遺品整理で意外と時間がかかるものがアルバムの整理です。
アルバムを整理しだすと思い出がよみがえってつい写真を眺めてしまいますし、思い出が詰まっているので捨てるのもなんだか忍びない。だからといって全ての写真を取っておくと、人によってはアルバムの量が多く保管スペースをとってしまうでしょう。
そんな頭を抱えるアルバムの遺品整理は、始めるタイミングやアルバムの保管方法を見直すことで、作業を順調に進められるかもしれません。本記事では、アルバムの遺品整理の進め方や保管方法について解説していきます。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
アルバムの遺品整理は後からゆっくりやろう
時間が取られがちなアルバムの遺品整理は、期限がないので諸手続きが終わった後にゆっくり始めましょう。
遺品整理では相続や税金の手続きに必要な物や書類を見つけて、定められた期限までに手続きを済ませなければなりません。期限が迫っているなか、アルバムの整理を始めてしまうと、時間を取られて期限に間に合わない可能性があるでしょう。
アルバムの遺品整理は定められた期限がないので、まずは他の遺品の整理を進めていくことが大切です。期限がある手続きを終わらせたら、ゆっくりと時間をかけてアルバムの遺品整理を行いましょう。
アルバムの遺品整理の進め方
時間に追われる作業を終えたら、ゆっくりとアルバムの遺品整理を始めます。アルバムの遺品整理の進め方は、下記の手順に沿って進めるのがおすすめです。
- アルバムや写真を集める
- 写真を仕分ける
それぞれの手順で具体的にどのようなことをすればいいのか、詳しい内容を解説していきます。
アルバムや写真を集める
アルバムや写真の仕分けは一度で終わらせたいので、まずは一箇所に集めましょう。
アルバムは直射日光が当たる場所や温度差が激しい場所での保管は向いていないので、本棚やクローゼット、押入れなどで保管されていることが多いです。発見されていないアルバムがあるかもしれないので、念の為、保管されていそうな場所を探しましょう。
また、アルバムに閉じられていない写真は、箱にしまわれていたり手帳や本に挟んでいたりすることがあります。見落としがないように、他の遺品整理をしているときに写真が挟まっていないか確認しましょう。
最近では写真をデータで管理する人も増えています。故人の遺言でスマホやパソコンの遺品整理を禁じられていなければ、写真のデータが残されていないか確認しましょう。
写真を仕分ける
写真を一箇所に集めたら、残しておく写真と処分する写真に仕分けをします。
もし、残しておく写真の基準がわからないという人は、下記のポイントを意識しながら仕分けをするといいでしょう。
- 家族や友人と撮った写真は残す
- 誕生日や結婚記念日などのイベントの写真は残す
- 状態が良い写真は残す
- 同じような写真は1枚だけ残す
最近の写真はデータでも残っていることがありますが、古い写真はデータが存在しません。一度処分してしまうと二度と戻らないので、後悔しないようにじっくり考えながら仕分けてください。
アルバムや写真の保管方法
アルバムや写真の仕分けが終わったら、どのように保管をするか考えましょう。主な保管方法は次の3つが挙げられます。
- 新しいアルバムの作成
- デジタルデータ化
- 親しい人に形見分け
具体的にどのように保管するのか、それぞれの詳しい内容を解説していきます。
新しいアルバムの作成
アルバムや写真を整理したことによって古いアルバムが隙間だらけになってしまった場合は、新しくアルバムを作成すると良いでしょう。
古いアルバムを使い続けることも可能ですが、古いアルバムは劣化して痛んでいる可能性があります。貼るタイプなら粘着力が弱まり、ポケットタイプならビニールが痛んでいることがあるので、新しいアルバムに変えたほうが良いでしょう。
また、新しくアルバムを作成する過程で、故人との思い出を振り返るため、故人を偲ぶことにもつながってきます。写真を手にとって故人との思い出を家族で語らい、アルバムを作ることで、大切な人を亡くした心の傷が癒えてくるでしょう。
デジタルデータ化
保管する写真が多い場合、デジタルデータ化するのもひとつの手です。
保管する写真が多いと保管場所に困りますが、デジタルデータ化してデジタルフォトフレームで飾れば場所をとりません。さらに、データ化していれば簡単に親族へデータを送ったりデータを複製できたりします。
写真のデジタルデータ化を自分で行う場合は、スキャナやスマホのアプリを利用すると良いでしょう。もし、枚数が多くて作業が大変な場合には、業者を利用するのもおすすめです。
デジタルデータ化は便利な反面、データをどこに保存したのか分からなくなることがあります。保存場所を見失わないように気をつけましょう。
親しい人に形見分け
親族や友人と写っている写真は、写っている人へ形見分けするのもいいでしょう。
遺族はもちろんのこと、普段から付き合いのある親族や長年の親友も、故人を失って喪失感に心を痛めているはずです。そんなとき、故人と一緒に撮った写真があれば、当時の思い出を振り返ることで心が安らぐかもしれません。
ただし、なかにはかえって写真があることで気持ちに区切りがつかず、立ち直れない人もいます。無理に押し付けず、先方の気持ちを尊重するようにしましょう。
アルバムや写真の処分方法
保管方法を検討する一方で、処分するアルバムや写真の処分方法も決めなければなりません。主な処分方法は次の3つが挙げられます。
