特殊清掃

孤独死の処理屋とは?選び方や費用相場や流れについて解説

近年、高齢化社会の進展とともに「孤独死」という言葉を耳にする機会が増えています。孤独死とは、誰にも看取られることなく一人で亡くなり、その後、相当期間が経過してから発見されるケースを指します。このような状況が発生した場合、通常の清掃では対応できない特殊な処理が必要となります。

本記事では、孤独死が発生した際に欠かせない「孤独死の処理屋」について詳しく解説します。特殊清掃の必要性やサービス内容、費用相場、選び方のポイントなど、知っておくべき情報を網羅的にお伝えします。万が一の事態に備えて、ぜひ参考にしてください。

記事監修者プロフィール

遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。

遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)


株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井

目次

孤独死の処理屋とは?

孤独死の処理屋とは、一般的に「特殊清掃業者」と呼ばれる専門業者のことです。これらの業者は、通常の清掃会社では対応できない特殊な状況下での清掃や消毒、消臭作業を専門的に行います。

孤独死現場では、発見までに時間が経過していることが多く、遺体から出る体液や血液が床や壁に染み込み、強い悪臭や細菌が発生している場合があります。さらに、夏場であれば虫が湧いたり、冬場でも室内の温度によっては腐敗が進行したりすることもあります。

このような特殊な状況に対応するため、専門知識と技術、そして特殊な機材を持った業者が「孤独死の処理屋」として活動しています。彼らは単なる清掃だけでなく、遺品の整理や処分、部屋の消臭・除菌、必要に応じてリフォームまで一貫して行うことができます。

特殊清掃業者は、遺族や大家さんの精神的負担を軽減するという重要な役割も担っています。突然の不幸に直面し、精神的にショックを受けている遺族にとって、故人が最期を迎えた場所の処理は非常に辛い作業です。また、賃貸物件の所有者にとっても、次の入居者を迎えるための準備は大きな負担となります。こうした状況で、プロフェッショナルとして迅速かつ丁寧に対応することで、関係者の負担を軽減する役割を果たしているのです。

特殊清掃しないとどうなる?

孤独死が発見された部屋を特殊清掃せずに放置すると、さまざまな深刻な問題が発生します。時間の経過とともにこれらの問題は悪化し、後々より大きな負担となってしまうことをご存知でしょうか。

まず最も顕著な問題は、強烈な悪臭の発生です。遺体から出る体液や分解過程で生じるガスは、時間の経過とともに床や壁、天井などの建材に深く浸透していきます。この悪臭は単なる不快感だけでなく、同じ建物の他の部屋や共用部分にまで広がり、近隣住民の日常生活にも深刻な影響を及ぼします。一度建材に染み込んだ臭いは、一般的な消臭剤では完全に除去することが困難であり、特殊な薬剤と技術が必要となります。

次に衛生面での危険性が挙げられます。遺体の腐敗により発生する細菌やウイルスは、健康被害を引き起こす可能性があります。また、ハエやゴキブリなどの害虫が発生し、さらには室内でネズミなどの小動物が繁殖することもあります。これらの生物は病原体を運び、二次的な感染症の原因となる恐れがあります。

建物自体への物理的な損傷も見過ごせません。体液が床材や壁紙に浸透すると、シミやカビの原因となり、長期間放置すれば建材の腐食や構造的な劣化をもたらします。最終的には、床や壁の張り替えといった大規模なリフォームが必要になることも少なくありません。

心理的な影響も深刻です。孤独死が発生した部屋は、適切に処理されないと「事故物件」としてのイメージが定着してしまいます。遺族や不動産所有者にとって、このような状態が続くことは大きな精神的負担となります。特に賃貸物件の場合、次の入居者を見つけることが極めて困難になり、資産価値の大幅な低下を招くこともあります。

このように、特殊清掃を行わないことのリスクは多岐にわたります。悪臭や衛生問題を解決し、部屋を元の状態に戻すためには、専門的な知識と技術を持った特殊清掃業者による迅速な対応が不可欠なのです。

