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孤独死物件のリフォームはトラブルだらけ?費用・手続き・業者の選び方

家族や周囲の人に看取られることなくひとりで亡くなり、発見までに時間がかかってしまう「孤独死」が社会問題として注目されるようになりました。

孤独死後の住まいは、一般的な清掃やリフォームとは異なる工程を必要とすることがあります。

そこで重要になるのが「孤独死リフォーム」です。遺体の腐敗が進行していた場所や付着した体液、血液、悪臭を取り除きながら、部屋を再び安全に使える状態に戻す工程をまとめてこう呼びます。

清掃と消臭、必要に応じた壁紙や床の補修・張り替えなどを行い、心理的瑕疵の問題に対する備えにもなるリフォームといえるでしょう。

 

目次

孤独死で発生する問題 腐敗臭・体液・害虫が物件価値を下げる

孤独死で最も大きな問題となるのが、遺体の腐敗や体液などによる部屋の汚染です。

血液や体液が染み込むと独特の腐敗臭が強くなり、壁や床、畳などに浸透してしまいます。

特に夏場など気温が高い時期に発生した孤独死では、害虫が発生して室内がより劣悪な状態になることも考えられます。

長期間放置されるほど汚染範囲は広がり、一般的な清掃では対応しきれなくなるため、迅速かつ適切な対処が必要です。

こうした状態を放置すると、建物の資産価値が大きく下がるだけでなく、近隣住民にまで悪影響が及ぶ可能性があります。

特に集合住宅の場合、腐敗臭や害虫は隣室にまで侵入するおそれがあり、トラブルやクレームに発展してしまうことも珍しくありません。

孤独死の現場では、遺体があった場所の痕跡を徹底的に除去し、臭いや衛生面の問題を解決する「特殊清掃」が欠かせません。

腐敗臭は普通の清掃で落としきれないため、専門の薬剤や機材を用いた消毒・消臭作業が必要になります。

さらに、汚染が酷い場合は床材や壁紙ごと剥がし、下地部分まで消毒を行ってからリフォームしなければなりません。

この工程を怠ると、臭いや害虫などの問題が再発するリスクがあります。

原状回復のためには専門知識や経験を持つ業者に依頼し、適切な対応を行うことが望ましいでしょう。

汚染除去・消臭・原状回復

孤独死があった物件のリフォームでは、腐敗臭や細菌の除去を目的とした特殊清掃から始まり、必要に応じて壁紙や床材の交換などを行います。

消臭剤やオゾン発生装置を使って臭いを徹底的に除去し、エアコンや換気扇などの内部まで洗浄・消毒することもあります。

衛生的にも心理的にも安心して暮らせる状態に戻すことがゴールであり、人が再び住めるだけでなく、物件としての価値を回復させなければなりません。

単なる美観の回復ではなく、生活空間全体を安全かつ快適に整えるのが大きなポイントです。

時間や費用はかかりますが、結果的にはトラブルを最小限に抑え、周囲との関係を良好に保つうえでも大切な対策となるでしょう。

賃貸物件のオーナー様・ご遺族様へ

特殊清掃員

孤独死が起こった部屋を再度利用しなければならない賃貸物件のオーナー様や管理会社様にとっては大変な話です。

賃貸住宅では、腐敗臭や害虫などの問題を解決しないまま次の入居者を迎えるわけにはいきません。

告知義務や心理的瑕疵などのリスクを考慮すると、早期に適切な対応を取ることが大切です。

また、ご遺族にとっては精神的負担を軽減するためにも、プロの手による特殊清掃やリフォームが必要とされるケースがあります。

遺品整理や部屋の片づけを自分たちだけで行うのは、大きな負担とストレスを伴うことが少なくありません。

こうした状況を迅速に解決するためにも、特殊清掃業者は有効な手段となります。

孤独死があった物件リフォームの費用相場

リフォームにかかる費用は、主に「特殊清掃」と「リフォーム」の2種類に分けられます。

腐敗臭が軽微な場合は清掃や消臭だけで済むこともありますが、遺体の状態や発見までの時間によっては、床材・壁紙の交換などリフォームまで必要になることが多いです。

汚染範囲や部屋の状況によって大きく変わるため一概に言えませんが、具体的には、遺体の腐敗具合や放置期間、部屋の広さによって異なります。

軽度の場合は20万円程度で済むことがありますが、原状回復が必要になるような重度の汚染では数十万円から100万円前後、あるいはそれ以上に達することもめずらしくありません。

