故人の遺品を整理する遺品整理を業者へ依頼しようとしたとき、意外と悩むのが業者選びです。
遺品整理を依頼できる業者は複数ありますが、業者によって作業内容に違いがあります。
違いについて理解していないと、依頼したい内容と業者の作業内容に違いが生じ、遺品整理を終えられないでしょう。
本記事では、遺品整理を行う業者の違いや、おすすめの業者について解説します。業者へ遺品整理の依頼を検討している人は、参考にしてください。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
遺品整理を依頼できる4つの業者
遺品整理を依頼できる業者は、片付け代行業者・不用品回収業者・リサイクル業者・遺品整理業者の4つの業者です。
しかし、遺品整理では大まかに片付け・不用品の回収・遺品の買取の3つの作業内容がありますが、すべての業者が対応しているわけではありません。
それぞれの業者が対応している作業内容は下記のとおりです。
業者 | 片付け | 不用品の回収 | 遺品の買取 |
片付け代行業者 | 〇 | × | × |
不用品回収業者 | × | 〇 | △ |
リサイクル業者 | × | × | 〇 |
遺品整理業者 | 〇 | 〇 | 〇 |
4つの作業内容のなかですべてに対応しているのは、遺品整理業者だけです。
すべての作業を依頼したい場合は遺品整理業者に依頼し、一部の作業だけ依頼したい場合は、対応した業者を選ぶといいでしょう。
遺品整理の依頼は遺品整理業者がおすすめ
遺品整理を依頼できる4つの業者のなかでも、一番おすすめなのが遺品整理業者です。
先述した通り、遺品整理業者以外の業者は遺品整理の一部の作業しか行いません。ほかの作業は自分で手配しなければならないため、時間や手間がかかってしまうでしょう。
その点、遺品整理業者へ依頼すれば遺品整理にかかわる一連の作業をすべて行ってくれます。さらに、ほかにもサービスが充実しているので、遺品を弔うような丁寧な遺品整理が期待できるでしょう。
遺品整理業者のサービス内容
先述した通り、遺品整理業者は遺品整理にかかわるサービスが充実しています。主なサービス内容は下記のとおりです。
- 貴重品や思い出の品の捜索
- 遺品供養
- 仏壇の魂抜き
- 形見の搬送
- 無料の簡易清掃
- 消臭作業
- ハウスクリーニング
- リフォーム
- 家屋の解体
- 不動産整理
- 相続相談
ただし、業者によって行っているサービス内容に違いがあります。
業者のホームページを確認すればサービス内容が記載されているので、よく確認してから依頼しましょう。
遺品整理業者のメリット・デメリット
遺品整理業者へ依頼する場合、下記のようなメリット・デメリットが挙げられます。
メリット | デメリット |
・遺品整理が数日で終わる ・遺品の分別から買取まで一連の作業を行ってもらえる ・サービスが充実している ・業者によっては特殊清掃も実施している |
・それなりの費用が発生する・悪徳業者に引っかかる可能性がある |
見比べてみるとメリットのほうが多いですが、デメリットがまったくないわけではありません。
しかし、費用はコツをおさえれば減らせますし、悪徳業者への依頼もいくつかのポイントに注意すれば避けられます。
業者へ依頼する場合は、よく下調べをしてデメリットを解消するようにしましょう。
遺品整理業者の費用の決まりかた
遺品整理の費用は大まかに下記のとおりです。
間取り | 費用相場 |
1R・1K | 30,000円~80,000円 |
1DK・1LDK | 50,000円~200,000円 |
2DK・2LDK | 90,000円~300,000円 |
3DK・3LDK | 150,000円~500,000円 |
4LDK以上 | 200,000円~ |
※上記の表はあくまで一例です。
同じ間取りでも金額にかなりの開きがありますが、その理由は現場の状況によって必要な時間や作業人数が異なるからです。
同じ間取りでも遺品の量や駐車場の有無、エレベーターの有無などによって作業にかかる時間や必要な人数が変わります。時間や人数が必要なほど人件費も上がるので、費用も上がってしまうのです。
そのため、費用相場はあくまでも参考程度にして、必ず見積もりをとることが大切です。
見積もりを取る際は、複数の業者から見積もりを取ることで、費用が良心的な業者を見つけられるでしょう。
良心的な遺品整理業者の選び方
遺品整理業者へ依頼するときは、どのような業者を選ぶかが非常に大切です。大切な故人の遺品整理だからこそ、信頼できる業者を見極めなければなりません。
良心的な業者を探すときには、下記の3つのポイントを意識するといいでしょう。
- 資格の有無
- 訪問見積もりの実施
- 明瞭な見積書
なぜ、これらのポイントが大切なのか、詳しい内容を解説します。
資格の有無
良心的な遺品整理業者は、遺品整理や不用品回収に関係する資格を所持していることが多いです。