孤独死の処理屋が実施しているサービス

孤独死の処理屋、すなわち特殊清掃業者は、単なる清掃にとどまらない多岐にわたるサービスを提供しています。遺族や不動産所有者の負担を軽減するため、現場発見から部屋の再生まで一貫した対応が可能なのが特徴です。ここでは、主なサービス内容について詳しく解説します。

害虫駆除

孤独死現場では、発見が遅れるほど害虫の発生が深刻な問題となります。特に夏場や湿度の高い環境では、ハエやウジ虫が大量発生し、さらにはゴキブリやダニなどの害虫も繁殖しやすくなります。

特殊清掃業者は、専門的な殺虫剤や機材を使用して徹底的な害虫駆除を行います。単に目に見える害虫を除去するだけでなく、壁の隙間や床下、天井裏など、目に見えない場所に潜んでいる害虫やその卵まで徹底的に駆除します。また、再発防止のための処置も同時に行い、長期的な視点での衛生環境の確保を実現します。

部屋の清掃

孤独死現場の清掃は、一般的な掃除とは次元が異なります。体液や血液が床や壁に染み込んでいる場合、特殊な洗浄剤と専用機材を用いた徹底的な清掃が必要です。

特殊清掃業者は、まず汚染物質を丁寧に取り除き、次に専用の洗浄剤で念入りに洗浄します。必要に応じて、床材や壁紙の一部を切り取り、下地から処理することもあります。また、目に見えない微細な汚れまで検知する特殊な機器を使用し、肉眼では確認できない汚染まで徹底的に除去します。

清掃作業は、単なる表面的な掃除ではなく、衛生面と安全面を最優先に考えた専門的な処理なのです。

悪臭の除去

孤独死現場特有の悪臭は、一般的な消臭剤では除去が困難です。体液や分解物質が建材に深く染み込んでいるため、専門的な脱臭処理が不可欠となります。

特殊清掃業者は、オゾン発生装置や特殊な消臭剤を使用し、悪臭の元となる物質を化学的に分解します。また、部屋全体を密閉して行う燻蒸処理や、建材自体に消臭効果のある薬剤を浸透させる処理など、複合的なアプローチで根本的な脱臭を実現します。

特に、床下や壁の内部など、直接アクセスが難しい場所の臭いにも対応できるのが、専門業者ならではの強みです。

部屋のリフォーム

汚染が深刻な場合、清掃だけでは対応できないこともあります。床や壁、天井などの建材が深刻に損傷している場合には、部分的または全体的なリフォームが必要となります。

特殊清掃業者の多くは、リフォーム工事も提供しており、壁紙の張り替えから床材の交換、さらには給排水設備やエアコンのクリーニングまで対応可能です。場合によっては、部屋の内装を一新することで、物理的にも心理的にも新しい環境を作り出します。

このリフォームサービスは、特に賃貸物件において次の入居者を迎えるための重要な工程となります。

遺品整理

故人の遺品整理は、遺族にとって精神的に非常に負担の大きい作業です。思い出の品に触れながらの整理作業は、悲しみを再び呼び起こすことも少なくありません。

特殊清掃業者は、遺族の気持ちに配慮しながら、遺品の仕分けや整理を代行します。貴重品や思い出の品は丁寧に取り分け、不要なものは適切に処分するというデリケートな作業を、専門的な知識と経験に基づいて行います。

また、遺品整理には法的な側面もあります。相続問題に絡む可能性のある遺品の取り扱いには細心の注意を払い、問題が生じないよう配慮します。

遺品の買取

孤独死現場に残された遺品の中には、骨董品や美術品、家電製品など、まだ価値のあるものも少なくありません。こうした物品を適切に評価し、買い取るサービスも提供しています。

特殊清掃業者の中には、リサイクルショップを併設していたり、買取専門業者と提携していたりするところもあり、遺品の価値を適正に評価した上での買取を行います。これにより、清掃・処分費用の一部を相殺できるケースもあります。

特に、大型家具や家電製品などは処分するとかえって費用がかかることもありますが、買取サービスを利用することで経済的な負担を軽減できる可能性があります。

以上のように、孤独死の処理屋は清掃にとどまらない総合的なサービスを提供しています。一括して依頼することで、遺族や不動産所有者の精神的・経済的負担を大幅に軽減することができるのです。

