遺品整理業者へ遺品整理を依頼する場合、重要なのが業者からお見積りを取ることです。
見積もりを取ることで、遺品整理にかかる費用を明確化し、業者を選ぶ検討材料のひとつにできます。
しかし、見積もりの取り方が適切でなかったり、見積もりを取るときの注意点を見落としたりしていると、悪徳業者へ依頼してしまうおそれがあるでしょう。
本記事では、見積もりの取り方から見積もりの内訳、見積もりを取る際の注意点まで解説します。
どのように遺品整理業者へ見積もりを取ればいいのか悩んでいる人は、参考にしてください。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
見積もりを取るメリット・デメリット
見積もりは業者選びの大切な判断材料となるほか、さまざまなメリットがあります。しかし、一方でデメリットがあるのも事実です。
遺品整理の見積もりを取るメリット・デメリットは、主に下記の表の事項が挙げられます。
メリット | デメリット |
|
|
表を見ると明らかにデメリットよりメリットが多く、見積もりを取る大切さがよく分かります。
特に、遺品整理のトラブルの原因となる追加費用を抑えたり、業者の質を確認できたりするのは、大きなメリットといえるでしょう。
見積もりは訪問見積もりがおすすめ
遺品整理の見積もりを取る方法は、主に下記の3つの方法が挙げられます。
方法 | 内容 |
訪問見積もり | 業者が作業現場へ訪問して見積もりを行う |
電話見積もり | 電話で現場の状況を確認しながら見積もりを行う |
メール見積もり | 依頼者が現場の状況をメールで伝え、内容に基づいて見積もりを行う |
このなかでも一番おすすめな見積もり方法は、訪問見積もりです。
遺品整理の費用は部屋の大きさだけでなく、遺品の量や現場の状況によって大きく費用が変わります。
電話やメールだと正確な情報が伝わらず、当日になって追加費用が発生するおそれがあるでしょう。
その点、訪問見積もりなら事前に現場を確認することで、遺品の量や現場の状況を正確に確認できます。追加費用が発生することもないので、安心して作業当日を迎えられるでしょう。
業者のなかには訪問見積もりが有料の場合があります。出費を減らすためにも、無料で訪問見積もりをしてくれる業者を選びましょう。
遺品整理の見積もりの相場
遺品整理の見積もりを取るうえで大切なのが、遺品整理にかかる費用の相場を知ることです。
相場を知ることで、見積金額が適正価格なのか分かります。
下記は、間取りごとのおおよその費用の相場です。見積もりを取る際に参考にしてください。
間取り | 料金相場 | 作業員の人数 | 作業時間 |
1R・1K | 30,000円~80,000円 | 1~2名 | 1~3時間 |
1DK・1LDK | 50,000円~200,000円 | 2~4名 | 2~6時間 |
2DK・2LDK | 90,000円~300,000円 | 2~6名 | 2~8時間 |
3DK・3LDK | 150,000円~500,000円 | 3~8名 | 4~12時間 |
4LDK以上 | 200,000円~ | 4~10名 | 6~15時間 |
なお、先述した通り、遺品整理にかかる費用は間取りだけでなく遺品の量や立地条件など現場の状況によって変わります。上記の表はあくまで一例なので、参考程度にしてください。
また、地域によっても相場は変わるので、複数の業者から見積もりを取って相場を割り出すといいでしょう。
見積もり費用の内訳
遺品整理の見積もりを取る場合、どの様な項目で費用が発生するのか、費用の内訳を知ることが大切です。費用の内訳を知っていれば、不必要な作業が見積もりに入っていても、すぐに気づけるでしょう。
費用は下記の項目の費用を足して算出されます。下記の表を参考にして、事前に内訳や内容を知っておきましょう。
項目 | 内容 |
