遺品整理を行っていると、特に処分に困るのがタンスです。タンスはサイズが大きく、解体するのも運び出すのも手間がかかります。
そのため、できるだけ引取り業者に処分してほしいと考えている人がいるでしょう。
しかし、引取り業者でも買取業者や遺品整理業者、不用品回収業者など、複数の業者がいます。
引取り業者への依頼を検討していても、どの業者に依頼すればいいのかわからない人がいるでしょう。
そこで本記事では、遺品のタンスの処分の方法からどの業者に依頼すればいいのかまで解説します。
遺品のタンスの処分に困っている人は参考にしてください。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士（日本都市住宅販売株式会社代表取締役）
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
遺品のタンスの処分方法
遺品のタンスを処分する方法は全部で6つあります。下記に費用や手間を含めた一覧表を記載するので、参考にしてください。
| 方法 | 費用 | 手間 |
| 解体して可燃ごみに出す | ◎（無料） | △ |
| 粗大ごみに出して回収してもらう | ◯ | △ |
| クリーンセンターに持ち込む | ◯ | △ |
| 買取業者に買取を依頼する | ◎ | ◯ |
| 不用品回収業者に依頼する | △ | ◯ |
| 遺品整理業者に依頼する | △ | ◎ |
このなかでも一番おすすめなのが、不用品回収業者、または遺品整理業者に依頼することです。
一番費用がかからないのは、解体して可燃ごみに出す方法ですが、解体する必要があるため一番手間がかかります。
また、粗大ごみやクリーンセンターへ出すのも費用はそこまでかかりませんが、指定の場所へタンスを運ぶ手間があるでしょう。
リサイクルショップなどの買取業者への依頼は、思いがけず高額で買取してもらえることがあります。
しかし、それは珍しい例で、状態によっては買取を拒否されることがあるでしょう。
その点、不用品回収業者、または遺品整理業者へ依頼をすれば、費用がかかるデメリットはありますが、確実にタンスを処分してもらえます。
しかも、自分で運ぶ必要がないので、手間をかけずに処分できるでしょう。
タンスを処分するときの注意点
タンスを処分するときには、いくつかの注意点があります。見落とすとトラブルへ発展することがあるため、下記の3つの注意点に気をつけましょう。
- タンスの中身を確認する
- 解体・運搬時のケガに注意する
- 注意して業者を選ぶ
なぜ注意しなければならないのか、詳しい内容を見ていきましょう。
タンスの中身を確認する
タンスを買取や処分に出す前に、必ずタンスの中身が入っていないか確認することが大切です。
タンスのなかには服や書類などの生活品をはじめ、さまざまなものが入っています。
なかには、へそくりなど思いがけない資産が眠っている場合があるでしょう。それらに気づかずに買取や処分に出すと、そのまま処分されてしまうことがあります。
資産の見落としがないように、引き出しの中はもちろんのこと、引き出しを抜いた後の壁、引き出しの裏側まで確認しましょう。
へそくりの場合、思いがけない場所から発見されることがあります。
解体・運搬時のケガに注意する
タンスを解体したり運搬したりする場合は、ケガをしないように注意しましょう。
タンスを解体する場合、ノコギリで解体するうえ、作業を進めていくとタンスに使用していた釘などが出てきます。
もし、軽装で作業を進めていると、ノコギリで腕を切ったり釘を踏み抜いたりすることがあるでしょう。
ほかにも、タンスを運搬するときに、木がささくれていて破片が手に刺さったり、誤って落として足をケガしたりすることも想定されます。
解体・運搬時のケガを避けるためにも、作業着や軍手、安全靴などの着用を心がけましょう。
注意して業者を選ぶ
不用品回収業者や遺品整理業者へ依頼する場合は、悪徳業者へ依頼しないように注意して業者を選びましょう。
多くの不用品回収業者や遺品整理業者は優良業者ですが、なかには悪徳業者がいるのも事実です。
悪徳業者へ依頼してしまうと、高額の費用を請求されたりタンスを不法投棄されたりするおそれがあります。
業者を選ぶときの詳しい注意点は、後述するのでそちらを参考にしてください。
遺品のタンスの処分はどの業者に頼んだらいい？
遺品のタンスの処分は不用品回収業者、または遺品整理業者へ依頼するのがおすすめですが、どちらの業者を選んだらいいのか悩むでしょう。
もし、タンスだけでなく遺品整理全般を業者へ依頼したいなら、遺品整理業者がおすすめです。
一方、遺品整理は自分で行い不用品の回収だけを依頼したいなら、不用品回収業者への依頼をおすすめします。
それぞれの業者の違いやメリット、デメリットは下記を参考にしてください。
遺品整理業者へ依頼するメリット・デメリット
遺品整理業者は、遺品整理全般を請け負う業者です。
遺品整理をはじめ遺品の分別や不用品の買取、遺品供養などの幅広いサービスを行っています。遺品整理業者へ依頼するメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット
- 遺品整理に関するサービスが手厚い