特殊清掃費用相場について

孤独死の現場対応を検討する際、多くの方が気になるのが費用の問題です。「一体いくらかかるのか」「その費用は誰が負担するのか」といった疑問は、突然の出来事に直面した遺族や不動産所有者にとって切実な問題です。ここでは、特殊清掃の費用相場と負担者について、できるだけ具体的な情報をお伝えします。

費用相場

特殊清掃の費用は、現場の状況や作業内容によって大きく変動します。一律の料金設定はなく、個々のケースに応じた見積もりが一般的です。しかし、おおよその相場感を持っておくことは重要です。

基本的な特殊清掃の最低費用は、約3万円から始まることが多いですが、実際には以下の要因によって費用が変動します。

  • 部屋の広さ
  • 発見までの経過時間
  • 季節や気温
  • 汚染の程度
  • 追加作業の有無

部屋の広さ:当然ながら、広い部屋ほど費用は高くなります。一般的な1Kのアパートであれば3〜10万円程度、2LDKのマンションになると10〜20万円程度が相場となることが多いでしょう。

発見までの経過時間:発見が遅れるほど汚染は深刻になり、費用も上昇します。数日以内の発見なら比較的低コストで済むことが多いですが、数週間以上経過した場合は大幅に費用が増加する可能性があります。

季節や気温:夏場や暖房の効いた冬場は腐敗が早く進み、作業が複雑になるため費用が高くなる傾向があります。

汚染の程度:体液の浸透範囲や害虫の発生状況など、汚染の程度によって費用は大きく変わります。床下や壁内部まで汚染が広がっている場合は、大規模な工事が必要になることもあります。

追加作業の有無:基本的な清掃に加えて、害虫駆除、消臭作業、遺品整理、リフォームなど、追加サービスを依頼するほど総額は増加します。

具体的な金額の目安としては、軽度の場合で3〜10万円、中程度で10〜30万円、重度の場合は30万円以上かかることもあります。中には100万円を超えるケースもあり、状況によって大きく異なることを理解しておく必要があります。

また、多くの業者は無料で現場調査と見積もりを行ってくれますので、複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。料金体系が明確で、追加料金の発生条件などが詳しく説明されている業者を選ぶことが重要です。

誰が払うのか?

特殊清掃費用の負担者については、以下のような順番で検討されるのが一般的です。

負担者負担する条件・状況備考・注意点
故人の財産故人に十分な預貯金や資産がある場合相続財産から葬儀費用と同様に優先的に支払われる
相続人故人の財産が不足する場合法定相続人(子供、配偶者、親、兄弟姉妹など)が法定相続分に応じて分担
連帯保証人賃貸物件で、契約時に連帯保証人が設定されている場合賃貸契約の内容によっては原状回復費用の負担義務がある
保険会社・保証会社孤独死補償の特約がある保険や保証サービスに加入していた場合家財保険や賃貸住宅総合保険、家賃保証サービスなどが該当する
大家・不動産会社上記の負担者がいない、または支払い能力がない場合最終的には物件所有者が負担することが多い
行政負担者が全く見つからず、公衆衛生上の問題がある場合非常に稀なケースで、自治体により対応が異なる

実際には、これらの負担者間で協議や調整が行われることが多く、状況に応じた柔軟な対応が求められます。また、賃貸物件の場合は敷金から清掃費用が差し引かれることもありますが、特殊清掃の費用は通常の原状回復費用を大きく上回ることが多いため、敷金だけでは不足するケースがほとんどです。

このように、特殊清掃の費用負担は複雑な問題であり、故人との関係性や契約内容、保険の加入状況などによって大きく変わってきます。突然の出来事に混乱する中でも、冷静に対応することが重要です。