基本料金 | 間取りに応じた仕分け・梱包・搬出を含んだ費用 |
人件費 | 作業員の人数ごとの費用 |
リサイクル費 | 家電リサイクル法の対象となる家電の処分にかかる費用 |
処理・運搬費 | 遺品の運搬や処理にかかる費用 |
オプション費 | 追加で他サービスを依頼した際の費用 |
もし、見積書に不明瞭な項目や分からない項目があれば、対応したスタッフに聞くことが大切です。
業者のなかには不必要なオプションを入れていたり、分かりにくくして二重請求したりする悪徳業者がいます。
その様な業者を避けるためにも、見積書に疑問を抱いたら質問をするようにしてください。
見積もり依頼の手順
見積もりを取るうえで費用の内訳や見積の方法などの事前知識を身につけたら、早速業者へ見積もり依頼をしていきましょう。
見積もりを取る手順は下記の通りです。
- 業者を探す
- 業者へ問い合わせる
- 訪問見積もりに来てもらう
それぞれでどのようなことをすればいいのか、詳しい内容を解説していきます。
業者を探す
まずは見積もりを依頼する遺品整理業者を探しましょう。業者を探すときは、下記のポイントに注目して探すのがおすすめです。
- 現場が対応地域に含まれているか
- 会社概要がしっかり記載されているか
- 作業実績が掲載されているか
- 費用が公開されているか
- 業務に必要な許可や資格を所持しているか
- 利用者の口コミに問題はないか
- 無料の訪問見積もりに対応しているか
どの項目も悪徳業者への依頼や不必要な費用を発生させないための重要なポイントです。
多くの業者のなかから探すのは大変ですが、トラブルへ発展しないように、上記のポイントを注視しながら探してください。
いくつかの業者に絞れたら仮見積もりを依頼するといいでしょう。
仮見積もりは訪問見積もりを依頼する前のざっくりとした見積もりです。
電話やメール、LINEなどで出してくれるので、おおよその費用を把握するためにも依頼してみてください。
業者へ問い合わせる
2〜3社に絞ったら業者へ問い合わせて訪問見積もりを依頼しましょう。
業者への問い合わせは電話やメールで受け付けていますが、おすすめなのは電話での受付です。
メールは決まった定型文が送られる可能性が高いため、業者の対応に問題はないか見抜きづらいでしょう。
一方、電話なら電話口の話す態度や口調で業者の対応を確認できます。
もし、営業時間内に電話することができず、メールでの問い合わせになる場合は、返信の速度やメールの文章などで業者の対応を確認しましょう。
訪問見積もりに来てもらう
業者から返信が来たら訪問見積もりの日程を決めて、作業現場で見積もりを行います。
訪問見積もりで業者と顔を合わせたら、下記の点に注意して改めて業者を確認しましょう。
- 身だしなみに乱れはないか
- 態度に問題はないか
- しっかりとしたあいさつしてくれたか
- 名刺を渡してくれたか
- 説明は分かりやすいか
これらの点は社会人としての最低限のマナーです。
業者の質を見抜くためにも、直接顔を合わせたときに注意深く業者を確認して、社会人としてのマナーが守られているか見定めましょう。
見積もりをとるときの注意点
社会人としてのマナーだけでなく、見積書の内容や説明に問題はないか、確認することも大切です。後からトラブルへ発展しないためにも、特に下記の3つの点に注意してください。
- 料金明細の内容に不明点はないか
- 追加費用の説明はあったか
- 見積書に押印されているか
なぜ、この3つの注意点が大切なのか、詳しい内容を解説していきます。
料金明細の内容に不明点はないか
見積書をもらったら必ず内容に不明点がないか確認してください。
先述した通り、業者のなかにはわざと不明瞭な内容にして、不要なオプションを含めたり、名前を変えて同じ費用を二重に請求したりする悪徳業者がいます。
悪徳業者へ依頼しないためにも、見積書に不明点があったら確認して不明点を無くすようにしましょう。