- ほとんどの作業を業者が行うので手間がかからない
- 自分のスケジュールに合わせて作業日を調整できる
- 数日で作業が終わるので遺品整理を早く終わらせられる
デメリット
- 不用品回収業者と比べると費用が高い
- 業者の選定に時間がかかる
- 悪徳業者へ依頼するとトラブルに発展する
メリット・デメリットから分かるように、遺品整理業者は費用がかかる分、遺品整理に関わるサービスが充実しています。
先述した通り、タンスの処分だけでなく遺品整理全般で困っているなら、遺品整理業者を選ぶといいでしょう。
不用品回収業者へ依頼するメリット・デメリット
不用品回収業者は、不用品を回収して処分してくれる業者です。
不用品の回収しか行っていませんが、自宅まで不用品を回収しにきてくれます。不用品回収業者へ依頼するメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット
- 遺品整理業者と比較すると費用を抑えられる
- 自宅まで回収にきてくれるので運ぶ必要がない
- 回収するだけなのですぐに作業が終わる
- 自分のスケジュールに合わせて作業日を調整できる
デメリット
- 自分で遺品整理を行わなければならない
- 買取などのサービスは行っていない業者が多い
- 遺品整理業者と比べると遺品の取り扱いが乱雑なことがある
不用品回収業者は不用品の回収しか行わない分、遺品整理業者と比べると費用を抑えられます。
自分で遺品整理を行う場合には、不用品回収業者へ依頼するといいでしょう。
業者へ依頼するときの注意点
先述した通り、遺品整理業者や不用品回収業者へ依頼する場合、悪徳業者へ依頼しないことが何よりも大切です。
そのため、下記の4つの注意点を意識しながら業者へ依頼するようにしましょう。
- 必ず事前に見積もりを取る
- 追加請求がないかよく確認する
- 契約書の内容をよく確認する
- 利用した人の口コミをチェックする
それぞれの具体的な内容について解説していきます。
必ず事前に見積もりを取る
業者へ依頼する場合には、必ず事前に見積もりを取りましょう。
業者への依頼で発生するトラブルの多くは費用に関わることが多いです。必ず事前に見積もりを取って費用をはっきりさせておきましょう。
また、見積もりをとる場合には、悪徳業者を避けるためにも次の項目をチェックしてください。
- 現場を確認して見積もりを出してくれるか
- 作業ごとに費用が算出されているか
- 追加費用に関する記載があるか
- 不要なオプションが含まれていないか
- 見積書の項目ごとに詳しい説明があったか
- 質問したことに対して明確な回答があったか
ほかにも、見積もりを取る場合には、相見積もりを取ることが大切です。複数の業者を比較して信頼できる業者を選びましょう。
追加請求がないかよく確認する
業者から見積もりを取るときに、必ず追加請求の有無を確認しましょう。
先述した通り、業者への依頼は費用に関わることが多く、なかでもよくあるのが追加費用に関するトラブルです。
追加費用がかさんでいき、後から高額の費用を請求されるトラブルがあります。
見積書へ追加費用に関する記載がなければ、追加費用が発生する場合があるのか必ず確認しましょう。
また、特に見積もりの金額が相場に比べて著しく低い場合には、追加請求で帳尻を合わせていることがあるので、よく注意してください。
契約書の内容をよく確認する
見積もりを取って内容に納得がいけば、業者と契約を交わします。このときに必ず契約書の内容をよく確認しましょう。確認する項目は下記の通りです。
- 免責事項が記載されており責任の範囲が確認できるか
- 料金やキャンセル料、日程についての詳細が記載されているか
- 予定通りにサービスを提供できなかった場合の対応が記載されているか
- 法律に違反している項目はないか
- 不明瞭な内容が記されていないか
また、業者のなかには契約書を出さずに依頼を行おうとする業者がいます。
その場合、トラブルが発生したときに契約内容を証明できないため、必ず契約書を出してもらうようにしましょう。
利用した人の口コミをチェックする
業者が優良業者だったかは実際に利用した人にしか分かりません。そのため、業者を選ぶときは実際に利用した人の口コミを確認しましょう。
業者のホームページには業者にとって都合がいいことしか書かれていません。
そのようなサイトを参考に業者を選ぶと、実際はサービスや接客態度が悪かったということがあるでしょう。そのため、実際に利用した人の口コミを確認することが大切です。
具体的には、比較サイトやGoogleマップの口コミを参考にするといいでしょう。
なかには、自社のホームページに口コミを載せている業者がいますが、都合のいい口コミしか載せていないことがあります。
必ず中立のサイトの口コミを確認しましょう。
まとめ
遺品のタンスの処分は、手間がかからない遺品整理業者か不用品回収業者へ依頼するのがおすすめです。
どちらの業者に依頼するのかは、依頼内容によって異なるため、それぞれの業務内容やメリット、デメリットを確認してから選ぶようにしましょう。
また、タンスを処分に出すときや業者を選ぶときには、いくつかの注意点があります。
必ず注意点をよく確認してから実行に移すようにして、トラブルを避けるようにしましょう。