1

警察に連絡をする

孤独死を発見したら、まず最寄りの警察署へ連絡してください。110ではなく警察署の代表番号への連絡が適切です。

重要: 警察が到着するまで現場の状況を変えないでください。検視や現場検証が必要です。
2

家族や親戚に連絡をする

警察への連絡と並行して、または警察の現場検証が始まった段階で、故人の家族や親族に連絡します。

  • 近親者から順に連絡
  • 直接電話で伝える(メールやSNSは避ける)
  • 状況を簡潔かつ正確に伝える
  • 必要に応じて葬儀や法事の予定も伝える
3

特殊清掃をしてくれる業者に依頼する

警察の検視・検証が終了し、遺体が搬送された後、特殊清掃業者に依頼します。

業者選びのポイント:

  • 24時間・即日対応可能か確認
  • 複数の業者から見積もりを取る
  • 明確な料金体系を持っているか
  • 追加料金が発生する条件を確認
  • 遺品の取り扱いについて事前に取り決め

孤独死が起きた現場の特殊清掃の流れ

孤独死が発生した現場では、専門的な知識と技術を持った特殊清掃業者による適切な対応が必要です。ここでは、特殊清掃の具体的な流れについて、段階を追って解説します。これらの工程は状況によって前後したり、並行して行われたりすることもありますが、基本的な流れとして理解しておくと良いでしょう。

清掃

特殊清掃の最初のステップは、汚染された現場の清掃作業です。この段階では、特に衛生面と安全面に最大限の配慮がなされます。

まず、作業員は感染症対策として防護服、マスク、ゴーグル、手袋などの個人防護具を着用します。これは作業員自身の安全を確保するだけでなく、二次汚染を防ぐためにも重要なプロセスです。

次に、汚染物質の除去作業に入ります。体液や血液が染み込んだカーペットや畳、床材などは、専用の洗浄剤を用いて丁寧に清掃します。汚染が深刻な場合、これらの素材は完全に取り除き、適切に処分されることもあります。

壁や天井についても同様に、汚染の程度に応じて洗浄または一部撤去などの対応が行われます。特に、体液が壁の中まで浸透している場合は、壁の内部まで処理する必要があることもあります。

また、室内の空気中に浮遊している細菌やウイルスを除去するため、HEPA(高性能微粒子捕集)フィルター付きの空気清浄機や、紫外線殺菌装置などが使用されることもあります。

これらの清掃作業は、単に見た目をきれいにするだけでなく、目に見えない微生物レベルでの衛生的な環境を取り戻すことを目的としています。

遺品整理・処分

清掃と並行して、または清掃の前段階として、故人の遺品の整理・処分作業が行われます。この作業は遺族の気持ちに十分配慮しながら進められます。

まず、遺品は大きく以下のように分類されます:

  • 保存すべき貴重品(貴金属、現金、通帳、証書類など)
  • 遺族に返却すべき思い出の品(写真、手紙、記念品など)
  • リサイクル・買取可能な品(家電、家具、骨董品など)
  • 処分すべき品(使用済み日用品、汚染された物品など)

貴重品や思い出の品は丁寧に清掃・消毒した上で、専用の袋やボックスに保管されます。これらは後日、遺族に確認の上、返却されます。

リサイクルや買取が可能な品目は、状態を確認した上で、専門業者による査定が行われることもあります。これにより、清掃費用の一部を相殺できる可能性もあります。

処分すべき品は、一般ゴミ、産業廃棄物、感染性廃棄物などに適切に分類され、法令に従って処分されます。特に、体液などで汚染された物品は、感染性廃棄物として特別な処理が必要となります。

この遺品整理の段階では、遺族の意向を最大限尊重することが重要です。事前に遺族と相談し、整理方針を決めておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

リフォーム

清掃だけでは対応できない深刻な汚染がある場合、リフォーム工事が必要となることがあります。特に、長期間発見されなかった孤独死の現場では、建材自体の交換が必要になるケースが少なくありません。

リフォームが必要となる主な箇所としては:

  • 床材(フローリング、畳、カーペットなど)
  • 壁紙や壁の下地材
  • 天井材
  • 建具(ドア、窓枠など)
  • 水回り設備(特に浴室での孤独死の場合)

リフォーム工事の範囲は、現場の状況によって大きく異なります。軽微な場合は部分的な修繕で済むこともありますが、重度の汚染の場合は、部屋全体の内装を一新することもあります。

