「実家の片付け、何から手をつければいいのだろう…」「家財整理と遺品整理って、具体的に何が違うの?」「業者に頼みたいけど、費用が高そうで不安…」。
親の高齢化や自身の引っ越し、空き家になった実家のことなど、様々なきっかけで「家財整理」という言葉が頭をよぎる瞬間があるかもしれません。
しかし、その具体的な意味や進め方、費用については、意外と知られていないことが多いのではないでしょうか。
この記事を読めば、あなたに最適な家財整理の進め方がきっと見つかるはずです。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
家財整理とは?基本の定義と他の整理との違いを解説
家財整理とは、その名の通り「家にある財産を整理すること」です。
しかし、この言葉は使われる状況によって少し意味合いが変わってきます。
まずは、家財整理の基本的な定義と、他の整理との違いを明確にしましょう。
この作業は、単なる片付けや処分以上の意味を持ち、人生の節目における重要な目的を達成するために行われます。
家財整理が指す「2つの意味」
家財整理には、大きく分けて2つの意味合いがあります。
- 家の財産を処分・片付けする作業そのもの
これは最も広い意味での家財整理です。引っ越しや家の売却、断捨離などを機に、不要になった家具や家電、衣類などを処分し、家の中をスッキリさせる行為全般を指します。例えば、「引っ越しのために家財整理をする」といった使い方です。 - 「遺品整理」「生前整理」「空き家整理」の総称
専門業者などが使う場合、家財整理はより専門的な整理作業の総称として用いられることがあります。故人の残した品々を整理する「遺品整理」、自身の死後に備えて身の回りを整理する「生前整理」、誰も住まなくなった家の物を片付ける「空き家整理」。これらは目的が異なりますが、家にある財産を整理するという点では共通しており、まとめて「家財整理」と呼ばれることがあります。
家財整理で処分対象となる具体的な品目
家財整理では、家の中にあるあらゆるものが整理の対象となります。具体的には以下のようなものです。
- 大型家具: タンス、食器棚、ベッド、ソファなど
- 家電製品: 冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンなど
- 衣類・寝具: 洋服、着物、布団、タオルなど
- 書籍・書類: 本、雑誌、アルバム、契約書など
- 食器・調理器具: 鍋、フライパン、皿、カトラリーなど
- 趣味の品・骨董品: 楽器、絵画、コレクション品など
特に、写真や手紙、趣味で集めたものなど、思い出の品は処分を迷いがちです。しかし、すべてを残すのは難しいため、自分なりの基準を決めて仕分けすることが大切になります。
【目的別】家財整理の主なきっかけ
人々が家財整理を行うきっかけは様々です。ここでは、主なきっかけを目的別に見ていきましょう。
- 新生活の準備: 引っ越し、結婚、家の建て替えなど
- 生活環境の改善: 断捨離、部屋の模様替え、収納スペースの確保
- 終活の一環: 生前整理として、残される家族の負担を減らすため
- 故人を偲ぶため: 遺品整理として、故人の思い出の品を整理する
- 資産の有効活用: 空き家整理を行い、賃貸や売却の準備をする
このように、家財整理はそれぞれの人生のステージや目的に応じて行われる、非常に重要な作業なのです。
関連記事例: 【断捨離のコツ】初心者でも失敗しない進め方と効果を解説
遺品整理・生前整理・空き家整理とは?それぞれの目的と特徴
家財整理という大きな枠組みの中に、「遺品整理」「生前整理」「空き家整理」があります。これらは似ているようで、その目的と特徴は大きく異なります。ここでは、それぞれの違いを詳しく解説します。これらの整理は、不動産の相続問題とも密接に関わることがあります。
遺品整理:故人への最後のお別れと法的手続き
遺品整理とは、故人が生前に使用していた品々(遺品)を整理することです。これは単なる片付けではなく、故人との思い出を整理し、感謝を伝えてお別れをするための大切な儀式でもあります。
作業の中では、遺言書や相続関連の重要書類、貴重品などが見つかることも少なくありません。そのため、法的な手続きを適切に進める上でも非常に重要な作業となります。残されたご遺族だけで行うこともあれば、専門の遺品整理業者に依頼することもあります。
生前整理:残された家族への負担軽減と自身の心の整理
生前整理とは、自分自身が元気なうちに、身の回りの財産や持ち物を整理しておくことです。最大の目的は、自分が亡くなった後に家族が遺品整理で苦労しないように、負担を軽減することにあります。
