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故人の整理について|進め方やタイミングについて解説

故人整理

故人整理とは、亡くなった方(故人)の残された品物や各種手続きを整理し、今後の相続や生活の負担を軽減するために行う作業全般を指します。

一般的には「遺品整理」や「遺産整理」と混同されがちですが、故人整理はそれらを含めたより包括的な概念です。

遺品やデジタルデータなどの形あるものだけでなく、契約の解約や各種手続き、相続に関わる調整など、幅広い範囲をカバーする点が特徴です。

 

感情面への配慮が必要

故人整理は遺品を整理するだけの作業ではなく、故人を偲ぶ気持ちと向き合う時間でもあります。そのため、気持ちの整理ができていない状態で無理をすると、精神的な負担が大きくなりがちです。整理を進める際は、物理的な片づけと同時に、心のケアにも目を向けることが大切です。

相続や費用の面でも役立つ

財産や手続きに関する情報を正確に把握することは、相続問題のトラブル回避にも大いに役立ちます。また、不要な支払い(賃貸料や固定資産税など)を続けないためにも、故人整理は早めに取り掛かるメリットがあります。


記事監修者プロフィール

遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。

遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)


株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井


目次

遺品整理・遺産整理との違い

遺品整理

遺品整理とは、故人が生前に使用していた私物や家具・家財道具などを分別し、思い出の品として残すものと処分するものを仕分けしていく作業です。

写真やアルバム、手紙など、故人との思い出が詰まった品物をどう扱うかが大きなポイントになります。

遺産整理

遺産整理は、主に故人の財産を把握し、債務や相続税などを支払った上で、相続人へ公平に分配するための手続き全般を指します。

不動産、預金、株式などの資産から、借金や未払いの税金などの負債も含めて管理する点が特徴です。

法律的な手続きを要するため、相続人同士や専門家との協議が欠かせません。

故人整理は両方を含む包括的な作業

上記のとおり、遺品整理と遺産整理はそれぞれ異なる範囲を扱いますが、実際の現場では両方を同時に進めることがほとんどです。

なぜなら、財産かどうか判断がつきにくい遺品があったり、処分するものの中に価値の高い美術品が含まれていたりと、整理中に法的な手続きが必要になるケースが多いためです。

増えている“デジタル遺品”への対応

近年、パソコンやスマートフォン、SNSアカウントやクラウド上のデータといった「デジタル遺品」の問題がクローズアップされています。

オンライン上で取引していた証券口座や暗号資産のウォレット、サブスクサービスなどをそのまま放置すると、後々トラブルに発展する恐れがあります。

故人の使用していた端末やアカウント情報をどこまで把握しているかで、対応のスムーズさが大きく変わります。

パソコンやスマートフォンのパスワード、SNSのログイン情報などを事前に共有しておくのが理想ですが、急な出来事で情報がわからない場合は、専門のデジタル遺品整理業者に相談する方法もあります。

また、放置されたアカウントが不正アクセスの標的になる可能性も否めません。登録していたクレジットカード情報や個人情報が流出すると、家族に思わぬ損害が及ぶ場合もあるため注意が必要です。