- 可燃ごみに出す
- ゴミ処理場へ持ち込む
- 業者に回収してもらう
それぞれの具体的な内容について解説していきます。
可燃ごみに出す
最も一般的な処分方法は、可燃ごみに出す方法です。
多くの自治体ではアルバムや写真は可燃ごみに分類されるため、一般的な燃えるゴミに出して処分できます。人によっては罪悪感を覚えてしまうかもしれませんが、処分費用がかからないため最もコストパフォーマンスに優れた処分方法です。
ただし、アルバムに金具が使用されていた場合、その部分は可燃ゴミに出せません。金具の部分は取り除いて、自治体のルールにのっとって処分しましょう。
ゴミ処理場へ持ち込む
アルバムや写真の量が多い場合は、自治体のゴミ処理場へ持ち込めばまとめて処分できます。
多くの自治体では可燃ゴミや資源ゴミ、不燃ゴミなどの持ち込みでの処理が可能です。ゴミ処理場へ持ち込む場合は、事前にホームページで営業時間や手続きなどを確認してから利用しましょう。
なお、ゴミ処理場へ持ち込む場合は、手数料がかかります。ゴミの重さによって手数料が決まるので、アルバムや写真だけでなく他の可燃ごみと合わせて持ち込むといいでしょう。
業者に回収してもらう
自分でゴミに出しづらい場合は、業者に回収してもらうのがおすすめです。
人によっては大切な思い出の写真を自分の手でゴミへ出すのに抵抗を覚える人がいるでしょう。そのような場合は、遺品整理業者や不用品回収業者へ依頼すれば、代わりに業者が処分してくれます。
遺品整理業者は遺品整理にかかわる全ての作業を行う業者で、不用品回収業者は不用品の回収のみを行う業者です。自分に合った業者を選んで依頼しましょう。
遺品整理業者と不用品回収業者のなかには、回収した品を不法投棄したり高額な費用を請求したりする悪徳業者がいます。業者選びは慎重に行ってください。
処分に抵抗があるときの対策方法
写真には故人との大切な思い出が詰まっているため、人によっては処分するのに抵抗がある人がいるでしょう。そのようなときは、次の2つの対策をとれば、罪悪感が薄れて処分しやすくなるかもしれません。
- お焚き揚げを依頼する
- 自身で供養する
それぞれでどのようなことを行えば良いのか、詳しい内容を解説していきます。
お焚き揚げを依頼する
写真を処分するのに抵抗がある場合は、お焚き上げを依頼するとていねいに供養することで、罪の意識が薄れるでしょう。
お焚き上げは神聖な炎で故人の愛用品や遺品を焚き上げる神道や仏教の儀式です。お焚き上げをすると感謝の念を形に表せるので、罪悪感がなくアルバムや写真を供養できます。
アルバムや写真のお焚き上げを依頼する場合は、周辺でお焚き上げを受け付けている神社や寺を探して問い合わせてみましょう。また、最近では寺や神社以外にも、お焚き上げを行ってくれるお焚き上げ専門の業者もいます。
自身で供養する
お焚き上げ以外にも自分で供養することでアルバムや写真へ感謝の念を表せます。
近くに寺や神社がなかったり足を運ぶのが難しかったりする場合は、自分で供養することも可能です。自分で供養する場合は、下記の手順にのっとって行いましょう。
- アルバムや写真を白い紙の上にのせる
- 感謝や弔いの言葉をかける
- お清めの塩をふりかける
- アルバムや写真を紙に包んで自治体のルールに沿って処分する
最終的に処分することに変わりはありませんが、ていねいに供養する分、罪悪感が薄れて処分しやすくなるでしょう。
お清めの塩とは、海水100%で作られた塩のことです。自宅にある食塩もお清めの塩に使用できます。
アルバムや写真を処分するときの注意点
アルバムや写真を処分するときは、いくつかの注意点があります。気をつけないとトラブルに発展する可能性もあるので、次の2点に気をつけましょう。
- 事前に親族へ相談する
- 第三者に見られないようにする
なぜ、この2つの点に気をつけなければならないのか、詳しい内容を解説していきます。
事前に親族へ相談する
アルバムや写真を処分するときは、事前に親族へ相談して許可をもらうようにしてください。
どのアルバムや写真に大切な思い出が込められているかは、人によって違います。自分にとって何気ない写真でも、他の親族にとってはかけがえのない思い出の写真かもしれません。
親族にとって大切な写真を勝手に処分してしまっては、後から「処分するなら写真を譲ってほしかった」と言われる可能性があります。余計なトラブルを避けるためにも、処分をする前に必ず相談しましょう。
第三者に見られないようにする
アルバムや写真を処分する際は、第三者に見られないよう配慮して捨てることが大切です。
写真には思わぬ個人情報が写っています。例えば、写っている背景から住居地を割り出したり、運動会の写真では学校が特定されたりしてしまうでしょう。そのような個人情報を漏らさないためにも、処分するときに工夫しなければなりません。
具体的には、シュレッダーにかけたり封筒に包んだりして捨てるのがおすすめです。また、シュレッダーに抵抗がある人は、あらかじめ写真を漂白剤に漬けて真っ白にしておくといいでしょう。
まとめ
アルバムや写真の遺品整理は時間がかかるため、期限がある手続きを終えてからゆっくりと始めましょう。アルバムや写真を集めて保管する写真と処分する写真を決めたら、保管方法と処分方法を決めていきます。
処分する際は事前に親族へ相談しておくと、トラブルになることはありません。また、アルバムや写真を処分するのに抵抗がある人は、お焚き上げをしたり自分で供養したりすると、罪悪感が薄れるでしょう。