遺品整理や不用品回収にはいくつかの資格があり、なかでも不用品回収は所持していないと不用品を適切に処理できない場合があります。
もし、資格がなく不用品を不法投棄されてしまうと依頼者も罰則の対象になってしまうので、資格の有無は非常に重要です。
主に下記の資格を所持しているか確認するといいでしょう。
- 一般廃棄物収集運搬許可証
- 産業廃棄物収集運搬許可証
- 遺品整理士
特に、一般廃棄物収集運搬許可証と産業廃棄物収集運搬許可証は不用品回収に関係しているので、所持しているかホームページなどで確認しましょう。
訪問見積もりの実施
遺品整理業者へ見積もりを取るときは、必ず現場へ訪問見積もりをしてくれる業者を選んでください。
先述した通り、費用は現場の状況によって異なるため、現場を見ないことには正確な金額を算出できません。
見積もりを取るときに現場へ来てくれない業者は、当日に初めて現場の状況を確認するため、追加費用が発生する可能性があるでしょう。
また、訪問見積もりをしてもらうときでも、追加費用に関する説明がなければ、追加費用の有無や発生する条件を確認してください。
明瞭な見積書
見積もりを取るときには、見積もりの内容が明瞭に記載されているのか確認することが大切です。
業者のなかには見積書に「一式」と記載して、作業内容を記載していない業者がいます。
しかし、作業をひとまとめにされていると不必要なオプションが含まれていることがあり、余計な費用を取られてしまうでしょう。
良心的な業者は作業ごとに費用を算出し、余計なオプションを含めないようにしてくれます。無駄な出費をしないためにも、明瞭な見積もりを提示してくれる業者を選びましょう。
悪徳業者を選ばないためのポイント
良心的な遺品整理業者がいる一方、不当に高額な費用を請求したりサービスの内容に問題があったりするような悪徳業者がいます。悪徳業者へ依頼しないためにも、次の3つの特徴を持った業者には依頼しないようにしましょう。
- 費用が相場から外れて安い
- 訪問見積もりを行っていない
- 追加費用について説明がない
なぜ、これらの特徴を持った業者が危険なのか、詳しく解説していきます。
費用が相場より著しく安い
費用が相場より著しく安い業者は、追加請求されるおそれがあるので避けましょう。
悪徳業者は依頼をもらうために費用を相場より安い金額に設定して、後から追加請求をして帳尻を合わせていることがあります。
金額につられて依頼してしまうと、後から追加請求が重なって、結果的に高額な費用を払わなければならなくなるでしょう。
追加請求をしないような良心的な企業は、見積もり時から相場に合った金額を提示します。悪徳業者に依頼しないためにも、相場から外れていない適切な費用の業者を選びましょう。
訪問見積もりを行っていない
先述しましたが、適切な遺品整理の費用を算出するには、現場の確認が必須です。訪問見積もりをしない業者は、当日になって追加費用が発生するおそれがあるので避けましょう。
また、訪問見積もりをしてくれる業者のなかでも、訪問見積もりの出張費を請求する業者や、見積もり時に前金を迫ってくる業者にも注意してください。
良心的な業者は無料で訪問見積もりを行っていますし、前金を迫ってくることもありません。
なかには前金だけ受け取ってサービスを行ってくれない悪徳業者もいるので、必ず断るようにしましょう。
追加費用について説明がない
追加費用について説明がない業者や、追加費用について質問しても明確な回答がない業者は、悪徳業者の可能性があります。
遺品整理のトラブルにおいて多いのが、追加費用が発生して費用が高額になったなどの費用に関係するトラブルです。遺品整理で発生する費用は決して安い金額ではないので、必ず追加費用について確認しましょう。
もし、追加費用について業者から説明がなければ、追加費用の有無や発生条件について尋ねてください。業者から明確な回答がなければ、その業者への依頼はやめましょう。
また、業者から回答をもらう場合には、口頭ではなく書面に起こしてもらうことが大切です。口頭での回答だとトラブルへ発展したときに、明確な証拠になりません。必ず費用にまつわることは書面で残してもらうようにしましょう。
まとめ
遺品整理を業者へ依頼する場合は、片付けや不用品の回収・買取まで行う遺品整理業者へ依頼するのがおすすめです。
遺品整理業はサービスが充実しているので、すべての遺品整理作業のほか、相続の相談や室内の簡易清掃まで行ってくれます。
遺品整理業者へ依頼する場合は、遺品整理に関する資格を持ち、訪問見積もりで明瞭な見積もりを提出する業者を選びましょう。
一方で、訪問見積もりを行っていなかったり見積もりの金額が著しく低い場合は、悪徳業者の可能性があるので注意が必要です。また、追加費用について説明がない業者には必ず確認し、明確な回答がない業者には依頼するのを避けましょう。