関連記事:デジタル遺品とは?トラブル事例や整理方法について解説

故人整理の進め方|最適な時期と具体的手順

故人整理を始めるタイミングの目安

故人整理の開始時期は法律で明確に定められてはいませんが、一般的には葬儀が落ち着いた後から四十九日法要の前後が、一つの目安とされています。

相続税の申告や遺産分割協議の準備もあるため、あまり先延ばしにしすぎると、余計な費用(賃料や固定資産税など)が発生する可能性があります。

実際には、葬儀直後は遺族の心が落ち着いていない場合も少なくありません。

無理に急いで片づけを始めるよりも、ある程度気持ちの整理がついてから進めたほうがスムーズに進行しやすい面もあります。

故人の財産を把握し、相続税を申告・納付するには10ヶ月という期限が定められています。

すべての財産を調べる必要があるため、遺品整理と平行して進めないと、申告期限を過ぎてしまうリスクが高くなります。

関連記事:遺品整理を行うタイミングとは?千葉県の遺品整理業者がお教えします

役割分担とスケジュール作成

故人整理には多くの作業が発生します。すべてを一人で行うことは非常に大変で、時間もかかるため、家族や親族、あるいは専門業者と役割分担することをおすすめします。

    1. 遺品整理:代表者(家族や親族)+サポートメンバー
    2. 財産調査・相続手続き:税理士、司法書士、弁護士など専門家と連携
    3. デジタル遺品の処理:ITリテラシーのある家族、または専門業者
    4. 不用品処分や大型ゴミ手続き:各自治体のルールを確認し、実行担当を決める

▼スケジュール作成のポイント▼

      1. 大まかな期間設定:例えば「○月中に遺品の仕分けを終わらせる」「○月までに相続の書類手続きを完了させる」といった目安を立てます。
      2. 週ごとのタスク分割:一度に大きな作業を詰め込みすぎず、週ごと、日ごとに分割し、確実にこなせるようにする。
      3. 優先順位の明確化:特に相続に関わる財産や重要書類の確認は早めに行い、期限のある手続きから先に着手する。

遺言書・エンディングノートの確認ポイント

遺品整理を始める前に、まず最初に遺言書の有無を確認しましょう。

なぜなら、故人が生前に「この品物は○○へ渡したい」という意向を遺言書やエンディングノートに残しているケースがあるからです。

  • 自筆証書遺言:故人が自筆で書き残したもの。封印がある場合は、勝手に開封せずに家庭裁判所で検認手続きを行います。
  • 公正証書遺言:公証役場で作成されたもの。公証役場や信託銀行などに保管されている場合があります。
  • 秘密証書遺言:本人が内容を秘密にしたまま、公証役場で手続きのみ行ったもの。

また、エンディングノートは法的な拘束力こそありませんが、葬儀の希望やデジタルアカウントの情報などが記載されていることもあります。

遺品整理や手続きの進め方に関してヒントが得られる場合もあるので、見つかった際は必ず目を通しましょう。

相続人・親族間での合意形成

故人整理がスムーズに進むかどうかは、相続人や親族同士のコミュニケーションが大きく左右します。

財産や遺品の処分方法について、後々トラブルになることも多いため、最初の段階で関係者全員の合意を取り付けておくことが大切です。

主な合意事項

    1. 遺品整理の方法:どこまでを自分たちで行い、どこから業者に依頼するか。
    2. 形見分けの範囲:誰に何を渡すかを明確にしておき、お互いの思いを尊重する。
    3. 費用負担の割合:遺品整理にかかる業者費用やゴミ処分費用などを、どのように負担するか。

形見分けのマナーについて
特に形見分けは感情面が大きく関わるため、相手との関係性を考慮して行う必要があります。あまり親しくなかった方へ形見分けをすると失礼にあたるケースもあるため、親族全員で事前に話し合っておきましょう。

 

故人整理に必要なものチェックリスト

貴重品・重要書類の例(通帳・有価証券・印鑑など)

故人整理を進めるうえでまず確認したいのが、貴重品や重要書類です。これらは相続や各種解約手続き、名義変更などに必須となるものが多く、後回しにすると手続きが大幅に遅れてしまいます。

  • 預金通帳・キャッシュカード
    故人名義の口座を正確に把握するため、すべての金融機関の通帳やカードを探し、保管場所を特定しておきましょう。

  • 有価証券(株式・債券など)
    証券会社の取引報告書や株式の配当金計算書なども、残されている場合は必ずチェックが必要です。

  • クレジットカード
    名義人が故人になったカードは、速やかに解約手続きを行います。

  • 不動産関連書類(権利証・登記簿謄本など)
    自宅や土地などの所有権を示す重要書類。相続登記の際に必須となるため厳重に保管しましょう。

  • 印鑑・印鑑証明書
    相続手続きには実印が必要になる場合が多いので、印鑑と印鑑証明がどこに保管されているか早めに確認しておきます。

  • 契約書類・保険証書
    保険やローン、リース契約などがあれば、その書類を探しておきましょう。特に保険証書は支払いなどの手続きに必要です。

返却が必要なもの(保険証・マイナンバーカードなど)

