遺品整理

親の家の片付け完全ガイド|散らかった実家をスッキリさせる7ステップ

親御様を亡くされ、今、この文章を読んでくださっているあなたへ。心よりお悔やみ申し上げます。

大切な人を失った悲しみだけでなく、もしかしたらあなたは今、「親の家が、想像以上にひどい状態でどうやって片づけたら良いんだろう」という、別の悩みもお持ちかもしれません。

家のドアを開けたら、足の踏み場もなく物が溢れ、手つかずのゴミや生活用品が山積みになっている―「これ、どこから片付けたら良いんだろう?」「全部私がやらないといけないの?」と、絶望的な気持ちになっているのではないでしょうか。

正直言って、辛いですよね。遺品整理は、ただでさえしんどい作業なのに、散らかった状態からのスタートは、想像を絶する大変さです。

「どこから手をつけていいか分からない」「自分の手に負えるレベルじゃない」と、絶望しているあなたのために、この記事は書かれています。

本記事では、特に家が汚い、物が多い実家の片付けを「後悔なく」「迷うことなく」進めるための具体的な手順(完全な道しるべ)を、出来るだけ心の負担を減らせるようにわかりやすく解説します。


目次

1. 遺品整理を始める「現実的な」タイミング

親が亡くなったり、もうすぐかも・・と感じる状態ですぐに遺品整理をする必要はありません。心も体もボロボロの状態で、汚れた部屋に向き合うのは辛いからです。遺品整理は、「あなたの心と体が少しでも回復してから」が、現実的なスタートラインです。

まずは「四十九日までは待つ」という選択

親しい人を亡くした後、心と体が完全に元に戻ることはありませんが、最低限、ご遺族の気持ちが整理できるまで待つのが一番です。一般的に四十九日を一つの区切りとすることが多いですが、あなたの心が「今日からなら大丈夫かも」と思えた日が、本当のスタートです。

無理に作業を始めて、思い出の品を見て心が折れたり、感情的に涙が止まらなかったり、全て捨ててしまってすっきりしようと後ほど後悔する決断をするのだけは避けるべきです。

ただし、待てない「差し迫った事情」がある場合

以下の状況が一つでもあるなら、早急な準備が必要になります。

  • 賃貸物件で、すでに退去日が決まっている: 待ったなしで急いで片付けを開始しましょう。自分一人で片づけるのが大変ならば、管理会社に現状を伝え、プロの業者への依頼も含めて、早めにスケジュールを決めてください。
  • ライフライン(電気・ガス)の解約期限が迫っている: これらがストップすると、暗い中や、水なしで作業をする必要があります。期限前に電気や水がなくては困る作業は終わらせる必要があります。
  • 家が放置されることで近隣に迷惑がかかる: 特に異臭害虫の発生源になっている場合、ご近所への配慮から、緊急性が高くなります。この場合も、すぐに専門業者に相談すべきです。

2. 散らかった家でも迷わない!遺品整理の7つのステップ

物が溢れ、どこに何があるかもわからない「散らかった家」を片付けるには、一つずつ順番に対処することが重要です。この7つのステップで家は綺麗になります。

ステップ内容汚い家での重要なポイント
ステップ1貴重品・重要書類の捜索財布や金庫、タンスなど「隠し場所の定番」から探してみる
ステップ2親族・関係者と連絡し状況を共有親族に家の現状を正直に伝え、協力を仰ぐ
ステップ3ライフラインの停止・解約固定費の節約をする
ステップ4遺品の「仕分けルール」決定形見として残す物と譲るもの、売るものなどの基準値を決める
ステップ5遺品整理の実行(仕分け・梱包)まずは台所、次にお風呂などジャンル毎で取り掛かっていく
ステップ6プロによる処分・買取の手配自力で無理な分は迷わず業者を呼ぶ
ステップ7部屋の清掃・不動産の引渡し遺品整理の最終的なゴール

ステップ1:貴重品・重要書類の捜索

家が散らかっていると、大切なものがゴミに埋もれていたり、どこかに入り込んでいる可能性が高まります。まずは金銭的・法的な損失を防ぐため、以下のものを探してください。