オゾン処理機などの特殊な設備を使い、徹底的に消臭する場合はその分費用も加算されます。

清掃や消毒だけでなく、クロス(壁紙)や床材を交換する範囲が広ければ広いほど費用は膨らみます。

あらかじめどこまでの修繕が必要なのかを明確にし、必要以上に予算がかさまないよう注意することが大切です。

特殊清掃の費用 汚染度・部屋の広さ別の料金相場

特殊清掃では、部屋の広さと汚染度合いが費用を左右します。

たとえばワンルームや1K程度の広さで、汚れが軽度なら清掃費用は20万~30万円ほどになるケースがあります。

しかし、2DKや3LDKのように広い部屋で腐敗が進行している場合、50万~80万円程度、あるいはそれ以上の予算を見込んだほうがよいでしょう。

下記はあくまで目安となるものの、一例を示したものです。

部屋の広さ 汚染度合い 料金相場い
1K 軽度(体液・臭い少なめ) 約20〜30万円
1K 重度(腐敗が進んでいる) 約30万〜50万円
2DK〜3LDK 軽度 約30万〜50万円
2DK〜3LDK 重度 約50万〜80万円

 

現場の状態により追加作業が発生することが多々あるため、実際の見積もりはこの限りではありません。

複数の業者に現場を見てもらいながら、納得のいく金額を比較検討してみることが大切です。

リフォーム費用 壁紙・床・トイレ…どこまで必要?

特殊清掃を行っただけでは、床や壁に残った汚れや臭いが完全には改善しない場合があります。

そのため、壁紙の全面張り替えや床材の交換まで考えなければならないケースも多いです。

下地のコンクリートや木材まで体液が染み込んでしまっているときには、防臭・防菌処理と合わせて補修が必要になるため、費用が大きく膨らむ場合があります。

トイレや浴室も利用状況によっては修繕が必要になることがあり、どこまでリフォームすべきかは現場の状況やオーナーやご遺族の希望によって変わります。

見た目だけでなく、臭いの原因を徹底的に除去できるかを重視するとよいでしょう。

【要注意!】追加費用 予想外の出費を防ぐポイント

特殊清掃やリフォームを進めるうち、当初の見積もりでは把握しきれなかった腐敗痕やカビ、害虫被害の痕跡が新たに見つかることがあります。

こうした場合は、追加で清掃や補修をするために費用が増えてしまう可能性があります。

予想外の出費を防ぐためには、現場調査の段階でできる限り詳しく調べてもらい、必要になりそうな作業を洗い出しておくことが重要です。

安い見積もりにつられて契約してしまうと、後から想定外の追加費用がかかるケースもあるため、見積もり内容を細かくチェックして、作業の範囲や費用項目をしっかり確認しておきましょう。

孤独死物件のリフォーム費用は誰が払う? 

賃貸物件の場合、孤独死が起こった部屋のリフォーム費用は基本的にオーナーや管理会社が負担することが多いです。

しかし、保険や契約内容、部屋の汚染状況によっては、ご遺族が一部を負担するケースもあります。

賃貸契約書に特約があるかどうかも大きなポイントになるでしょう。

持ち家の場合は、基本的にリフォーム費用は相続人が負担します。

火災保険や特約保険でカバーできる場合があるため、保険内容を確認してみることをおすすめします。

状況によっては自治体の相談窓口でサポートを受けられることもあるため、経済的に困難な場合は早めに相談してみるのも有効です。

 