整理するものは、家具や衣類といった物理的なものに限りません。銀行口座や保険、スマートフォンのデータやSNSアカウントといったデジタル資産の整理も含まれます。生前整理は、自身の人生を振り返り、これからの生き方を見つめ直す良い機会にもなります。
空き家整理:資産活用に向けた整理と管理
空き家整理とは、長期間誰も住んでいない家の家財を整理し、片付けることを指します。親が施設に入居したり、亡くなったりして実家が空き家になるケースが増えています。
その目的は、不動産として売却や賃貸、解体など、次の活用ステップに進める状態にすることです。放置された空き家は、防犯上・衛生上の問題を引き起こす可能性もあります。空き家整理は、故人の品々を整理する遺品整理の側面を併せ持つことも多く、資産管理の観点から非常に重要です。
関連記事例: 空き家問題の解決策とは?放置するリスクと活用事例を紹介
あなたはどっち?自分で行う家財整理 vs 業者に依頼する家財整理
家財整理を進めるにあたり、最初の大きな選択肢が「自分で行うか」「専門業者に依頼するか」です。それぞれにメリットとデメリットがあるため、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
自分で行う場合 | 業者に依頼する場合 | |
メリット | ・費用を抑えられる<br>・自分のペースで進められる<br>・精神的な整理がしやすい | ・時間と労力を節約できる<br>・計画通りに作業が進む<br>・精神的な負担が少ない<br>・専門的な対応が可能<br>・適切な処分をしてくれる |
デメリット | ・時間と労力がかかる<br>・精神的な負担が大きい<br>・専門知識が必要な場合がある<br>・人手が足りない | ・費用がかかる<br>・悪徳業者に依頼するリスクがある |
こんな場合は業者に頼むべき!依頼がおすすめのケース
以下のようなケースでは、無理をせず専門業者への依頼を検討することをおすすめします。
- 家財の量がとにかく多い(ゴミ屋敷状態など)
- 特殊清掃や消臭が必要な現場
- 整理する家が遠方にある
- 仕事などが忙しく、整理する時間がない
- 精神的な負担が大きく、自分で進めるのが辛い
- 貴重品(タンス預金など)を捜索してほしい
- 価値のあるものを適切に買取してほしい
- 賃貸物件の退去日が迫っている
関連記事例: 遺品整理を自分で行う全手順と注意点を徹底解説
家財整理の料金相場と費用を抑えるポイント
業者に依頼する場合、最も気になるのが費用ではないでしょうか。ここでは、家財整理の料金相場と、少しでも費用を安く抑えるための賢い方法をご紹介します。買取サービスやオプションをうまく活用することがポイントです。
【間取り別】家財整理・遺品整理の費用相場(表形式)
料金は、部屋の広さ(間取り)と荷物の量によって決まるのが一般的です。以下はおおよその目安です。
間取り | 料金目安 | 作業人数 | 作業時間 |
1K | 30,000円~80,000円 | 1~2名 | 2~4時間 |
1DK | 50,000円~120,000円 | 2~3名 | 3~6時間 |
1LDK | 70,000円~200,000円 | 2~4名 | 4~8時間 |
2DK | 90,000円~250,000円 | 3~5名 | 5~10時間 |
2LDK | 120,000円~300,000円 | 3~6名 | 6~12時間 |
3DK | 150,000円~400,000円 | 4~7名 | 8~15時間 |
3LDK | 170,000円~500,000円 | 4~8名 | 1~2日 |
4LDK以上 | 220,000円~ | 5名~ | 2日~ |
※上記はあくまで目安です。荷物の量や建物の状況(エレベーターの有無など)によって料金は変動します。正確な費用は必ず見積もりで確認してください。
追加料金が発生しやすいオプションサービスとその相場(表形式)
基本料金に含まれないオプションサービスを依頼すると、追加で費用が発生します。
オプションサービス | 料金相場 | 内容 |
ハウスクリーニング | 20,000円~ | キッチン、浴室などの専門的な清掃 |
エアコンの取り外し | 5,000円~/台 | 標準的な設置のエアコン取り外し |
遺品供養 | 5,000円~ | 仏壇、神棚、人形などの合同供養 |
特殊清掃 | 25,000円~ | 孤独死現場などの除菌・消臭作業 |
デジタル遺品整理 | 50,000円~ | PC・スマホのデータ復旧やパスワード解除 |
費用を少しでも安く抑える賢い方法
