「片づけなきゃ」とわかってはいるけどやる気が起こらない。
気づけば床が見えない、物が積み重なって歩くスペースがない―。
そんな状態を放置してしまうと、心身の不調やセルフネグレクト(自己放任)につながる危険もあります。
一口に「汚部屋」といっても、実はその状態には段階があります。
少し散らかっているだけの軽度レベルから、衛生や安全に影響を及ぼす重度レベルまで、状況によって対処法はまったく異なります。
「とりあえず掃除すればいい」ではなく、まずは自分の部屋がどのレベルにあるのかを知ることが大切です。
現状を客観的に把握することで、ムリなく改善できる具体的なステップが見えてきます。
さあ、ここからが再スタートです。あなたの今の状態をチェックして、1分でできる簡単な「汚部屋レベル診断」で最初の一歩を踏み出しましょう。
1分でできる「汚部屋レベル」診断!セルフネグレクトの危険度チェックリスト(全20項目)

ご自身の生活がセルフネグレクトの状態に近づいていないか、「汚部屋レベル」という切り口から詳細にチェックしてみましょう。チェックの数が多いほど、セルフネグレクトの可能性が高まります。
- 部屋にゴミや不要な物があふれ、床が見えないほどになっている。
 - 長期間(1週間以上)お風呂に入っていない、または洗髪や着替えを怠っている。
 - 掃除や洗濯などの家事をほとんど行っておらず、汚れが目立つ。
 - 郵便ポストの中が郵便物で詰まっていたり、重要な支払いの滞納がある。
 - 健康的な食事をしておらず、コンビニ食やインスタント食品ばかり食べている。
 - ほとんど外出せず、誰とも会わない日が続いている。
 - 悩み事や困っていることを誰にも相談できない、または助けを求められない。
 - 以前は好きだった趣味や外出、おしゃれへの意欲を失っている。
 - 歯磨きや洗顔などの基本的な身だしなみをサボりがちになっている。
 - 食べた食器をすぐに洗わず、シンクに溜まったままになっている。
 - 家の中で異臭を感じることがある(生ごみ、カビ、体臭など)。
 - 睡眠時間が不規則で、昼夜逆転の生活になっている。
 - 必要な病院や歯医者への通院を先延ばしにしている。
 - 冷蔵庫の中に期限切れの食品や、何が入っているか分からないものが増えている。
 - 家族や友人からの連絡を無視したり、頻繁に断ったりしている。
 - 電気、ガス、水道などの公共料金を止められそうになったことがある。
 - ゴミ出しの分別が面倒で、一つの袋にすべて入れている。
 - 自分の体の不調や体重の急激な変化に無関心である。
 - 物を衝動的に買ってしまい、開封せずに放置しているものが多い。
 - カーテンを閉めっぱなしで、昼間でも部屋に光を入れていない。
 
診断の見方
- チェック0〜3個: 現状は大きな問題は見られませんが、日々のストレス管理を大切にしましょう。
 - チェック4〜9個: 汚部屋レベル【注意】。生活習慣が乱れ始めているサインです。セルフネグレクトに陥りやすい傾向がないか、次の章で確認し、意識的に予防策を取り入れましょう。
 - チェック10個以上: 汚部屋レベル【危険】。すでにセルフネグレクトの状態にある可能性が高いです。無理せず、次章で紹介する治療法・相談窓口の利用を検討してください。
 
自分のレベルがわかったら、次に各レベル別の対処法を見てみましょう。
レベル【軽度】:「明らかなゴミ」だけを捨てることから
床やテーブルの上にペットボトル、レシート、空き容器などの「明らかなゴミ」が見える状態なら、軽度の汚部屋レベルです。
この段階では、1日15分だけ「捨てる時間」を確保しましょう。
ポイントは「完璧を目指さない」こと。今日は机の上、明日は玄関まわりなど、狭い範囲でOKです。
1日15分の積み重ねが「片付けられる自分」という自信を取り戻す第一歩になります。
レベル【中度】:「週末1エリア」集中でリセット
部屋の複数箇所に物が散乱している、収納がいっぱいで物があふれている場合は中度レベル。
この状態では、平日に一気に片づけようとすると挫折しやすいので、「週末1エリア集中」を合言葉にしましょう。
例:「今週はクローゼット」「来週はキッチンの引き出し」。
不要な衣類や家電は、思い切ってリサイクルショップや不用品回収サービスを活用するのもおすすめです。
「自分ではもう持ち運べない物」は、無理せずプロの力を借りましょう。
レベル【重度】:自力での解決は難しい。専門業者に相談を
床がほとんど見えない、悪臭やカビが発生している、虫が出ている――このような状態は、自力での片づけが困難な重度レベルです。
この場合は、無理せず専門の清掃業者や行政の支援窓口に相談しましょう。
プロの清掃は単に部屋を片づけるだけでなく、衛生的な環境を取り戻し、再び生活を立て直すための第一歩になります。
「誰に相談していいか分からない…」そんな時も大丈夫◎ 話すだけでも心が軽くなります。
なぜ汚い部屋になってしまうのか?│セルフネグレクトの4つの要因