中には、故人名義の公的書類など、返却や廃棄手続きが必要となるものもあります。これらは放置しておくと、後々不要なトラブルにつながる可能性があるため、整理と同時に手続きを進めましょう。

  • 健康保険証・年金手帳
    故人が加入していた健康保険の種類(国民健康保険、健康保険組合など)によって返却先が異なります。また、年金手帳も種類に応じて手続き先が決まっているので、早めに役所や年金事務所に問い合わせます。

  • マイナンバーカード
    マイナンバーカードは市区町村の窓口に返却する必要があります。亡くなったことが確認されると、カード内のICチップが失効扱いになるため、必ず手続きが必要です。

  • パスポート
    原則的には旅券発行窓口への返却が望ましいですが、自治体によって異なる場合があります。必要に応じて最寄りのパスポートセンターや市役所へ相談を。

故人の思い出品(写真・手紙・日記など)を扱う際の注意点

貴重品や公的書類のように、法的手続きや金銭面で重要ではないものの、故人の思い出が詰まった品々は整理作業の中で最もデリケートな部分です。

  • 写真やアルバム
    多くの方が数十年分のアルバムや写真を残しています。時間的・空間的にも大きな負担となりやすいですが、むやみに処分してしまうと後悔することも多いので、親族で慎重に確認しましょう。

  • 手紙・日記
    故人の内面や思い出が詰まった大切な書類です。個人情報が含まれる場合があるため、取り扱いには注意が必要です。不要な手紙・日記を処分する場合にも、誰かに見られない形でシュレッダー処理やお焚き上げを検討してもいいでしょう。

  • プレゼント・旅行土産・趣味のコレクション
    故人が大切にしていた品物は「形見」として親族間で譲り合うことが多いですが、あまり親しくない方への形見分けは失礼にあたるケースがあります。相手の事情や気持ちも踏まえて丁寧に対応しましょう。

  • お焚き上げの検討
    「捨てるには忍びない」と感じた神棚や人形・思い出の品などは、お寺や神社で「お焚き上げ」を行う方法もあります。お焚き上げを専門的に受け付けている遺品整理業者もあるので、地域や状況に応じて相談してみましょう。

 

デジタル遺品を安全に処理するためのポイント

デジタル遺品とは?具体例と放置リスク

「デジタル遺品」とは、パソコンやスマートフォン、クラウド上のデータ、SNSアカウントなど、故人が生前に利用していたデジタル上の資産や情報のことです。具体的には以下のようなものが含まれます。

  • パソコンやスマホの本体データ
    個人情報・写真・動画・書類ファイル・アプリ内データなど
  • オンラインサービスのアカウント
    SNS(Facebook、Twitter、Instagramなど)、メールアドレス、オンラインストレージ(Google Drive、Dropboxなど)
  • 金融関連のオンライン口座
    ネットバンキング、証券口座、暗号資産(仮想通貨)ウォレットなど
  • 定期購読・サブスクサービス
    音楽配信、動画配信、クラウドソフトウェアなど月額料金が発生する契約

これらを放置しておくと、不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まるだけでなく、サブスクサービスの料金が引き落とされ続けるなど、不要な支出やトラブルに発展する恐れがあります。

また、遺品整理の過程で誤って端末を処分してしまい、取り戻せない重要データが消失するケースもあるので注意が必要です。

オンラインデータとオフラインデータの見分け方

デジタル遺品には、大きく分けて**「オンラインデータ」と「オフラインデータ」**の2種類が存在します。

  1. オフラインデータ
    パソコンやスマートフォンの内部ストレージ、USBメモリ、外付けHDDなど、物理的に手元にある端末や媒体に保存されているデータ。
    • 確認方法:機器を起動し、ハードディスクやフォルダを直接チェックする。保存されているファイル名やフォルダ構成を確認する。
  2. オンラインデータ
    クラウドストレージやSNSなど、インターネット経由でアクセスするサービスに保存されたデータ。
    • 確認方法:ID・パスワードを使ってログインし、クラウド上やSNSアカウント上にあるファイルや投稿を確認する。