  • 金銭に関わるもの: 現金(タンス貯金)、預金通帳、実印、キャッシュカード、クレジットカード、証券類。カバンの中寝室の引き出しなど、故人様が最後に手元に置いていたであろう場所から集中して探します。
  • 法的に重要なもの: 遺言書、権利証、年金手帳、保険証書。これらは本棚の奥重要書類入れなど、人目につかない場所にしまい込まれていることが多いです。

ステップ2:親族・関係者と連絡し状況を共有

「親の家の状態を話すなんて恥ずかしい」と考える必要はありません。むしろ、親族や関係者に現状を正直に伝えることで、協力を得やすくなります。

  • 物理的な協力(片付けの人手)
  • 経済的な協力(業者費用の分担)
  • 精神的な理解(片付けに時間がかかることの了承)

これらを求め、特に形見分けをしたい人がいる場合は、手伝いが必要な部分をきちんと伝えましょう。

ステップ3:ライフラインの停止・解約手続き

使っていない家に、電気代や水道代を払い続けるのはもったいないです。作業がある程度落ち着いたら、電気、ガス、水道、新聞、ネット回線などの解約・停止手続きを進めてください。特に冬場は水道管破裂のリスクもあるため、手続きは早めに。ただし、業者が入る場合は、清掃などに電気や水が必要になることがあるため、必要な期間だけ残すように調整が必要です。

ステップ4:遺品の「仕分けルール」決定

感情に流されがちな作業なので、わかりやすいルールを最初に決めておきます。

  1. 残す(形見): 思い出の品、家族が引き取るもの。「段ボール〇箱まで」など量を制限することで作業がしやすくなります。
  2. 処分(廃棄): 汚れて使えないもの、生活ゴミ、明らかな不用品。
  3. 譲渡・売却: 状態が良く、まだ使えるもの。

特に「残す」基準を決めておかないと、思い出に浸って作業が止まり、すぐに荷物も増えてしまいます。また、「絶対に残す箱」と別に「どうしようか迷う箱」を作り、そこに一時的に入れておくことで、作業がスムーズに進みます。

ステップ5:遺品整理の実行(仕分け・梱包)

絶対に一度にやろうとはしない。これが鉄則です。

  • 「今日は台所の食器棚だけ」のように、ごく小さなエリアを区切って作業します。範囲を限定すれば、ゴールが見え、達成感が得られやすいです。
  • 奥から手前、上から下へと、物の流れに沿って作業します。床が見えない場合は、まず「ゴミ」と明らかな「不用品」だけを分別して、道筋を作りましょう。
  • 写真や手紙などの思い出の品は、最後に対応してください。これらを最初に分別しようとすると、作業が全く進まなくなってしまいます。まずは「どうしようか迷う箱」に入れておくのが良いでしょう。

ステップ6:プロの片付け業者を活用する

家があまりにも汚い場合、自力で自治体のルールに従ってゴミ出しを完了させるのは、不可能に近いことが多いです。

自力で片づける場合と業務依頼の違い

項目自力で片付ける業者に依頼
作業日数3日〜10日以上半日〜2日程度
体力負担大きい最小限
精神的負担高い軽い(サポートあり)
費用一見安く見えるが長期化しやすい総コストが安定しやすい

ステップ7:部屋の清掃と不動産の引渡し

全ての遺品の搬出と処分が終わったら、最後に清掃が必要です。特に長年放置された水回りの汚れや、ゴミが腐敗した跡は、素人では手に負えないことがほとんどです。賃貸物件や売却予定がある場合は、ハウスクリーニング業者に依頼して、徹底的に清掃してもらいましょう。鍵を返却し、ようやく遺品整理の全工程が完了します。


3. ご遺族が直面する3つの壁と乗り越え方

親の家や実家の片付けを始めるとき、多くの人がぶつかるのは物理的な困難よりも心の壁です。

なかなか進まない、やる気が出ない─その背景には、3つの心理的なハードルがあります。


壁①:罪悪感と「捨てることへの恐怖」

「親が大切にしていた物を捨てていいのか」
「私が勝手に処分していいのか」

そう感じて、手が止まってしまう方はとても多いです。例え汚れたものだったとしても「生前、すごく大事にしていたしな・・」と、判断ができない場面も多くあります。

しかし、故人が本当に残したかったのは、物よりもあなたとの思い出や愛情なんです。形見をすべて取っておく必要はありません。

必要なものを最小限に減らし、不要なものを整理するのは「故人の暮らしに区切りをつける第一歩」と考えてみましょう。どうしても判断ができない場合は「どうしようか迷う箱」に一時的に入れておきましょう。