賃貸物件の場合、リフォームの範囲や内容については、物件所有者や管理会社との協議が必要となります。特に、原状回復の範囲を超える改修については、費用負担の問題も含めて事前に合意を得ておくことが重要です。

また、リフォーム工事においては、単に見た目を回復するだけでなく、構造的な安全性や、将来的な問題(カビの発生など)を防ぐための対策も考慮されます。

消臭・脱臭

特殊清掃の最終段階として、消臭・脱臭作業が行われます。孤独死現場特有の悪臭は、一般的な家庭用消臭剤では完全に除去することが難しいため、専門的な処理が必要です。

消臭・脱臭の主な方法▼

消臭方法原理・特徴適用場所・状況効果・メリット
オゾン発生装置による処理オゾンの強力な酸化力を利用して臭いの元となる物質を化学的に分解密閉された室内空間全体空間内の悪臭分子を根本的に分解し、消臭効果が持続的
特殊消臭剤の使用浸透性の高い特殊消臭剤が臭いの原因物質と化学反応して中和建材に染み込んだ臭い、床・壁・天井などの表面単なるマスキングではなく、臭いの原因物質そのものを中和
バイオ消臭微生物の力を利用して臭いの元となる有機物を分解床下や壁の中など直接アクセスが難しい場所自然由来の微生物による分解で環境にやさしく、アクセス困難な場所にも効果的
サーマルフォギング特殊装置で消臭剤を霧状にし、空間全体に均一に拡散広範囲の室内空間、家具や設備のすき間部屋のすみずみまで消臭剤が行き渡り、効率的な脱臭が可能

これらの消臭処理は、単発ではなく複数回にわたって行われることが多く、完全な脱臭を実現するまでには時間がかかることもあります。特に、建材深くに浸透した臭いの場合は、継続的な対応が必要となることもあります。

最終的には、第三者による臭気チェックを行い、一般的な生活に支障がないレベルまで脱臭されたことを確認して作業完了となります。

以上の流れを経て、孤独死が発生した部屋は物理的にも心理的にも新しい状態へと生まれ変わります。専門業者による適切な処理は、遺族や物件所有者の負担を軽減するだけでなく、次の入居者が安心して生活できる環境を整えるためにも不可欠なのです。

孤独死の処理屋の選び方

孤独死の処理、特に特殊清掃を依頼する業者選びは非常に重要です。適切な業者を選ぶことで、精神的負担の軽減だけでなく、費用面でも無駄を省くことができます。また、法的にも適切な処理が行われることで、後々のトラブルを回避することができるでしょう。ここでは、信頼できる業者を選ぶための3つの重要なポイントについて解説します。

実績が豊富にある

特殊清掃業者を選ぶ際、最も重視すべき点の一つが「実績」です。豊富な実績を持つ業者は、様々な状況に対応してきた経験があり、予期せぬ問題にも柔軟に対処できる可能性が高いと言えます。

実績を確認する方法

  • 会社のウェブサイトで施工事例や年間対応件数をチェックする
  • 創業年数や業界での活動期間を確認する
  • 具体的な対応事例(もちろん個人情報に配慮したもの)が紹介されているかを見る
  • 行政機関や不動産会社、警察などからの紹介実績があるかを調べる

特殊清掃は一般的な清掃とは大きく異なり、その技術や知識は実践を通じて蓄積されるものです。例えば、発見までの時間が長い場合の対応方法や、様々な建材に対する最適な処理方法などは、豊富な経験があってこそ身につくものです。

また、実績豊富な業者は、孤独死という非常にデリケートな状況に対しても、適切な対応やコミュニケーションの取り方を心得ていることが多いです。遺族の気持ちに配慮しながら、専門的な視点から必要なアドバイスができる業者を選ぶことが重要です。

「実績10年以上」「年間対応件数300件以上」などの具体的な数字が示されている業者は、一定の信頼性が期待できるでしょう。ただし、単に数字だけでなく、その実績の内容も重要です。孤独死の特殊清掃の実績なのか、それとも一般的な遺品整理や片付けの実績なのかを区別して確認することをお勧めします。