孤独死物件リフォームの業者選び

孤独死リフォームは、特殊清掃やリフォーム作業の専門知識が必要なうえに、悪質な業者に依頼してしまうと高額な請求や不十分な対応に悩まされることがあります。

費用とサービス内容をしっかり比較しながら、失敗のない業者選びを行うためのポイントを押さえておきましょう。

まず大切なのは、実績や資格を持つ業者を探すことです。

孤独死リフォームには法律面の知識や、高度な清掃技術が求められます。

防臭・除菌処理の専門知識があるか、実際にどの程度の事例を手がけてきたかを確認することが大切です。

口コミの良い業者

次に、口コミや評判を調べることで、スタッフの対応や作業品質について具体的にイメージしやすくなります。

実際の利用者の声を参考に、適切な対応をしてもらえるかどうかを判断するとよいでしょう。

悪徳業者を見極めるためには、相場よりも極端に高い、あるいは極端に安い金額を提示してくる場合には要注意です。

また、見積もり時に「すぐ契約しなければ割引がなくなる」といった不安をあおる方法をとるところにも警戒が必要です。

契約を急がされると十分な検討ができず、結果的に高額な追加費用が発生したり、不適切な作業で問題が解決しなかったりするケースも考えられます。

より安心な業者を選ぶためには、複数の会社から相見積もりを取り、サービス内容や費用を比較することが不可欠です。

清掃とリフォームの範囲はどこまで含まれるのか

消臭や害虫駆除は追加費用なのかといった点について細かく質問し、明確な回答を得るようにしましょう。

疑問点が残ったまま契約するのは避けたほうが賢明です。

業者によっては、リーズナブルな価格帯であっても、必要な工程をしっかりカバーしている場合もあります。

一方で「安かろう悪かろう」のリスクもあるため、

見積もり内容をしっかり読み込み、疑問点を解消しながら検討を進めることが何より大切です。

孤独死物件リフォームの手続き

孤独死が発生した場合には、まず警察や行政への連絡、死亡届の提出や葬儀など、一般的な手続きを踏む必要があります。その後、部屋の清掃や遺品整理などを段階的に進め、最終的には原状回復やリフォームへとつなげるのが一般的な流れです。

以下に、孤独死後の手続きのおおまかな流れを示した図解を示します。イメージをつかんでおくと、いざという時に慌てずに対応できるでしょう。

  1. 警察へ連絡
  2. 死亡診断書の取得と死亡届の提出
  3. 葬儀の準備
  4. 賃貸物件の場合、管理会社、オーナーへの連絡
  5. 特殊清掃の依頼
  6. 遺品整理の実施
  7. 原状回復・リフォームの検討・見積もり依頼
  8. リフォーム実施・完了確認

特殊清掃を依頼する際は、部屋の規模や状態によって費用や作業日数が変わってきます。腐敗臭や害虫などの問題が深刻であればあるほど、作業工程は複雑になり費用も膨らみがちです。

遺品整理は自分たちで行うことも可能ですが、精神的な負担や作業量を考慮すると、専門業者に任せる方がスムーズな場合もあります。

賃貸物件で孤独死が発生した際には、原状回復や修繕義務の範囲をオーナー・管理会社とよく話し合うことが大切です。

告知義務の問題や心理的瑕疵について適切に対応しないと、入居者募集にも悪影響を及ぼしかねません。

速やかに手続きを進めることで、周囲への影響やトラブルリスクを最小限に抑えることができます。

まとめ

孤独死リフォームは、特殊清掃やリフォーム作業だけでなく、法律や告知義務といった問題にも対応しなければなりません。

発生時の手続きを正しく行い、実績のある業者に依頼することで、部屋の状態を安全かつ快適に復旧できます。


さらに、孤独死を防ぐためには、日頃から家族や地域社会とコミュニケーションを取り、見守りサービスや行政のサポートを活用することが重要です。

予防と対策の両面から取り組むことで、孤独死によるトラブルや悲しい出来事を減らすことができるでしょう。