セルフネグレクトは「片付けがめんどくさい」といった気持ちから生活環境や健康管理が疎かになり、生活の質が低下する状態を指します。
特に若者の間でも、ストレスや孤独感などの影響で増加しています。
本記事では、セルフネグレクトの原因や、解決方法について詳しく解説します。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
セルフネグレクトとは
セルフネグレクトとは、生活環境や健康を自分で管理するのが難しくなってしまう状態です。
「掃除が面倒」「やる気が出ない」と感じることで片付けができず、部屋が散らかったままになり、生活の質が下がってしまいます。
この状態が続くと、生活リズムが崩れやすくなり、健康面にも悪影響が出やすくなります。
セルフネグレクトの要因
セルフネグレクトは、単なる「怠け」や「性格の問題」とは異なり、心理的・精神的な要因が大きく影響しています。
特に、うつ状態やストレス、無気力などが原因で、生活の管理が難しくなるケースが多く見られます。
さらに一人暮らしの若者や高齢者は、周囲とのつながりが薄くなりやすく、その孤立感や精神的な負担が生活管理の力を低下させる要因となることもあります。
セルフネグレクトとゴミ屋敷の関係
セルフネグレクトとゴミ屋敷は深く関係していると言われます。
セルフネグレクトが進むとゴミを捨てることさえ面倒になり、部屋がゴミで溢れ「ゴミ屋敷」化してしまうケースがあります。
実際、ゴミ屋敷に住む多くの人がセルフネグレクトの状態にあると指摘されています。
関連記事:ゴミ屋敷は特殊清掃業者に任せた方が良い理由|メリットや業者選びのポイントを解説
セルフネグレクトが及ぼす影響
セルフネグレクトは本人だけでなく、周囲にも影響を及ぼすことがあります。
散らかった部屋や衛生環境の悪化は、家族や近隣の住民にとっても不快であり、トラブルの原因となることもあります。
さらに、セルフネグレクトが進行すると生活リズムが乱れやすくなり、健康に悪影響が出やすくなります。
そのため、本人の心身に大きな負担がかかることが多くなります。
セルフネグレクトは単に「片付けができない」だけでなく、心理的な負担や孤立が深く関わっている問題です。
早めに対策を取ることが大切です。
めんどくさいから起きるのか?セルフネグレクトの原因
セルフネグレクトは「めんどくさい」という気持ちがきっかけとなり、生活管理を怠ることから始まりますが、その背景には多くの原因が関わっています。
これからセルフネグレクトの主な原因を詳しく見ていきましょう。
身体的・精神的要因
体調不良や慢性的な疲労が、セルフネグレクトの大きな原因となります。
体が重く、日々の家事が負担に感じられる状態では、掃除や片付けがおろそかになりがちです。
また、うつ状態や無気力といった精神的な不調も影響しやすく、気力を削がれることで、生活環境を整える力が失われてしまいます。
心理的要因
心理的な要因としては、「どうせ片付けてもすぐ汚れる」といった無力感や、達成感が得られないことへの失望感が挙げられます。
また、自己評価が低く、自分を大切にできないと感じる場合もセルフネグレクトの原因となりやすいです。
こうした感情が積み重なることで、日々の生活を管理する意欲が失われ、悪循環に陥ることがあります。
社会的要因
人との交流が少ないこともセルフネグレクトを悪化させる一因です。
孤独を感じることで、周囲に気を遣う必要がなくなり、片付けや整理整頓の意識が薄れてしまいます。
特に一人暮らしの場合、他人の目が届かないことから、生活環境の維持が後回しになりがちです。
その他の要因
家庭環境や幼少期の経験も、セルフネグレクトの背景にあります。
子どもの頃に生活習慣が身についていなかった場合、大人になってからも片付けや清掃が苦手なままであることが多いです。
また、経済的な不安や家庭内でのトラブルが重なることで、心身ともに負担が増し、生活環境を整える余裕が持てなくなるケースもあります。
セルフネグレクトの解決方法
- 自分の状態を自覚する
- 小さな片付け目標を設定する
- 専門業者やサービスを活用する
- 心理サポートを取り入れる
- 周囲との繋がりを深める
セルフネグレクトを解決するためには、少しずつ行動を起こし、適切なサポートを受けることが重要です。
以下のステップを参考にして、生活環境の改善を進めていきましょう。
自分の状態を自覚する
まず自分がセルフネグレクト状態にあることを意識するのが第一歩です。家族や友人のサポートがあると自分の状態に気づきやすく、改善へのきっかけが生まれます。
小さな片付け目標を設定する
無理のない範囲で、小さな片付け目標を設定しましょう。テーブル周りの整理やゴミの片付けなど、すぐにできることから始め、達成感を感じることで継続する意欲が湧いてきます。
専門業者やサービスを活用する
セルフネグレクトが深刻な場合は、片付けの専門業者や清掃サービスを活用するのも効果的です。プロのサポートで短期間に環境が整うため、生活リズムを早く取り戻しやすくなります。
心理サポートを取り入れる
セルフネグレクトの背景には心の問題が関わっていることが多いです。カウンセリングやメンタルヘルスのサポートを受けることで生活への意欲も自然と高まり、根本的な改善に繋がります。
周囲との繋がりを深める
家族や友人と定期的に交流することも大切です。周囲の人と関わることで孤立感が軽減され、生活環境を整える意欲が高まります。特に一人暮らしの方にとって、信頼できる人とのつながりが、セルフネグレクト解消の大きな力となります。
セルフネグレクトを解決するには、自覚を持ち、少しずつ行動を重ねることが大切です。
プロのサポートや心理ケアを上手に取り入れながら、清潔で快適な生活を取り戻しましょう。
セルフネグレクトは若者にも多い
最近、若者がセルフネグレクトという状態になりやすくなっていることが話題になっています。
現代の若者は、仕事や学業、人間関係といったさまざまなプレッシャーやストレスを抱えることが多く、「掃除する気力が出ない」「片付けが面倒」と感じ、生活環境が整わなくなりがちです。
特に一人暮らしをしている若者は家族の支援が得にくく、孤独感や無力感から生活管理を放棄してしまうケースも増えています。
SNSの心理的な影響
SNSの普及により、若者が日常的に他人と自分を比較する機会が増えたことで、自己評価が低くなり、やる気を失う原因にもなっています。
他人の生活と比較するうちに「自分はこれでいいのか」という不安や自己否定が生じ、片付けや生活管理への意欲が低下しやすくなります。
コロナ禍による影響
コロナ禍でリモート生活が増えた結果、若者のセルフネグレクトが進行しやすくなっています。
対面でのコミュニケーションや外出の機会が減少し、一人暮らしの若者にとって孤独感が強まりました。
リモートワークやオンライン授業によって在宅時間が増えると、生活リズムが崩れやすくなり、掃除や整理整頓の意欲も下がる傾向があります。
またアルバイトや友人との交流が減ったことで社会とのつながりが希薄になり、さらに気力が失われるという状況も生まれています。
結果として、仕事やSNSそしてコロナ禍の影響が重なり、若者の間でセルフネグレクトに陥りやすい状況が広がっています
まとめ
セルフネグレクトは、掃除や片付けを「めんどくさい」と感じ、生活環境や健康管理が疎かになりがちな状態です。
特に若者の間で増えており、心理的な負担や孤独感、SNSによる自己評価の低下、コロナ禍による生活リズムの乱れなどが原因となっています。
本記事で紹介したセルフネグレクトの原因や解決策を参考に、生活支援サービスや専門業者などを活用しながら、健康で快適な生活を取り戻すための第一歩を踏み出してみましょう。