部屋が汚れるのは、決して“だらしない”からではありません。
それは、心や生活のバランスが崩れているサインです。
- 身体機能の低下
 - 認知症や精神疾患による判断力・意欲の低下
 - 経済的な問題による生活の困難
 - 社会的孤立による無気力・孤独感
 
“できない自分”を責めるより、“今の自分を守る方法”を一緒に探しましょう。
セルフネグレクトで部屋が汚くなりやすい人の4つの特徴
セルフネグレクトに陥りやすいのは、どのような特徴を持った人なのでしょうか。以下の4つの特徴に当てはまる人は、特に注意が必要です。
- 家事が苦手な人
 - 仕事が忙しい人
 - 周囲に助けを求められない人
 - 人と会う機会が少ない人
 
なぜこれらの女性がセルフネグレクトに陥りやすいのか、詳しい内容を見ていきましょう。
家事が苦手な人
誰でも苦手なことをするのは気が重くなりますが、それが毎日のように求められる家事であれば、なおさら心理的な負担は大きくなります。家事が億劫になると次第に手が遠のき、気づけば部屋中が散らかってしまうでしょう。
そのような状態になると、「家事もできない自分はダメな人間だ」と自信を失い、自己肯定感が低下してしまいます。また、家事代行サービスに依頼したくても、散らかっている家を他人に見せることへの抵抗感から依頼できず、悪循環に陥ってしまうケースが多いのです。
仕事が忙しい人
仕事に追われているとプライベートの時間が削られていき、家事をする時間すら確保できなくなってしまいます。気づけば部屋の中が荒れていき、ゴミや不用品があふれかえることも少なくありません。
また、仕事の忙しさは身体的疲労だけでなく、精神的なストレスも蓄積させます。慢性的なストレス状態が続くと、うつ病や強迫性障害などの精神疾患を発症するリスクが高まり、それがセルフネグレクトにつながってしまうのです。
周囲に助けを求められない人
自分で問題を解決しようとする姿勢は立派ですが、一人では到底解決できないような困難もあります。「誰かに頼るのは迷惑をかけること」「弱みを見せたくない」という思い込みから、SOSを出せずに追い詰められてしまう人は少なくありません。
すべてを一人で背負おうとすると、心身ともに限界を迎え、やがて日常生活の維持さえ困難になります。前述の通り、ストレスの蓄積は精神疾患のリスクを高め、セルフネグレクトへの入り口となってしまうのです。
人と会う機会が少ない人
人と会うときには外出のために身だしなみを整えますが、人と会う機会が少ないと外出する必要もなくなり、身支度への意識が薄れていきます。「今日は入浴しなくてもいいかな」「着替えなくても誰も見ていないし」と、徐々に不衛生な生活習慣に慣れてしまうのです。
また、人と会う機会が少ないと孤独感に苛まれ、その空虚感を「物」で埋めようとする人もいます。しかし、物では孤独感は埋められないため、物だけが部屋にあふれ続け、やがてゴミ屋敷化してしまうケースもあるのです。
汚部屋を防ぐ4つの習慣
- 社会とのつながりを持つ(人と話す・外に出る日を決める)
 - 家事をルーティン化する(曜日を決めて15分掃除)
 - 専門サービスを活用する(苦手な部分は頼る)
 - 悩みを言葉にして共有する(信頼できる人に話す)
 
専門サービスを活用することは、汚部屋化を防ぐ最も確実な手段のひとつです。
プロに頼る際の手順や注意点が分かれば、行動のハードルが一気に下がります。
すでに苦しいと感じるときの相談先
| 状況 | 主な相談先 | 
| 高齢者 | 地域包括支援センター | 
| 若年・働き世代 | 精神保健福祉センター・生活困窮者自立支援窓口 | 
| 体や心の不調 | 精神科・心療内科など | 
「誰に相談していいか分からない…」そんな時も大丈夫◎ 話すだけでも心が軽くなります。
まとめ|汚部屋を片づけることは「自分を大切にし直す」こと

汚部屋は「片付けができない」のではなく、
心が「休みたい」と伝えていることもあります。
焦らず、一歩ずつ。
今日できた小さな行動こそが、明日の変化の種です。困ったときは、一人で抱えず相談してください。
私たちは、あなたの生活を整えるための伴走者です。
            
        






