
  7. 過去の医療記録や医療保険の情報

それぞれが重要な理由を、詳しく見ていきましょう。

遺言書や信託に関する文書

遺言書や信託に関する文章は、相続に関わることが記載されているため、絶対に捨ててはいけません。

遺言書や信託に関する文章を捨ててしまうと、相続に関することが分からなくなり、遺産分配の時にトラブルへ発展してしまいます。

また、故意に遺言書や信託に関する文章を破棄すると、罪に問われる可能性もあるのです。絶対に遺言書や信託に関する文章は捨てないようにしましょう。

生命保険の証券や年金の書類

生命保険の証券や年金の書類は、後で手続きをすることがあるため、捨ててはいけません。

生命保険の証券は保険会社へ死亡保険金を請求する際に、年金手帳などの年金に関する書類は受給していた年金を止める際に必要です。捨てると手続きがスムーズに進まず困ってしまうでしょう。

なお、日本年金機構にマイナンバーを収録している場合には、未支給年金の届出などの一部を除き、原則年金の手続きは不要です。

銀行口座の情報、株式や債券の証書

銀行口座の情報や株式・債券の証書は、相続に関係するため、捨ててはいけません。

銀行口座の情報は、故人が残した通帳からお金をおろす際に必要です。捨ててしまうとキャッシュカードの暗証番号などが分からず、遺産分割を終えた後にお金を引き出せないでしょう。

また、株式・債券の証書は遺産分割を終えた後、名義人を変更する際に必要です。こちらも捨てずに残しておきましょう。

不動産に関する権利書、契約書、抵当書

不動産に関する権利書・契約書・抵当書は、相続に関係するため、捨ててはいけません。

不動産は相続の対象にあたるため、関係書類を処分してしまうと相続の手続きがうまく進まず、トラブルに発展する可能性があります。

不動産の名義変更や売却の際には関係書類が必要になるため、必ず捨てずに取っておきましょう。

税金関連の記録や確定申告の書類

税金関連の記録や確定申告の書類は、準確定申告の際に必要なので捨てずに取っておきましょう。

準確定申告とは、故人の代わりに相続人が故人の確定申告を行うことです。相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に行わなければなりません。

準確定申告が遅れてしまうと無申告加算税や延滞税を支払わなければならないため、必ず税金関連や確定申告の書類などは取っておき、早めに手続きを済ませましょう。

車や大型機械の登録証明書と保険書類

車や大型機械の登録証明書と保険書類は、相続と関係するため、捨ててはいけません。

車や大型機械は相続の対象となり、登録証明書や保険書類は相続した後の名義変更の際に必要な書類です。捨ててしまうと書類を再発行する必要があり、余計な手続きをしなければなりません。

手続きを増やさないためにも、車や大型機械の登録証明書と保険書類は、必ず取っておくようにしましょう。

過去の医療記録や医療保険の情報

過去の医療記録や医療保険の情報は、準確定申告の際に必要なので取っておきましょう。

先述した通り、故人に代わって行う準確定申告では、医療費控除や生命保険料控除があります。

故人が亡くなる前にいくら医療費を支払ったのか分かる医療記録や医療保険の情報は捨てずに取っておき、準確定申告の際に申告するようにしましょう。

個人的価値がある品

個人的価値がある品は、次の3つが考えられます。

  • 家族の写真やアルバム
  • 手紙、日記、個人のメモ
  • 個人的なコレクションや芸術作品

なぜ、これらを捨ててはいけないのか、詳しい内容や理由を見ていきましょう。

家族の写真やアルバム

家族の写真やアルバムは、人によっては思い出が詰まった大切な品なので、勝手に捨ててはいけません。

故人との写真やアルバムが不要だと思う人がいる一方で、それらを故人との大切な思い出として心の拠り所にする人がいます。

許可を取らずに勝手に処分すると、ほかの家族を傷つけるおそれがあるでしょう。

写真やアルバムはデータがあるならともかく、なかには復元できないものもあります。整理する際には、ほかの家族に残しておくのか尋ねるようにしましょう。

手紙、日記、個人のメモ

手紙や日記、故人のメモは写真と同様に、人によっては大切な思い出の品のひとつなので、勝手に処分してはいけません。

写真やアルバムだけでなく、故人が残した手紙や日記、メモまで大切に思う人がいます。もし、許可を取らずに勝手に捨ててしまっては、その人たちを傷つけてしまうおそれがあるでしょう。