見積もり内容が明確

特殊清掃は状況によって費用が大きく変動するため、見積もりの明確さは業者選びの重要なポイントとなります。適切な業者は、現場の状況を詳細に確認した上で、明確で透明性の高い見積もりを提示してくれます。

チェックポイント

  • 無料で現地調査・見積もりを行ってくれるか
  • 見積書に作業内容が詳細に記載されているか
  • 基本料金と追加料金の区分が明確か
  • 予期せぬ状況が発生した場合の対応方針が示されているか
  • 支払い条件(前払い、後払い、分割払いなど)が明確か

良質な業者は、見積もり段階で部屋の状況を詳細に調査し、写真撮影なども行った上で、具体的な作業内容と費用を提示します。例えば、「特殊清掃一式」という曖昧な表現ではなく、「血液汚染部分の除去」「床下浸透部分の処理」「壁紙交換」など、具体的な作業内容とその費用が明記されているべきです。

また、見積もりの際には、作業完了までの期間や、作業中の注意事項(隣室への配慮、騒音対策など)についても説明があると安心です。

さらに、良心的な業者は「適正価格」を提示します。あまりに安価な見積もりは、作業の質に問題がある可能性や、後から追加料金が発生するリスクもあります。逆に、著しく高額な見積もりは、不当な請求の可能性も考えられます。複数の業者から見積もりを取り、平均的な価格帯を把握することが重要です。

廃棄物を処理するための資格がある

特殊清掃では、一般廃棄物だけでなく、産業廃棄物や場合によっては感染性廃棄物など、特別な取り扱いが必要な廃棄物が発生します。これらを適法に処理するためには、業者が必要な資格や許可を持っていることが不可欠です。

確認すべき資格・許可

  • 一般廃棄物収集運搬業許可
  • 産業廃棄物収集運搬業許可
  • 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可(感染性廃棄物などを取り扱う場合)
  • 古物商許可(遺品を買い取る場合)
  • 遺品整理士や特殊清掃士などの民間資格

これらの資格や許可の有無は、業者の公式ウェブサイトで確認できることが多いですが、不明な場合は直接問い合わせることをお勧めします。信頼できる業者は、喜んで資格情報を開示してくれるはずです。

特に重要なのは廃棄物処理に関する許可です。孤独死現場から出る廃棄物は、体液などで汚染されている可能性があり、特別な処理が必要となることがあります。無許可の業者に依頼すると、不法投棄などの問題が発生するリスクがあります。また、こうした不適切な処理が発覚した場合、依頼者側にも責任が及ぶ可能性があるため注意が必要です。

さらに、業者のスタッフが特殊清掃士や遺品整理士などの専門資格を持っていることも、一つの指標となります。これらの資格は、法的な効力よりも専門知識の証明としての意味合いが強いですが、業者が専門性向上に取り組んでいることの表れと言えるでしょう。

適切な資格と許可を持つ業者を選ぶことは、法令遵守だけでなく、環境への配慮や社会的責任の観点からも重要です。また、こうした面での信頼性は、業務全体の質にも反映されることが多いため、業者選びの重要な判断材料となります。

以上の3つのポイントを中心に、丁寧に業者を選定することで、この困難な状況をより円滑に乗り越えることができるでしょう。特殊清掃は一度きりの対応となることが多いだけに、信頼できる業者を選ぶことの重要性は非常に高いと言えます。

まとめ

孤独死は誰にとっても辛い出来事ですが、適切な対応と専門家のサポートがあれば、その後の負担を軽減することができます。特に遺族や不動産所有者にとって、信頼できる特殊清掃業者の存在は大きな支えとなるでしょう。

また、孤独死を予防するための取り組みも重要です。高齢者や一人暮らしの方々との定期的な連絡や見守りサービスの活用、地域コミュニティとのつながりを持つことなどが有効な予防策となります。

万が一の事態に備え、この記事の情報が少しでもお役に立てれば幸いです。孤独死という辛い現実に直面したとき、適切な知識を持っていることで、冷静な判断と対応が可能になります。