もし、質問しても明確な回答がない場合には、その業者への依頼を取りやめることも検討すべきです。
追加費用の説明はあったか
遺品整理にありがちな追加費用のトラブルを避けるためにも、見積もりの時点で追加費用の説明をしてもらいましょう。
事前にどのような状況で追加費用が発生するのか聞いておかないと、作業当日になって予期せぬ事態が起こり、追加費用が発生するおそれがあります。
追加費用がかさんで支払いが高額にならないように、必ず説明を聞いておきましょう。
もし、業者側から追加費用の説明がなかった場合は、自分から聞くことも大切です。
見積書に押印がされているか
見積書に社印や発行者の押印がされているかも、業者を信頼できるかの大切なポイントです。
見積書への押印は法律で義務付けられてはおらず、両者が合意していれば押印がなくても法律上の効力は変わりません。
しかし、それでも見積書に押印がされるのは、社会的に押印の有無が業者を信頼できるかのひとつの指針になっているからです。
遺品整理の見積もりにおいても、見積書に押印があるかは信頼できる業者か見極めるポイントのひとつといえるでしょう。
ただし、近年ではリモートワークの増加やペーパーレス化が進み、押印しない業者が増えてきました。
あくまでも見積書への押印はひとつの指針にすぎないので、とらわれすぎずに他のポイントもよく確認しましょう。
遺品整理にかかる費用を抑えるコツ
もし、見積書の費用が高いと感じたら、次の3つのコツで費用を抑えられることもあります。
- 複数の業者から見積もりをとる
- 遺品の量を減らす
- 買取サービスがある業者へ依頼する
なぜ、この3つのコツで費用を抑えられるのでしょうか。それぞれの詳しい内容を解説していきます。
複数の業者から見積もりをとる
複数の業者から見積もりを取ることで、良心的な費用で遺品整理を行ってくれる業者を見つけられます。
ひとつの業者のみに絞って見積もりを取ると、その業者が相場より高いのか判断がつきません。
全ての作業が終わった後に、実は相場より高くてほかに良心的な価格の業者があったと発覚することもあります。
費用はもちろんサービスもほかの業者と比較して優良な業者を見つけるためにも、2〜3社の業者から見積もりを取って比べることが大切です。
遺品の量を減らす
遺品整理の費用は間取りだけでなく遺品の量でも費用が変わるため、事前に量を減らしておくといいでしょう。
遺品の量が多いと手間や時間、費用がかかることで、その分だけ費用が上がっていきます。
反対に遺品の量が少ないと手間や時間、費用がかからない分、費用が安くなるのです。
自分だけで判断がつかないものはともかく、ボロボロの衣服や家具、紙ごみなど捨てても問題なさそうなものは、あらかじめ処分しておきましょう。
買取サービスがある業者へ依頼する
買取サービスがある業者を選ぶと、買取した分を遺品整理にかかる費用から引いてくれるため、遺品整理にかかる総額を抑えられるでしょう。
遺品整理業者は遺品整理以外のサービスが充実している業者が多く、なかには遺品の買取サービスまで実施している業者がいます。
買取サービスを行っている業者は、買取額を遺品整理の費用に当ててくれるため、総額が安くなるのです。
業者が実施しているサービスを賢く利用して、できるだけ費用を抑えましょう。
まとめ
遺品整理は費用にまつわるトラブルが多いため、業者選びから見積もりの段階まで費用や対応をよく確認して、信頼できる業者を見つけることが大切です。
特に、見積もりは費用の内訳や追加費用の発生条件を確認できる段階のため、悪徳業者を見抜く大切な段階といえます。
また、訪問見積もりで納得がいけばその場で契約となることも多く、見積もりは業者の質を見抜く最後の場面ともいえるでしょう。
見積もりは時間や手間がかかる作業ではありますが、故人の遺品整理を気持ちよく終わらせるためにも、根気強く業者が信頼できるか精査してください。