特にこれらの品はデータがないため二度と復元できません。捨ててしまうと取り返しがつかないため、よく注意するようにしましょう。

個人的なコレクションや芸術作品

故人が芸術品などを集めていた場合、人によっては集めていたコレクションを見て故人を偲ぶことがあるでしょう。確認せずに捨ててしまうと、ほかの家族を悲しませるおそれがあります。

また、芸術品によっては資産価値があるかもしれません。その場合、相続の対象となるため、勝手に捨ててしまうとトラブルへ発展する可能性があります。

財務価値があるもの

財務価値があるものは、次の5つが挙げられます。

  1. 現金、小切手、貯金通帳
  2. 金庫の中身や鍵
  3. 宝石や貴金属
  4. アンティークや価値のある収集品
  5. デジタルアセット

これらの財務価値があるものを捨ててしまうとどうなるのか、詳しい内容を見ていきましょう。

現金、小切手、貯金通帳

現金・小切手・貯金通帳は相続の対象になるため、絶対に捨ててはいけません。

現金・小切手・貯金通帳を勝手に捨ててしまうと、遺産分割する際に家族や親族と揉めてしまう可能性があります。また、トラブルになるだけでなく、現金は法律で捨ててはいけないと定められているのです。

遺品整理の際には、ほかの遺品と混じって捨てないよう、細心の注意を払いましょう。

金庫の中身や鍵

金庫の中には資産価値の高いものが入っている可能性があるため、中身や金庫を開ける鍵を捨ててはいけません。

通常、金庫の中には盗まれたら困る資産価値の高いものを入れている可能性があり、相続の対象になることが考えられます。

相続の対象である以上、勝手に捨ててしまうと遺産分割の際にトラブルへ発展する場合があります。金庫の中にどんなものが入っていても、勝手に捨てないようにしましょう。

宝石や貴金属

宝石や貴金属は相続の対象になる可能性が高いため、遺品整理の際に捨ててはいけません。

宝石や貴金属は高額で売却できる可能性が高く、なかには相続の対象になるものがあります。個人の判断で捨ててしまうと、後で高額で売却できることが分かり、ほかの家族と揉めてしまうことが考えられるでしょう。

宝石や貴金属はどんなものでも発見したら取っておき、後で価値があるのか調べてもらうことが大切です。

アンティークや価値のある収集品

アンティークや価値のある収集品は、相続の対象になる可能性が高いため、勝手に捨ててはいけません。

アンティークや収集品のなかには、宝石や貴金属と同様に、資産価値が高いものがあります。もし、高値で買取してもらえるなら、相続の対象になるでしょう。

価値がないように見える収集品でも、プロの目利きに見てもらうことが大切です。ちゃんと価値を把握して、ほかの家族とどうするのか話し合うようにしましょう。

デジタルアセット

デジタルアセットは相続の対象になるため、データが入っているパソコンやスマートフォンを勝手に処分してはいけません。

デジタルアセットとは、仮想通貨やNFTのようなデジタル上の資産を指します。目に見えづらい資産ではありますが、資産価値が高いものがあり、相続の対象になることがあるでしょう。

そのため、デジタルアセットを管理しているようなパソコンやスマートフォンは勝手に捨てると、資産の内容が分からなくなってしまいます。パソコンやスマートフォンは捨てずに取っておきましょう。

コンピュータやハードドライブ

コンピュータやハードドライブに含まれるものは、次の2つです。

  • USBドライブや外部記憶デバイスに保存された情報
  • オンラインアカウントやパスワードリスト

なぜ、これらを捨ててはいけないのか、詳しい内容や理由を見ていきましょう。

USBドライブや外部記憶デバイスに保存された情報

USBドライブや外部記憶デバイスに保存された情報のなかには、重要な情報が入っている可能性があるため、勝手に消去しないようにしましょう。

USBドライブや外部記憶デバイスのなかには、家族との写真のデータや勤めていた会社の資料など、重要なデータが保存されている可能性があります。勝手に捨ててしまうと家族を傷つけたり会社に損害を与えたりすることがあるでしょう。

家族との写真のデータなら家族と、会社の資料なら勤めていた会社と相談して、どのように処分するのか話し合うことが大切です。

オンラインアカウントやパスワードリスト

オンラインアカウントやパスワードリストのなかには、デジタルアセットのデータが含まれている可能性が考えられます。

もし、これらのデータを消去してしまうと、どんなデジタルアセットが残されていたのか分からなくなり、遺産分配の際にトラブルになってしまうでしょう。

残されたアカウントやパスワードリストの内容が分からなくても、消去せずに取っておき、後で調べることが大切です。

家族にとって重要な物品

家族にとって重要な物品は、特に決められたものがあるわけではありません。しかし、次の2つに該当するものは、家族にとって重要な物品である可能性が高いでしょう。

  • 家族が選ぶ、感情的な価値がある物品
  • 他の家族がほしいと思うかもしれない品々

それぞれにどんな物品が想定されるのか、詳しい内容を解説していきましょう。

家族が選ぶ、感情的な価値がある物品

家族が選ぶ、感情的な価値がある物品を勝手に捨ててしまうと、あとで家族間でトラブルに発展してしまうことがあります。

故人が残した物品のなかには、思いがけないものがほかの家族にとって思い出の品であることが考えられます。そのような物品を独断で捨ててしまうと、「捨ててほしくなかった」と責められ、トラブルになることがあるでしょう。