オンラインデータはログイン情報さえ分かれば比較的簡単にアクセスできますが、そのアカウント情報が不明な場合は難易度が一気に上がります。

ID・パスワードを探し出す必要があるほか、二段階認証などを設定していると、本人以外ではログインできない可能性もあります。

パソコン・スマホ・SNS・クラウドサービスの対応手順

デジタル遺品を安全に処理するには、以下のような段階的な手順がおすすめです。

  1. 端末の起動確認・バックアップ
    故人が使用していたパソコンやスマートフォンを起動し、デスクトップやフォルダにあるファイルを一通り確認します。必要なデータが見つかった場合は、USBメモリや外付けHDDなどにバックアップを取っておきましょう。

  2. ログイン情報の収集
    故人がメモしていたパスワードや、エンディングノート、ブラウザの自動ログイン情報などを手がかりに、各種アカウントへログインできるか試みます。

ブラウザのパスワードマネージャーについては、ChromeやEdge、Safariなどの設定画面から、保存されているID・パスワードを参照できる場合があります。

スマホのパスコード解除は、生体認証が使えない場合、家族や親しい友人が知っている可能性もあるので情報共有を。

  1. SNSやクラウドアカウントの整理
    SNSのアカウントは、生前の投稿が残ることで故人の思い出として活用するか、削除するかを検討する必要があります。
    • 削除手続き:FacebookやTwitterなど、各サービスにはアカウント削除のための手続きがあり、死亡証明の提出を求められることもあります。
    • メモリアル化:Facebookなど、一部のSNSでは故人のアカウントを「追悼アカウント」に切り替える機能を提供しています。削除せずに残す選択肢として検討してもよいでしょう。


  2. サブスクリプションや有料サービスの解約
    月額・年額のサブスクリプションが登録されている場合、利用していないのに料金が発生し続けるリスクがあります。クレジットカードの明細やスマホのサブスク管理画面から定期契約を把握し、必要に応じて解約手続きを行います。


  3. 不要なデータの完全削除
    不要なファイルやアカウントは誤って漏洩しないよう、慎重に削除しましょう。PCやスマホの廃棄時には、専門業者によるデータ消去サービスを利用すると安全です。

専門業者・専門家に依頼する場合

「デジタル遺品整理」は専門知識が必要なケースが多く、特に暗号資産のウォレットやビジネス関連のクラウドシステムが絡むと、家族だけでは対応が難しい場合があります。

そんなときは、デジタル遺品整理の専門業者や、IT関連に詳しい司法書士・弁護士に相談するのも一つの方法です。

故人整理に関する法律と手続き

法定相続・遺言書・相続放棄の基礎知識

故人整理を進める際には、相続や遺言などに関する法律知識が欠かせません。

特に、誰が相続人となるのか(法定相続人)や、遺言書がある場合とない場合の違いを理解しておくとトラブルを未然に防ぎやすくなります。

  • 法定相続とは?
    民法で定められている相続のルールで、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹など、血縁関係に応じて相続分が決まります。相続の優先順位や割合は法律で定められており、たとえば子どもがいる場合の配偶者の相続分は1/2、残りの1/2を子どもたちで分け合うのが一般的なパターンです。

  • 遺言書の有無
    遺言書がある場合は、法定相続よりも遺言書の内容が優先されます。ただし、遺留分(特定の相続人が法律上最低限保障される相続分)を侵害する内容の遺言書は、法的に無効または修正が必要となることもあります。

  • 相続放棄
    故人の負債が多いなどの理由で、相続を放棄することを選択するケースもあります。相続の放棄は、原則として「相続が始まったことを知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。

