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セルフネグレクトとは?4つの原因と対処法について解説

セルフネグレクト

ネグレクトは養育の責任者が子どもや高齢者など弱者の世話をしなくなる虐待の一種です。

しかし、虐待の矛先が自分に向く「セルフネグレクト」というものがあります。

セルフネグレクトは通常の生活が送れなくなり、最悪の場合は孤独死を招いてしまう危険な行為です。

さらに、セルフネグレクトは誰にでも起こりうる可能性があるため、どんな人でも知識を深めたほうがいいでしょう。

本記事では、セルフネグレクトとは何か、陥る要因や発生しうるリスクまで解説します。

セルフネグレクトに悩む人はもちろん、セルフネグレクトとは何か知りたい人も参考にしてください。

目次

セルフネグレクトとは?

散らかった部屋

セルフネグレクトは「自己放任」といわれ、自分自身へ関心がなくなり通常の生活を送れなくなることです。

「ネグレクト」には無視したり怠ったりする意味があるほか、保護責任者が子どもや高齢者などの弱者の世話を放棄することを意味します。

そんなネグレクトにセルフがつくと、自身の世話を怠ることを意味し、通常の生活を送れなくなる状態を意味するのです。

具体的には、掃除や洗濯などの家事をしなくなったり、お風呂に入らなくなったりします。

そのため、家の中や外にはゴミがたまり、自宅がいわゆるゴミ屋敷になってしまうことも少なくありません。

このことからセルフネグレクトに陥る人の特徴に、家にゴミをため込む「ゴミ屋敷症候群」(別名、ディオゲネス症候群、老年期隠遁症候群)が挙げられます。

セルフネグレクトを招く4つの要因

老人の手を取る女性

通常の生活さえままならなくなるセルフネグレクトですが、陥る要因は主に次の4つがあげられます。

  1. ライフイベントの変化
  2. 身体機能の低下
  3. 認知症や精神疾患
  4. 経済的困窮

なぜこの4つが要因にあげられるのか、それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。

ライフイベントの変化

ライフイベントが変化するとショックな出来事が発生したり、人間関係が変化したりしてセルフネグレクトにつながるおそれがあります。

ライフイベントは就職や結婚、出産、退職、死別など人生で発生する大きなイベントです。

幸せなイベントだけならいいのですが、なかには大きなショックを与えたり人間関係が一変したりするようなイベントもあるでしょう。

例えば、妻や夫に先立たれると大きなショックを受けて、気力が失せてしまうことがあります。

そうすると普段通りの生活が送れなくなり、セルフネグレクトにつながってしまうでしょう。

また、定年退職をした人のなかには人間関係が希薄になってしまうケースがあります。

働きに出ているとご近所の人と話をする時間はなかなか持てません。

そんな環境のなか定年退職をすると職場の人とも関係が薄れ、人間関係が希薄化してしまうのです。

その結果、生活に困っても助けを求められずセルフネグレクトに陥ることがあります。

身体機能の低下

ケガや老化が原因で身体機能が低下し、体が思うように動かなくなることでセルフネグレクトに陥ることがあります。

ケガで後遺症が残ったり老化で衰えたりすると、身体機能が低下して思うように体が動かせません。

今までできたことができなくなってしまうことで、通常の生活が送れなくなります。

また、今まで通りに体が動かせなくなり、精神的にダメージを受けてしまうこともあるでしょう。その結果、自暴自棄になり自身への関心も薄れ、セルフネグレクトにつながるケースがあります。

老化による身体機能の低下は誰にでも避けられないことなので、ある意味誰でもセルフネグレクトに陥る要因があるといえるでしょう。

認知症や精神疾患

老化による認知症やうつ病などの精神疾患は、セルフネグレクトにつながる要因のひとつです。

認知症は記憶力と判断力が低下することでものを捨てられなくなり、片付けができなくなってしまいます。その結果、いつの間にか家がゴミ屋敷になり、セルフネグレクトに陥ることも少なくありません。

