特殊清掃の料金を調べると、「一体いくらかかるの?」と頭を抱えてしまいがちです。
遺品整理とは違う独特の作業工程や、高額請求の不安を感じる方も多いでしょう。
たとえば1Kや1Rの作業であれば、8万円~30万円程度からスタートするケースが多いです。しかしながら、状況によって振れ幅は大きくなります。
そこで本記事では、孤独死・ゴミ屋敷・事件現場など、さまざまなシチュエーションを想定しつつ、費用相場や業者の選び方を徹底解説します。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
特殊清掃とは
特殊清掃とは、人が亡くなっていた場所や大量のゴミが放置された現場など、通常のハウスクリーニングだけでは対処できないケースに特化した清掃サービスです。
孤独死・事故・事件現場などで血液・体液が床下や壁に染み込んだり、強い腐敗臭が発生したりする場合には、専門的な薬剤・機材を用いて除去・消毒を行います。
たとえばゴミ屋敷のように害虫が大量発生している現場でも、害虫駆除や廃棄物処理とあわせた総合的な対応が求められます。
また、作業員の心理的・身体的負担や、安全対策・専門技術が必要なことから、料金は高額に設定されています。
通常の清掃とは異なり、防護服や防臭資材を使いながら、感染症リスクに配慮した作業体制を整えているためです。
しかし、安心・安全を確保するうえでは欠かせないサービスといえるでしょう。
特殊清掃の料金相場について
特殊清掃の料金相場は、主に「間取り」と「作業内容」で決まるのが一般的です。たとえば1Kや1Rの作業であれば、8万円~30万円程度からスタートするケースが多いでしょう。
孤独死の現場でオゾン脱臭や害虫駆除、畳撤去などが必要になると、10万円台後半~50万円前後まで上がることもあります。部屋の広さが2LDKや3LDKと大きくなるほど、撤去物や汚染範囲が広がり、費用はさらに高額になりがちです。
これだけ料金に幅があるのには、ちゃんとした理由があります。
その理由2つのポイントについて解説していきます。
業者によって料金は異なる
1つ目のポイントは、特殊清掃業者によって料金が異なることです。
基本的には、間取りでの料金設定をしていますが、これも業者によって違います。
1Rや1Kの様な小さい間取りから、3LDK以上の一軒家丸ごとの清掃では料金が全く違います。
そして更に、人件費、清掃や消臭に使う薬剤や機械のメンテナンス費用、遺品の運び出しや運送費などを考慮しているためです。
特殊清掃の料金が相場よりもかけ離れ、安く設定している業者はあまり良い業者とは言えないと判断することもできますね。
状況によっても料金が異なる
2つ目のポイントは特殊清掃の状況によっても料金は異なるということです。
例えば、ご遺体の発見が遅れ、床や壁に体液や血液が深く染み込み、腐敗臭が酷く、害虫が発生しているという様な状況では、消臭作業や除菌のための薬剤散布などで料金が変わるのです。
ご遺体の発見が早く、部屋の痛みが比較的少ない場合は、料金がかからないということになります。
料金例(事例別)
特殊清掃、遺品整理の料金例を表にまとめました。
参考としてご覧ください。
【遺品整理費用料金例】
部屋の間取り | 作業人数 | 料金 |
1K・1R | 1名 | 25,000円〜 |
1DK | 2名 | 60,000円〜 |
1LDK | 3名 | 100,000円〜 |
2DK | 3名 | 120,000円〜 |
2LDK | 4名 | 150,000円〜 |
3DK | 5名 | 180,000円〜 |
3LDK | 5名 | 200,000円〜 |
4LDK | 6名 | 250,000円〜 |
※料金は一例です。
「特殊清掃費用料金例」
特殊清掃作業内容 | 料金 |
床上の特殊清掃 | 30,000円〜 |
浴室の特殊清掃 | 50,000円〜 |
消臭剤・除菌剤の散布 | 10,000円〜 |
消臭オゾン脱臭処理 | 10,000円〜 |
畳の撤去(1枚あたり) | 3,000円〜 |
※料金は一例です。
特殊清掃の費用負担と法的責任
特殊清掃の費用を誰が負担するのかは、ケースによって異なります。
一般的には、賃貸契約であれば連帯保証人や相続人、もしくは物件オーナーのいずれかが責任を負うのが通例です。
孤独死の場合、まずは故人が支払った敷金を充当し、それで賄いきれなければ保証人や相続人が負担するという流れになりがちです。
一方、家族がいないまま亡くなったり、保証人が不在だったりするケースでは、物件所有者が対応を迫られることがあります。
また、法律面で気をつけたいのは相続放棄や賃貸契約の解除時期などです。
相続人が全員相続放棄してしまった場合や、故人に残された財産がほとんどない場合には、結果的に物件オーナーが費用を支払う可能性が高くなります。
さらに、火災保険や孤独死保険といった保険商品を活用できるかどうかも確認しておくと安心でしょう。いずれにせよ、契約書や法的ルールを踏まえたうえで早めに対策を取ることが大切です。
関連記事:遺品整理業者の費用は誰が払う?費用を抑えるポイントも紹介
特殊清掃業者の選び方
特殊清掃業者によって料金が異なるということを上記で説明しましたが、相場より安すぎる特殊清掃業者には注意が必要です。
料金設定が安いと、そこに決めたくなるかもしれませんが、お勧めできません。
なぜなら、後から高額な料金を請求することがあるからです。
安すぎる特殊清掃業者の料金請求の例として、以下のようなことがあります。
- 見積もりして相談した時よりも勝手に作業内容を増やし、作業時間が増えたからと料金増しで最終的にはかなりの高額料金になっていた。
- 料金が安いと思って依頼したら、後からあれもこれもオプション料金だったと言われた。
- 料金は安かったが作業内容がいい加減だったため、結局違う特殊清掃業者に頼んで、負担が大きくなった。
以上の様な高額請求をされる場合があるので、気をつけてください。
特殊清掃費用を抑える3つの方法
早めに依頼する
汚染が進むほど作業範囲が拡大し、時間も費用も増大する恐れがあります。
死後の発見が遅れるほど、腐敗や害虫の増殖によって料金が跳ね上がるケースが多いです。
見つけたらすぐに業者へ相談し、見積もりを取るのが得策といえます。
複数の業者を比較する
1社だけの見積もりでは相場感が掴みづらいでしょう。
複数業者をあたることで、不当な高額請求を回避しやすくなりますが、前項で解説した業者の選び方を参考に早急に対応しましょう。
内訳が明確なところを選ぶと無駄な出費を抑えられるはずです。
保険や補助制度を確認する
孤独死保険や賃貸用の家財保険などが適用される場合があります。
カバーできる金額は限られるものの、加入していれば実質的な負担を軽減する効果が期待できるでしょう。
自治体の支援制度があれば、そちらも要チェックです。
まとめ
特殊清掃の費用相場は、特殊清掃業者によって料金が異なるのは、人件費や運搬費、メンテナンス費用などで変わるためです。そして現場の状況でも料金が変わるということを説明させていただきました。
そして特殊清掃の料金例と、特殊清掃はどうやって行われるのかという流れと、安すぎる業者は、後から高額請求されるリスクがあることをお知らせしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。