相続税・確定申告の期限と注意点

故人の財産に対して、相続税が課される場合があります。

また、故人が生前に得た収入については、死亡後に確定申告(準確定申告)を行わなければなりません。

  • 相続税の申告・納付期限
    相続税が課される場合、被相続人(故人)が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告と納税を行わなければなりません。もし期限を過ぎると延滞税や加算税がかかる可能性があります。

  • 準確定申告(故人の所得税申告)
    故人が生前に給与所得や事業所得などを得ていた場合、死亡日までの所得について「準確定申告」を行います。相続の開始があったことを知った日から4ヶ月以内に申告する必要があり、相続人全員の連名で行うのが一般的です。

賃貸契約や各種解約手続きの進め方

故人が借りていた賃貸物件や、加入していた保険・光熱費などの契約については、速やかな解約手続きが必要です。放置すると家賃や保険料などが自動的に引き落とされ、経済的な負担が増大します。

  • 賃貸契約の解約
    故人が居住していた賃貸物件の契約は、基本的には相続人が引き継ぐ形となります。契約書に基づき、家主や不動産管理会社に故人が亡くなった旨を通知し、退去日や敷金の精算などを協議します。

  • 光熱費・通信費などのライフライン
    電気・ガス・水道・インターネット回線・携帯電話など、毎月の支払いが発生する契約は早めに名義変更や解約手続きを行いましょう。クレジットカード引き落としの場合は特に注意が必要です。

  • 保険・ローン契約の解約・名義変更
    生命保険や自動車保険、住宅ローンなどの契約が残っている場合は、保険金の受取人やローンの返済義務がどうなるかを確認し、必要に応じて手続きを進めます。

トラブルを防ぐために遺産分割協議書を作成

法定相続人が複数いる場合、各人がどの財産をどの程度相続するかを明確にするため、遺産分割協議書を作成することが重要です。

これを怠ると、後々「言った言わない」の争いが起こったり、相続登記や名義変更がスムーズに進まなかったりする原因となります。

  • 遺産分割協議書のポイント
    1. 法定相続人全員の合意:全員の署名・押印(実印)が必要となります。
    2. 内容を明文化:各財産を誰が引き継ぐのか、負債や費用をどう負担するか、具体的に記載しておきます。
    3. 専門家のサポート:内容が不明確な場合は、司法書士や弁護士、税理士と連携して作成することをおすすめします。

  • 相続登記の義務化(2024年4月施行)
    2024年4月から、不動産を相続した場合に相続登記が義務化されることになりました。正当な権利者が不動産を管理しないまま放置されるケースが社会問題化しているためで、この相続登記を行うためにも遺産分割協議書は必須です。

故人整理にかかる費用とサービス活用

遺品整理業者への依頼費用の相場と内訳

「故人整理」と呼ばれる作業のなかでも、遺品整理は最も手間がかかる部分です。

遺族や親族だけで行うのが難しい場合、遺品整理業者に依頼するケースが多くみられます。

費用相場は
作業量や部屋の広さ作業員数地域差などで大きく変動します。

  • 費用の目安
    1. 1K~1DK:3万~8万円程度
    2. 1LDK~2DK:5万~15万円程度
    3. 2LDK~3DK:10万~25万円程度
    4. 3LDK以上:20万円~40万円以上

これはあくまでも一般的な相場であり、遺品の量や部屋の状態によって変動します。

費用の内訳

    1. 人件費:作業員の人件費。荷物の量が多いほど人数を増やす必要があり、その分費用も高くなります。
    2. 搬出・運搬費:大型家具・家電を運び出すトラックや運搬作業にかかる費用。
    3. 処分費用:不用品として処分する際の処分料。自治体規定の廃棄物処理費用や、中間処理業者への支払いが含まれます。
    4. 供養費用:形見分けできない人形や思い出の品を「お焚き上げ」などで供養する場合、別途費用が発生します。
    5. オプションサービス費用:ハウスクリーニングやリフォーム、消臭・消毒作業などが必要な場合は追加料金がかかります。