また、精神疾患も症状によって家にゴミをため込んだり、自身へ無関心になってしまいます。

具体的には、うつ病だと気力が起きなくなったり、強迫性障害だとゴミを捨てる行為に不安を覚えて家がゴミ屋敷になってしまったりするでしょう。

2012年1月に内閣府が調査した「セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査―幸福度の視点から 報告書」によると、疾病や入院はセルフネグレクトになった理由やきっかけの24%を占めて、もっとも多い数値です。

老化による認知症は誰でも避けられないため、認知症でセルフネグレクトに陥る人が多いのかもしれません。

経済的困窮

経済的に困窮していると生活に必要なものを購入できなくなったり、病院へ通えなくなったりしてネグレクトに陥ることがあります。

お金に余裕がないとさまざまなものを切り詰めて、節約しなければなりません。その結果、生活に必要なものさえ購入しなくなり、やがて通常の生活が送れなくなってしまうでしょう。

また、貧困から病院へ通えなくなるケースもあります。病気なのに通院ができないと身体機能が衰え、ネグレクトにつながってしまうこともあるのです。

貧困からネグレクトに陥らないためにも、経済的に困窮していたら、生活保護などの公的な自立支援制度を利用しましょう。

セルフネグレクトで発生するリスク

先述したようにセルフネグレクトはさまざまな要因から陥ってしまいます。

もし、セルフネグレクトになるとどのようなリスクが発生するのでしょうか。セルフネグレクトで起こりうるリスクは次の2つです。

  1. 孤独死をする可能性がある
  2. 近隣住民とトラブルに発展する可能性がある

それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。

孤独死をする可能性がある

セルフネグレクトに陥っていると人間関係が希薄化することから、孤独死をする可能性があります。

セルフネグレクトになるとお風呂に入ったり掃除したりするのが億劫になり、身だしなみが乱れて人と会えなくなる状態になります。

やがて友人や近所の人と会わなくなり、社会から孤立してしまうのです。

社会から孤立すると自宅のなかでケガをしたときや、病気が悪化したときに気づいてもらえません。

その結果、自宅で死去してしまい、数ヶ月経って腐敗臭が漏れ出しはじめて孤独死が発覚するのです。

社会から孤立してしまう人間関係の希薄化は、セルフネグレクトも孤独死も招くことから、非常に重要な問題といえます。

近隣住民とトラブルに発展する可能性がある

セルフネグレクトは家がゴミ屋敷になることがあるため、近隣住民とトラブルに発展してしまうでしょう。

セルフネグレクトは通常の生活が送れなくなることから、掃除ができず家の中にゴミがたまっていきます。そして、いわゆる家の中や敷地内がゴミであふれかえる「ゴミ屋敷」の状態になるのです。

自宅がゴミ屋敷になると悪臭や害虫が発生して被害が近所に及ぶ可能性があります。

また、最悪の場合、コンセントにたまったホコリから発火して火事が起こることもあるでしょう。

そのため、ゴミ屋敷は近所から嫌がられてトラブルに発展してしまうのです。

トラブルが深刻化すると行政や警察などが介入し、自宅内の物品の強制撤去や罰金の支払いなどのリスクがあります。

ここまで深刻化してしまうとご近所との関係も修復できないでしょう。

セルフネグレクトは若者にも発生

俯く女性

さまざまなリスクがあるセルフネグレクトですが、認知症が陥る要因にあげられることから、高齢者の問題と捉えられる人が多いでしょう。

しかし、セルフネグレクトは高齢者だけでなく若者にも発生しているのです。

若い世代の間では新型コロナウイルスの影響を受け、会社を解雇されて経済的に困窮している人が増えています。先述した通り、貧困は要因にも挙げられるため、セルフネグレクトにつながってしまうのです。