いくつかのポイントを押さえることで、家財整理の費用を賢く節約できます。
- 不用品の買取を依頼する
価値のある家具や家電、骨董品などを買取してもらうことで、作業費用と相殺できます。 - 必ず相見積もりを取る
複数の業者から見積もりを取り、料金やサービス内容を比較検討しましょう。 - 事前に自分で仕分け・処分しておく
処分する物の量が減れば、その分料金も安くなります。自分で捨てられるゴミは事前に処分しておきましょう。 - 貴重品や探してほしい物を明確にしておく
貴重品の捜索に時間がかかると追加料金につながる場合があるため、事前に場所の目星をつけておくとスムーズです。
関連記事例: 遺品整理の費用を相場より安く抑える5つの方法
信頼できる家財整理・遺品整理業者の選び方【チェックリスト付き】
家財整理を成功させるためには、信頼できるパートナー、つまり優良な業者を選ぶことが何よりも重要です。ここでは、悪徳業者を避け、安心して任せられる業者を見極めるための選び方を、チェックリスト形式でご紹介します。相見積もりや口コミの活用が鍵となります。
悪徳業者に注意!トラブルを避けるために
残念ながら、この業界には心ない悪徳業者も存在します。以下のような手口には十分注意してください。
- 不当な高額請求: 見積もりにない作業を勝手に行い、後から高額な追加料金を請求する。
- 不法投棄: 回収した不用品を山中などに不法投棄し、依頼主が責任を問われるケース。
- 貴重品の盗難: 作業中に現金や貴金属を盗む。
- 強引な買取: 価値のある品を不当に安い価格で無理やり買い取ろうとする。
こうしたトラブルを避けるためにも、業者選びは慎重に行いましょう。
優良業者を見極める8つのポイント
信頼できる業者には共通する特徴があります。以下のポイントをチェックリストとして活用してください。
- □ 遺品整理士が在籍しているか
専門知識を持つ遺品整理士がいる業者は、対応が丁寧で信頼性が高い傾向にあります。 - □ 各種許認可を取得しているか
不用品を買取するためには「古物商許可」、ゴミを運搬するには「一般廃棄物収集運搬業許可」などが必要です。 - □ 豊富な作業実績があるか
公式サイトに具体的な作業事例や写真が掲載されているか確認しましょう。 - □ スタッフの対応が丁寧か
電話や見積もり時の対応に、親身さや誠実さが感じられるか。 - □ 見積もりの内容が詳細で明確か
「作業一式」などと曖昧にせず、何にいくらかかるのかが明記されているか。 - □ 損害賠償保険に加入しているか
万が一、作業中に家財や建物を破損された場合に備え、保険に加入している業者は安心です。 - □ 口コミや評判が良いか
第三者の客観的な評価を確認しましょう。 - □ 特殊清掃や遺品供養など専門サービスに対応しているか
幅広いニーズに応えられる業者は、専門性が高いと言えます。
【重要】必ず複数社から「相見積もり」を取ろう
業者を選ぶ際には、必ず3社程度から相見積もりを取りましょう。面倒に感じるかもしれませんが、これには大きなメリットがあります。
- 適正な費用相場がわかる: 1社だけの見積もりでは、その金額が高いのか安いのか判断できません。
- サービス内容を比較できる: 同じ料金でも、清掃の範囲や買取の可否など、サービス内容は業者によって異なります。
- 担当者の人柄や相性がわかる: 実際に担当者と話すことで、信頼して任せられる相手かを見極められます。
優良業者選びに役立つ「Google口コミ」の活用法
業者の公式サイトだけでなく、Googleマップなどに投稿される口コミも非常に参考になります。
- 総合評価だけでなく内容を見る: 星の数だけでなく、具体的なコメントを読みましょう。「スタッフの対応が良かった」「作業が丁寧だった」など、良い評価の内容を確認します。
- 低評価の口コミも確認する: どんな業者でも、稀に低評価が付くことはあります。その内容と、それに対する業者の返信を見ることで、誠実な対応をしているかどうかがわかります。
- 写真付きの口コミは信頼性が高い: 実際の作業現場の写真が投稿されている口コミは、より信憑性があります。
関連記事例: 【実例で解説】悪徳な遺品整理業者の手口と絶対騙されないための見分け方
家財整理の具体的な手順と注意点
ここでは、家財整理をスムーズに進めるための具体的な手順と、特に注意すべき点について解説します。自分で行う場合も、業者に依頼する場合も、基本的な流れは同じです。仕分けの段階で貴重品やタンス預金を見逃さないようにしましょう。
作業前の準備:スケジュールと仕分け基準の決定
