女性の社会進出が増えたとはいえ、50〜60代となると娘が親の面倒を見て、息子は働きに出ていることが多いでしょう。そのような状況だと、親が亡くなった後の実家の片付けも娘に押し付けていることがあります。
しかし、実家の片づけは到底一人で終えられるような作業ではありません。娘だけに押し付けていると片付けが終わらず、相続や税金の手続きに間に合わなくなることも考えられるでしょう。
本記事では、実家の片付けは娘が行うべきなのか解説したうえで、片付けの進め方や遺品整理業者の選び方を解説していきます。
実家の片付けは娘が行うべき?
親が亡くなった後の実家の片付けは、娘だけに任せるのではなく、子ども全員で分担して行いましょう。
実家は親や子が何十年も暮らしてきたことから、多くの遺品が残されています。娘だけで何十年も積み重なってきたものを片付けるのは、容易ではありません。最悪の場合、相続や税金の手続きに間に合わなくなり、延滞税や加算税が科せられることもあります。
そのような事態を避けるためにも、親が亡くなった後の実家の片付けは子ども全員で分担して行うべきです。早いうちから日程調整をして、一気に作業を進めましょう。
女性だけだと苦労する場面も多い
実家の片付けは女性だけだと苦労する場面が多く、作業が難航してしまうでしょう。
実家はかつて親だけでなく子どもも暮らしていたため、当時の大型家電や大型家具を使用しているケースも多いです。女性だけだと大型家電や大型家具の搬出ができず、実家の片付けが進まないことがあります。
また、搬出以外にも高い場所のものを下ろしたり、固いものを開けたりなど、なにかと男手が必要です。仕事や生活で忙しいかもしれませんが、実家の片付けは兄弟や親族で分担して進めるようにしましょう。
実家を片付けるときの手順
親が亡くなった後に実家を片付けるときは、次の手順で進めていくのがおすすめです。
- 遺言書やエンディングノートを確認する
- 遺品の選別をする
- リサイクルに出す品を選別する
- ゴミの分別をする
- 処分と清掃をする
どのようなことをすればいいのか、詳しい内容を解説していきます。
遺言書やエンディングノートを確認する
実家の片づけを始める前に、まずは遺言書やエンディングノートを確認してください。
遺言書やエンディングノートは故人が生前のうちに自分の意向を記したものです。相続に関連することや葬儀の希望などが記載されています。なかには、遺品の処分方法や譲渡先が残されていることもあるので、必ず片づけを始める前に確認するようにしましょう。
遺品の選別をする
次に、遺品を残しておくものと処分するものに選別します。
このときに一番重要なのが、独断で行わないことです。独断で行うと遺品への思い入れの違いから、遺品の処分を巡って家族や親族とトラブルになることがあります。余計なトラブルを避けるためにも、遺品の選別を終えたら、家族や親族に確認してもらうようにしましょう。
また、どのような遺品を残しておくのか明確な基準を話し合っておけば、遺品の選別はスムーズに進みます。
リサイクルに出す品を選別する
遺品の選別を追えたら、処分するもののなかから、リサイクルに出す品を選別していきましょう。
遺品のなかには家電や大型家具など、処分に費用がかかるものがあります。処分に費用がかかる遺品は、リサイクルに出すと費用をかけずに処分できるでしょう。
また、故人にとっても愛用していた品なので、処分するより次の誰かの手に渡るほうが嬉しいはずです。処分するもののなかでも、新しい品やきれいな品は積極的にリサイクルへ出しましょう。
ゴミの分別をする
リサイクルに出す品の選定が終わったら、普段と同様にゴミの分別を行います。
ゴミの分別は間違えると回収してもらえないため、事前に地域に沿ったゴミの分別方法を確認しておきましょう。分からないことがあれば、ちゃんと市のホームページや電話で質問してください。
処分と清掃をする
ゴミの分別を終えたら、ゴミ出しをして清掃をするだけです。ゴミ出しについても地域によって違いがあるため、事前に確認しておいてください。
また、実家の清掃は範囲が広く、おそらく一日では終わらないでしょう。しかし、ここまで片づけを終えていれば、相続や税金に関係する品は実家に残されていないはずです。期限に追われることもないので、ゆっくり進めていきましょう。
状況によっては遺品整理業者を利用しよう
実家がゴミ屋敷化している場合や片付けの終わりが見えない場合は、遺品整理業者の利用を検討しましょう。
遺品のなかには、相続や税金に関連する品や書類が残されていることがあります。相続や税金には期限が定められているため、間に合うように実家を片付けて必要なものを見つけ出さなければなりません。
しかし、実家がゴミであふれかえっていたり、兄弟や親族と作業を分担できなかったりすると、期限までに片づけを終えられないでしょう。そのようなときは無理をせず、遺品整理業者に依頼するのがおすすめです。
遺品整理業者の選び方
遺品整理業者を選ぶときは、次の3つのポイントを意識することで費用を抑えられたり、親切な業者を見つけられたりします。
- エリア
- 資格の有無
- 明朗な見積内容
具体的にどのようなことを意識すればいいのか、詳細な内容を解説していきます。
エリア
実家があるエリアに対応した遺品整理業者を選ぶことで、作業員の拘束時間が少なくなり、費用を抑えられます。
遺品整理にかかる費用を算出するには部屋の広さだけでなく、作業員の人数や拘束時間が重要です。実家から離れている業者へ依頼してしまうと、移動だけで時間がかかり、費用が高くなってしまうでしょう。
エリアに対応した業者を探すときは、検索エンジンで「〇〇(実家がある市町村) 遺品整理業者」と検索するのがおすすめです。地名と一緒に遺品整理業者を検索することで、入力した地名に対応した業者を絞り込みます。
資格の有無
優れた遺品整理業者は、遺品整理や不用品回収に関連した資格を取得していることが多いです。
遺品整理は必須資格がなく誰にでも始めやすいことから、一定数の未熟な業者や悪徳業者がいます。一方で、優れた遺品整理業者は関連する資格を取得して専門性を高めているため、信頼性も高いといえるでしょう。
資格の有無では、主に次の4つの資格を取得しているか確認してください。
- 一般廃棄物収集運搬許可証
- 産業廃棄物収集運搬許可証
- 古物商許可
- 遺品整理士
特に、不用品回収を行う業者は「一般廃棄物収集運搬許可証」が、買取を行う業者は「古物商許可」が必須です。資格を取得していればホームページに掲載しているはずなので、よく調べてみてください。
明朗な見積内容
明朗な見積書を提示する業者を選ぶと、費用に関するトラブルを避けられます。
遺品整理に多いトラブルが費用に関係することです。追加請求や二重請求など、費用を巡るトラブルは尽きません。そのような事態を避けるためにも、明朗な見積書を提出する業者を選んでください。
具体的には、作業内容を明確に記したうえで、作業ごとに費用を算出している業者が望ましいです。また、見積書に追加費用に関する記述がなければ発生条件を確認して、見積書に記載してもらうようにしましょう。
まとめ
親が亡くなった後の実家の片付けは、娘だけで行うと作業量の多さから、相続や税金の手続きに間に合わなくなる可能性があります。期限に間に合わせるためにも、子どもたち全員で分担して作業を行いましょう。
しかし、実家の状況によっては遺品整理業者へ依頼したほうが良いこともあります。期限までの日数や遺品の量を考えて、必要であれば遺品整理業者へ依頼しましょう。