そのため、自分にとって価値が見いだせないような物品でも、ほかの家族に残すかどうかしっかり確認をとることが大切です。

他の家族がほしいと思うかもしれない品々

故人が残した物品の中には、感情的に価値がないものでも、ほかの家族が「ほしい」と思う物品があります。

例えば、まだ使えるような家電や衣類は、人によっては処分するのをもったいないと思い、「使用できるならほしい」と考える人がいるでしょう。

そのため、まだ使用できる物品は勝手に捨てず、ほかの家族のメンバーへどうするか聞くことがおすすめです。

また、処分せずにリサイクルすることで処分費用を減らせるほか、環境保護にもつながります。できるだけ処分する物品は減らしたほうがいいでしょう。

亡くなった人の衣類の処分時期

衣類

亡くなった人の衣類に限らず、どのような遺品でもなるべく早く遺品整理を行うことが大切です。

故人の準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告しなければなりません。
また、相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告する必要があります。

そのため、なるべく早く遺品整理を行い、それぞれの手続きに必要なものを分けなければなりません。

もし、遺品整理を行うタイミングに悩んでいたら、四十九日法要の後がおすすめです。このタイミングなら、遺族や親族が集まっているほか、気持ちの区切りとしてもちょうどいいでしょう。

亡くなった人の物を捨てられない時

遺品整理を進めていくと、故人との思い出がよみがえり、物を捨てられないことがあります。そのような時には、次の3つの方法をとるといいでしょう。

  • 時間を置いてみる
  • 手をつけられる物から始めてみる
  • 遺品整理業者を利用する

それぞれの具体的な内容やおすすめの理由を解説していきます。

時間を置いてみる

遺品が捨てられない時には、時間を置いてみることで気持ちに区切りをつけられるでしょう。

遺品が捨てられない理由に、気持ちに区切りがついていないことが考えられます。

そのような時には、あえて時間を置くことで時間が心の傷を癒して解決してくれることがあるでしょう。

どのくらいの時間を置くことで気持ちに区切りをつけられるかは、人によって違います。準確定申告や相続税の申告に支障をきたさない範囲で、気持ちに区切りがつけられるように時間を置いてみましょう。

手をつけられる物から始めてみる

時間が差し迫っているなら、まずは手を付けられるものから始めると、捨てられなかったものが捨てられることがあります。

手を付けられるものから処分を始めると、部屋の中がきれいになっていくことで、次第に達成感が得られます。

そのうち気分が晴れやかになっていき、捨てるのに躊躇していたものを捨てられるようになっているでしょう。

まずは、小物や衣類など手をつけやすい物から始めて、ポジティブな気持ちに切り替えることが大切です。

遺品整理業者を利用する

遺品整理を行う時間がない場合や気持ちに区切りがつかない場合には、遺品整理業者を利用することがおすすめです。

遺品整理は時間がかかるうえに、思い出が詰まっている品を処分することで、作業を行う人に精神的な負担がかかります。作業を進めていくうちに、どんどん気持ちがつらくなってしまうでしょう。

遺品整理業者へ依頼をすればプロが迅速に整理してくれるうえ、他者に作業を行ってもらえることで精神的な負担が軽減されます。遺品整理がどうしてもつらい場合には、遺品整理業者の利用を検討しましょう。

まとめ

遺品整理を行う際、どのような品に価値があるのかは人により違いがあります。

本記事で解説した重要書類や個人的価値がある品、財務価値があるもの、コンピュータやハードドライブ、家族にとって重要な物品などは、勝手に処分するとトラブルへ発展する可能性があるでしょう。

関連記事:デジタル遺品とは?トラブル事例や整理方法について解説

もし、自身で判断がつかなければ、プロの遺品整理業者にお任せすることがおすすめです。遺品整理業者なら、知識や実績に基づいて資産価値があるものを見つけ出して仕分けてくれます。

プロに任せることで家族や親族間とのトラブルを避け、穏やかに遺品整理を終えられるでしょう。