いきなり作業を始めるのではなく、まずは計画を立てることが成功の秘訣です。
- スケジュールを決める: いつまでに終わらせたいのか、目標日を決めましょう。そこから逆算して、1日にどれくらいの作業をするか計画します。
- 必要な資材を準備する: ゴミ袋、段ボール、軍手、マスク、ガムテープ、マジックペンなどを用意します。
- 仕分けの基準を決める: 「残すもの」「処分するもの」「保留するもの」の3つに分ける基準を決めます。「1年間使わなかったものは処分する」など、自分なりのルールを作ると仕分けがスムーズに進みます。
残すもの・処分するものの仕分けと分別
計画が立ったら、いよいよ仕分け作業に入ります。部屋の奥から手前へ、小物から大物へといったルールを決めると効率的に進められます。この際、タンス預金や重要書類などの貴重品を見逃さないよう、引き出しの裏や衣類のポケットまで丁寧に確認することが肝心です。処分に迷う品は無理に判断せず、一旦「保留」として別の箱に分けておくと、後で冷静に考え直すことができます。
リサイクル・買取と不用品の廃棄
仕分けが終わったら、不要なものを適切に手放します。リサイクルショップや買取業者などを活用してまだ使えるものを現金化し、処分費用の足しにしましょう。買取が難しいものは、自治体のルールに従って適切に処分します。粗大ごみは事前の申し込みが必要な場合が多いので、早めに手続きを進めることが大切です。
整理後の清掃と心のケア
全ての家財を搬出し終えたら、最後に清掃を行います。長年溜まったホコリや汚れをきれいにすることで、心もスッキリするでしょう。また、特に遺品整理は精神的な負担が大きい作業です。辛い時は無理をせず、自分の心を労わることを忘れないでください。
関連記事例: 遺品整理で出てきた貴重品や現金、どうすればいい?探し方も解説
家財整理に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、家財整理を検討している方からよく寄せられる質問にお答えします。
見積もりは無料ですか?追加料金は発生しますか?
ほとんどの優良業者は、見積もりを無料で行っています。
また、優良業者であれば、見積もり後に不当な追加料金を請求することはありません。
ただし、見積もり時になかった作業を当日追加で依頼した場合は、別途料金が発生することがあります。必ず事前に確認しましょう。
作業は立ち会いなしでも可能ですか?
はい、可能です。遠方にお住まいの場合や、仕事で立ち会えない場合でも、鍵を預けることで作業を依頼できます。
ただし、作業前後の確認や貴重品の最終確認のため、開始時と終了時だけでも立ち会うのが理想的です。
デジタル遺品の整理もお願いできますか?
対応している業者もあります。パソコンやスマートフォンのデータ取り出し、SNSアカウントの削除など、専門的な知識が必要な作業です。
希望する場合は、デジタル遺品整理に対応可能か、事前に業者に確認してください。
供養や形見分けにも対応してもらえますか?
多くの遺品整理業者が対応しています。仏壇や人形、写真などを合同供養してもらったり、指定の住所へ形見分けの品を配送してもらったりするサービスがあります。
オプションサービスとなることが多いので、見積もり時に相談しましょう。
急ぎで対応してもらいたいのですが、即日対応は可能ですか?
業者によっては即日対応も可能です。
ただし、スケジュールが埋まっている場合も多いため、まずは電話で相談してみることをおすすめします。緊急性が高い場合は、複数の業者に問い合わせてみると良いでしょう。
新型コロナウイルス感染症対策はしていますか?
多くの業者が、スタッフのマスク着用、検温、手指の消毒、室内の換気といった感染症対策を徹底しています。気になる場合は、どのような対策を行っているか、依頼する前に確認しておくと安心です。
まとめ
この記事では、家財整理の基本から、遺品整理・生前整理・空き家整理との違い、費用、そして信頼できる業者の選び方まで、幅広く解説してきました。
最後に、重要なポイントを振り返ってみましょう。
- 家財整理には「不要品の処分」と「遺品整理などの総称」という2つの意味がある。
- 自分で行うか、業者に依頼するかは、時間・労力・費用・精神的負担を考慮して決める。
- 業者の費用相場は間取りと物量で決まるが、買取や相見積もりで安く抑えることができる。
- 信頼できる業者を選ぶには、許認可の有無や実績、口コミなどを確認し、必ず相見積もりを取ることが重要。
家財整理は、単なる片付けではありません。それは、過去と向き合い、未来へ進むための大切な一歩です。この記事が、あなたの家財整理を成功へと導く一助となれば幸いです。