もし、孤独死が発生した場合、部屋の特殊清掃をしなければなりません。その場合、誰が費用を負担するのか気になるでしょう。
特殊清掃の費用を誰が支払うのかは、状況によって異なります。どんな時に誰が支払うのか知らないと、いきなり費用を請求されて慌ててしまうことがあるでしょう。
そこで本記事では、孤独死によって発生した特殊清掃の費用を誰が支払うのか解説します。1人で暮らしている方や、賃貸物件を所有している方は、もしもの時に備えて参考にしてください。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
特殊清掃費用を支払う方
持ち家の場合、孤独死による特殊清掃費用は法定相続人が支払います。賃貸の場合は敷金から支払い、不足分を責任者から請求します。責任がある順番は下記のとおりです。
- 連帯保証人
- 法定相続人
- 物件の所有者
基本的にはこの順番で費用を請求されますが、孤独死した状況や遺産放棄によって誰が支払うのか変わります。どんな時に誰が費用を支払わなければならないのか、見ていきましょう。
連帯保証人が支払う場合
一番支払う責任が高いのは、物件を借りた際の連帯保証人になっている方です。
連帯保証人は文字通り借主と「連帯」しているため、借主と同等の責任があります。借主の過失で孤独死した場合、亡くなった借主に代わり責任を問われてしまうのです。
しかし、借主が亡くなっても物件を借りている権利はなくならず、権利は相続人へ相続されます。
その場合、相続人が借主になるため相続人へ費用の請求がされますが、相続人が相続放棄した場合には、連帯保証人に請求がくるので注意しましょう。
なお、2020年から連帯保証契約の際にどのくらいの金額を代わりに支払えるのか、「限度額」の記載が義務付けられました。
限度額以上の金額は請求されないので、よく契約内容を確認しておきましょう。
参考:連帯保証契約の限度額
法定相続人が支払う場合
連帯保証人の次に責任があるのは法定相続人です。法定相続人とは財産を相続する権利を持つ方のことで、配偶者・子ども・親・兄妹姉妹の順番で相続順位が決まっています。
費用を支払う責任は連帯保証人のほうが高いですが、遺産を相続した時に物件を借りている権利まで相続されるため、実際は法定相続人のもとへ費用を請求されることが多いです。
しかし、相続放棄をすれば費用は請求されません。
なお、1点気を付けなければならないことが、連帯保証人と法定相続人が同じ方の時です。
この場合、相続放棄をしても連帯保証人の権利までは失いません。そのため、相続放棄したとしても、連帯保証人として費用を支払う義務があります。
物件の所有者が支払う場合
最後に費用を負担する責任があるのは、「大家」と呼ばれる物件の所有者です。
費用を負担する順番は一番低いですが、孤独死された状況や連帯保証人・法定相続人の有無によっては、大家が負担しなければならないことがあります。
どんな時に大家が負担しなければならないのか、次の項目で詳しく見ていきましょう。
物件の所有者が支払うパターン
先述した通り、大家(物件の所有者)は連帯保証人・法定相続人の有無や孤独死された状況、契約内容によっては特殊清掃の費用を負担しなければなりません。大家が支払うパターンは、下記の3つです。
- 連帯保証人・法定相続人がいない場合
- 自然死など孤独死の原因が借主の過失ではない場合
- 連帯保証人の負担する額が契約した際の限度額を超えた場合
それぞれのパターンを詳しく見ていきましょう。
連帯保証人・法定相続人がいない場合
賃貸に済んでいる期間が長いと大家の知らないうちに連帯保証人が亡くなっているケースや、借主によっては法定相続人が見つからない場合があります。
このように連帯保証人と法定相続人がいない場合は、大家が特殊清掃の費用を負担するしかありません。
また、例え法定相続人がいたとしても、相続放棄をする場合があります。
相続放棄をすると、先述した通り物件を借りる権利も放棄するため、法定相続人は原状回復の義務を負いません。そのため、この場合も大家が費用を負担します。