不用品回収業者・リサイクル業者の活用法

遺品整理業者と類似したサービスに、不用品回収業者リサイクル業者があります。

遺品整理業者が総合的に遺品の仕分け・処分を代行してくれるのに対し、不用品回収業者は不要な物をまとめて回収してくれる点が特徴です。

  • 不用品回収業者
    • メリット:大型ゴミや大量の廃棄物を一括で処分できる
    • デメリット:思い出の品や重要書類などの仕分けには対応していないことが多い
  • リサイクル業者
    • メリット:買取可能なもの(家電、家具、骨董品、美術品など)があれば査定をしてくれる。買取金額分、費用を抑えられる可能性がある
    • デメリット:買取対象外の物品は引き取りできない場合があるため、別途処分方法が必要になる

ポイント:不用品回収業者・リサイクル業者だけでは「遺品」に対する感情的配慮や形見分けなどのサービスが手薄になる場合があるため、まずは遺品整理業者のサービス内容と比較検討するのがおすすめです。

デジタル遺品整理の専門サービスと費用相場

デジタル遺品は、パスワードやアカウント情報などを慎重に取り扱う必要があり、ITリテラシーやセキュリティ知識が求められます。そこで、デジタル遺品整理の専門業者に依頼することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 主な作業内容
    • パソコン・スマホ内のデータ確認・バックアップ
    • SNS・クラウドサービス・オンライン口座のログイン情報検索と解約手続きサポート
    • 不要データの安全な消去、機器の物理破壊・廃棄代行
  • 費用相場
    • 基本料金:3万円~10万円程度(対象端末数や作業範囲によって変動)
    • オプション費用:暗号資産のウォレット調査や多数のSNSアカウント解約など、追加の手間がかかる場合は上乗せされることも多い

注意点:デジタル遺品整理は比較的新しい領域のサービスのため、業者によって料金体系や対応範囲がまちまちです。事前に明確な見積書を取り寄せ、個人情報やプライバシー保護の体制をしっかり確認しましょう。

依頼先の選び方と見積もり時のチェックポイント

故人整理のために業者を選ぶ際は、複数の会社から相見積もりを取り、サービス内容や料金、実績を比較するのが鉄則です。以下のポイントをチェックしましょう。

  1. 信頼性や認知度
    • 遺品整理士の資格保有や、各種協会への加盟の有無を確認する
    • 口コミや実績が豊富かどうか、公式サイトやSNSでの評判を調べる
  2. 見積もりの詳細内訳
    • 人件費・搬出費・廃棄物処理費など、項目ごとに分かれているか
    • オプションの費用を事前に明確化してもらい、「あとから追加料金が発生しないか」を確認
  3. 対応範囲とサービス内容
    • デジタル遺品の整理や供養、ハウスクリーニングの有無など、自分たちのニーズに合ったプランが揃っているか
    • 大量のゴミや大型家具などにも柔軟に対応してくれるか
  4. 保険・補償制度の有無
    • 作業中に家屋や遺品を破損した場合の補償や保険があるかどうかは大切な確認事項

まとめると、まずは複数業者に問い合わせ、見積もりとサービス内容を比較・検討したうえで、故人や家族の気持ちに寄り添い、実際の作業を安心して任せられる業者を選ぶことが重要です。

 

故人整理でよくあるトラブルと注意点

大量の遺品と心の整理がつかない問題

故人整理を始めてみると、「想像以上に遺品が多く、仕分けに時間と気力が奪われる」「故人との思い出が詰まりすぎていて手をつけられない」といった問題が起こりがちです。中には、感情的に整理しきれず、いつまでも手付かずで残ってしまうケースも見受けられます。