壁②:疲労と「やる気が出ない」

実家の片付けは、ホコリ・におい・重労働など、思った以上に大変で体力も時間も奪われます。途中で「もうやりたくない」と感じるのも当たり前。

そんな時は、時間を区切って進めることをおすすめします。「今日は3時間だけ」「この部屋だけ」と決め、時間がきたら強制的にストップ。無理をせず、続けていくことが大切です。

また、どうしても自分だけの作業が辛い場合は、専門業者に任せるという選択もあります。プロに頼むことは逃げることではなく、あなたを守るための選択肢の一つです。


壁③:家族間の温度差と「なんで私だけが…」

親の家の片付けでは、兄弟や親族間で「やる気の差」や「時間の負担の偏り」が起きやすいです。

 「なんで私ばかりやってるんだろう」「誰も手伝ってくれない」─そんな不満が積もると、関係が悪化してしまうことも。

感情的になる前に、負担の金額の見積もりなど客観的な数字を出して話し合うのがおすすめです。

作業を手伝えない人はその分費用を多く負担するなど、公平なルールを決めましょう。金銭的に分担することで、感情的なトラブルを防げます。


4. 汚い家の片付け費用相場と、悪質業者を見抜くポイント

実家や親の家がゴミ屋敷化している場合、自分だけで片付けるのは現実的ではありません。

時間・労力・体力を考えると、専門業者に依頼することが最も効率的です。

費用はかかりますが、心の負担を減らすのに必要な投資だと考えましょう。


遺品整理・片付けの費用相場(ゴミが多い場合)

間取り費用の目安費用が高くなる要因
1R・1K8万円〜20万円腐敗物処理・特殊清掃が必要な場合
2DK・2LDK25万円〜50万円害虫駆除費・大量の廃棄物処理費
3LDK・4LDK50万円〜100万円超作業日数の増加・リフォーム前提の清掃

※荷物の量・買取品の有無によって金額は大きく変わります。


悪質業者を避けるための3つの確認ポイント

遺品整理やハウスクリーニングなどを行ってくれる業者はたくさんありますが、実は悪質業者も多いんです。ここでは悪質業者を避けるために大切な3つの確認ポイントについて紹介します。

  1. 見積もりの内訳が明確かどうか
     「作業一式」とだけ書かれた見積もりではなく、人件費、車両費、処理費などの内訳が明記されていること。
  2. 担当者の対応が丁寧で誠実かどうか
     金額だけでなく、家の状況や依頼者の気持ちを汲み取ってくれるか。
     説明が雑だったり、契約を急かすような対応は避けましょう。
  3. 追加費用やキャンセル規定が明確かどうか
     作業当日に「想定より多かったので追加です」と言われないよう、契約前に必ず確認を。

丁寧な説明、透明な料金、信頼できる人柄。
この三つがそろっている業者は作業品質も確実に高いです。


まとめ|片付けは気持ちの整理から始めよう

散らかった親の家と向き合うことは、簡単なことではありません。
しかし、減らす決断をした瞬間から心は少しずつ前に進み始めます。

汚部屋レベルの実家でも、片付けは必ず終わります。
それを現場で何度も見届けてきた私たちは断言します。

どこから片付けたらいいか分からない。
自分では手がつけられない。
感情的に向き合うのが辛い。

もしそんな状況であれば、ぜひ一度ご相談ください。

プロアシスト東日本は、遺品整理に精通した専門チームとして、
想い出を大切にしながら、確実に減らす片付けを行います。無料お見積りやご相談だけでも構いません。

秘密厳守、迅速対応、明朗会計。
あなたが心の整理を始められるよう、私たちがそっと寄り添います。

記事監修者プロフィール

遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。

遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)


株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井