なお、連帯保証人や法定相続人がおらず借主が生活保護を受けていた場合、役場は遺品整理や特殊清掃については関与しません。そのため、この場合でも大家が費用を負担する必要があります。
孤独死の原因が借主の過失ではない場合
老衰などの自然死や病死などは誰にでも起こることであり、例えこれらの理由で孤独死したとしても借主に責任は問われません。
そのため、自然死や病死が理由で孤独死した時には、大家が特殊清掃の費用を負担する場合があります。
しかし一方で、孤独死の発見が遅れ特殊清掃にかなりの費用がかかってしまった場合には、遺族に費用を負担してもらえるケースがあるようです。
このような場合には、どちらが負担をするか遺族とよく話し合うといいでしょう。
また、自然死や病死でも、部屋にゴミがあふれ「ゴミ屋敷」と呼ばれるような状態だった場合、借主の過失が認められるケースがあります。
費用の何割か遺族に負担してもらえる場合があるので、やはり遺族とよく話し合うといいでしょう。
>>孤独死が起きた際の特殊清掃について|流れやポイントを詳しく解説
連帯保証人の負担する額が極度額をこえた場合
先述した通り、2020年の民法の改正により連帯保証人は契約の際に定めた限度額以上の金額を払わなくてよいことになりました。
そのため、連帯保証人へ特殊清掃にかかった費用を請求しても、限度額を超えた分の費用は大家が支払わなければなりません。
しかし、この改正は2020年以降の契約に適用され、それ以前の契約には基本的に適用されません。
借主と交わした契約書をよく読み、改正が適用されるのかよく確認するようにしましょう。
孤独死への備え
孤独死が起こると特殊清掃をしなければならず、連帯保証人や法定相続人、大家に迷惑をかけてしまいます。
また、大家も連帯保証人や法定相続人に支払ってもらえなかった場合、費用の負担が大きく赤字になってしまうでしょう。
そのような事態を避けるためにも、孤独死への備えをすることが大切です。借主と大家ができる備えを紹介するので、参考にしてください。
見守りサービスを導入する
見守りサービスは離れて暮らす家族に代わって、高齢者の一人暮らしを見守ってくれるサービスです。見守りサービスを導入することにより、孤独死を未然に防ぎます。
見守りサービスは、民間のサービスから各地域の自治体で行われるサービスまであるため、まずは、お住まいの地域にどのようなサービスがあるか調べることが大切です。
そのうえで、自分にあったサービスを選ぶようにしましょう。
見守りサービスはおおまかに次の3つに分けられます。
種類 |
内容 |
接触型 |
本人がボタンなど押して異常を知らせるサービス |
非接触型 |
カメラや人感センサーなどを設置して異常があったときに知らせるサービス |
対面型 |
スタッフが定期的に自宅を訪問して安否を確認するサービス |
種類によって特徴があり、メリットとデメリットがあります。それぞれのサービスをよく調べ、自身の性格や予算にあったものを選びましょう。
孤独死保険に加入する
保険の中には、孤独死が起きた時に備える「孤独死保険」があります。事前に加入しておくことで、孤独死が起きた場合に特殊清掃の費用にあてることが可能です。
孤独死保険には大家が加入する「家主型」と借主が加入する「入居者型」があります。
家主型は大家が加入する単独保険で、孤独死によって起こる家賃損失や原状回復などの費用が保証されます。その代わり、大家が費用を負担しなければならないうえ、入居者型と比べると割高です。
一方、入居者型は家財保険の特約で加入し、入居者が費用を負担するため、大家の負担がありません。その代わり、家賃保証がなく、原状回復の保険料は相続人に支払われます。
特殊清掃作業はプロアシストにおまかせ
孤独死は時間が経過してしまうと臭いや汚れが落ちにくくなるだけでなく、特殊清掃の費用が高くなるもの。
そんな費用を自分が負担するかもしれないと考えると、おそろしい気分ですよね。
その点、プロアシストなら無料でお見積もりができるため、特殊清掃にどのくらいの費用がかかるのか無料で分かります。
しかも、清掃する部屋を直接確認してから見積もるため、見積もり段階でより正確な金額がわかるでしょう。
ぜひ、特殊清掃はプロアシストにお任せください。