対処法のポイント

  1. 仕分けの基準を決める:まずは「残すもの・形見分けするもの・処分するもの」の3分類を用意し、「迷ったら一旦保留の箱を作る」などルールを決めましょう。
  2. 少しずつ進める:一気に終わらせようとすると、肉体的・精神的な負担が大きくなります。短時間・小さなスペースからコツコツ進めると、心の負担が軽減されます。
  3. 第三者の協力を仰ぐ:専門業者や友人・親族に手伝ってもらうことで、客観的に仕分けがしやすくなるメリットがあります。

親族間でもめないためのポイント

故人整理の場面で特に多いトラブルが、親族間の意見の相違です。遺産分割はもちろん、遺品の取り扱いに関して「自分は捨てたい、でも相手は残したい」「誰がどの費用を負担するのか」など、感情が絡むと意見がまとまりにくくなります。

事前のコミュニケーションが大切

  1. 参加者を明確に:相続人・親族が後から「聞いていない」と主張することがないよう、最初に全員が話し合いに参加する場を設定します。
  2. 小さなトラブルも放置しない:遺品の一つひとつをどう扱うか、早めに確認し合いましょう。後回しにすると、後から「勝手に捨てられた」と言われるリスクがあります。
  3. メモや写真で記録する:形見分けや処分を決める際、スマホのカメラで写真を撮っておくと「何をどこに渡したか」が分かりやすくなります。

故人が賃貸物件に住んでいた場合の注意点

故人が生前、賃貸マンションやアパートなどを借りていた場合、家主や不動産管理会社とのやり取りが発生します。契約解消や退去手続きのほか、家財道具の処分費用負担など、トラブルになりやすいポイントもあります。

退去時の手続きと費用

  • 原状回復義務:故人が生活していた期間の通常損耗や経年劣化を除き、故意・過失による損傷があれば修繕費を請求されることがあります。
  • 賃料の精算:退去日までの家賃をどう扱うか、敷金の返還可否について確認します。

遺品整理とスケジュール
家主側が「すぐに部屋を空けてほしい」と要望する場合があります。

とはいえ、安易に遺品整理を急ぐと大事なものまで処分してしまうリスクがあるため、事情をきちんと説明し、余裕のあるスケジュールを組むようにしましょう。

“お焚き上げ”や形見分けに関するマナー

形見分けやお焚き上げは、故人への想いを大切にしながら遺品整理を進めるための方法です。しかし、相手や物によってはマナーや適切な対応が必要になります。

形見分けのマナー

  • 親しい人・親族に限定する:形見分けは基本的に、ごく親しい間柄の人に対して行うものです。あまり親交のなかった方に贈ると、「押し付けられた」と感じられてしまう場合があります。
  • 事前に確認を取る:相手の好みや気持ちを配慮し、欲しいかどうかを確認してから形見分けするのが望ましいです。

お焚き上げの利用

  • 人形や写真など、捨てるには忍びない品を寺社で供養してもらう行為を指します。
  • 専門業者によるお焚き上げサービスも増えており、大量の遺品をまとめて引き取り、合同供養してくれることもあります。

まとめると、故人整理では感情面や人間関係、契約上の問題など、さまざまなトラブルの可能性があります。冷静な判断と細やかな配慮を心がけながら、必要に応じて業者や専門家にサポートを求めましょう。

 

まとめ

故人整理は、単なる「片づけ」や「手続き」にとどまらず、故人の思い出や感情面と深く結びついた作業です。

  • 早めの行動で余計な費用やトラブルを回避
  • 精神的な負担を考慮し、無理せず家族と協力
  • デジタル遺品や法律手続きなど、抜け漏れを防ぐための情報収集を徹底

特に昨今はデジタル社会の進展により、クラウドやSNS、サブスクなどオンライン上の資産も増えています。後から発覚してトラブルになるケースも少なくありません。専門業者やITに詳しい弁護士・司法書士などと連携して対応することで、精神的・時間的負担を大幅に軽減できるでしょう。

最終的には、故人が大切にしていたものや思い出を尊重しながら、遺族・親族全員が納得できる形で整理を完了することが理想です。この記事を参考に、ぜひ安心・円満に故人整理を進めていただければ幸いです。