また、若年層で引きこもる人が増えているのも、セルフネグレクトが発生する要因といえるでしょう。

2023年3月末に内閣府が発表した内容によると、15歳〜64歳の引きこもりの数は146万人に上り、2019年に発表された115万人より増加しています。

引きこもると誰にも会わないことから身だしなみが乱れたり部屋の中が荒れていったりして、セルフネグレクトにつながってしまうケースが少なくありません。

引きこもりの増加は若者間のセルフネグレクトの増加といえるでしょう。

セルフネグレクトへの対処・予防

セルフネグレクトはさまざまなリスクがあることから、もし陥っている場合には早急に対処することが大切です。

また、自身や家族がセルフネグレクトに陥りそうなら、普段から予防しておくべきでしょう。

ここではセルフネグレクトの対処や予防を紹介します。

それぞれの大切なポイントをまとめて紹介するので、セルフネグレクトに陥っている人や陥りそうな人は参考にしてください。

セルフネグレクトへの対処方法

セルフネグレクトへの対処方法では、主に下記の4つのことが大切です。

  1. 本人の気持ちや意思を聞き出して支援する
  2. 介護や地域、家事代行などのサービスを導入する
  3. 地域包括支援センターに相談する
  4. 病院で適切な治療を受ける

このなかでも1番大切なのが、本人の気持ちや意思を聞き出すことです。

セルフネグレクトは本人が無気力になっていたり自己肯定感が低くなっていたりすることから、他人との接触を拒むケースがあります。

そんな心理状態にもかかわらず無理に相手へ踏み込むと、ますます拒否されてしまうでしょう。まずは信頼関係を築いて本人から気持ちや意思を聞き出すことが大切です。

本人の気持ちや意思が聞けたら要望に合わせて、家事代行のサービスの導入や地域包括支援センターへの相談、病院での治療などの対処方法を選びましょう。

例えば、老化が理由で身の回りができないなら介護サービスの導入、高齢者なら高齢者を支えてくれる地域包括支援センターで相談ができます。

もし、病気が原因でセルフネグレクトに陥っているなら、悪化する前に病院で治療を受けたほうがいいでしょう。

セルフネグレクトの予防策

セルフネグレクトを予防するには、下記の3つのことが大切です。

  1. 社会から孤立しないようにかかわりを作る
  2. 悩みや気持ちなどを話せる環境を作る
  3. 大きなライフイベントがあるときには周囲が気を付ける

自分でできるセルフネグレクトの予防策は、社会から孤立しないように人との関わりを作ることです。

先述しましたが、人間関係の希薄化はセルフネグレクトを招きます。

社会から孤立しないように、積極的に地域社会とかかわりを持つようにしましょう。また、かかわりを持つなかで、親しい関係を築いて悩みや気持ちを話せる相手を作ることも大切です。

一方、周囲ができる予防策として、大きなライフイベントがあるときには気にかけてあげましょう。

退職や死別といった大きなライフイベントは、本人に大きなダメージを与え、生活が一変することがあります。そのようなときは本人が立ち直るまで、周囲がサポートしてセルフネグレクトに陥らないようにしましょう。

セルフネグレクトのサインのチェックリスト

セルフネグレクトについて調べている人のなかには、セルフネグレクトか判断がつかずに悩んでいる人がいるでしょう。

そのような人は下記のセルフネグレクトに気づくためのチェックリストを参考にしてください。

チェックの数が多いほどセルフネグレクトに陥っている可能性が高いです。

  • 外出する機会が極端に少ない
  • 洗濯や掃除などの家事をしなくなった
  • ゴミが捨てられずに部屋の中へ溜め込まれている
  • 身だしなみを気にしなくなった
  • 何日間もお風呂に入っていない
  • 何日間も歯を磨いていない
  • バランスのいい食事をとっていない
  • 他人とかかわるのを拒否している
  • 病気になっても病院へ行かない
  • 無理な節約をしている
  • 料金を滞納して金銭管理ができていない
  • 介護サービスや公的サービスなどの必要なサービスを受けない

まとめ

セルフネグレクトは自身に無関心になり、通常の生活が送れなくなることです。身の回りのことをしなくなるほか、家がゴミ屋敷になることがあります。

セルフネグレクトはさまざまな要因から陥り、孤独死やご近所とのトラブルなどのリスクが発生することも少なくありません。これらのリスクを避けるためにも、早急に対処する必要があるでしょう。

もし、セルフネグレクトに対処するときは、本人の気持ちや意思を確認することが大切です。本人の気持ちを確認したうえで要望に合わせて適切な対応を決めましょう。