特殊清掃と遺品整理は、どちらも親族や親戚など身内が亡くなった後にするもので、同じことだと思っている人も多いのではないでしょうか。
実は特殊清掃と遺品整理は目的や作業内容に違いがあります。この違いを知っておかないと、「遺品整理でお願いしたけど特殊清掃が必要だった」などのケースが発生してしまうでしょう。
本記事では、特殊清掃と遺品整理の具体的な違いや特殊清掃が必要な状況、それぞれの費用相場について解説します。
特殊清掃と遺品整理の違いを知り、どちらに依頼をすればいいのか把握しておきましょう。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
特殊清掃と遺品整理の違い
特殊清掃と遺品整理は大きく分けて下記の5つの違いがあります。
- 目的
- 対象
- 内容
- 時間
- 費用
まずは、1番違いがある特殊清掃と遺品整理の業務内容について解説していきます。その後、それぞれの違いを表にして、特殊清掃と遺品整理の違いをみていきましょう。
特殊清掃の内容について
特殊清掃とは、孤独死などが原因で通常の清掃では落ちなくなった汚れや臭いを取る特別な清掃方法です。
孤独死の場合はすぐに発見されないことが多く、遺体の腐敗が進んで体液や血液で部屋が汚れてしまったり、腐敗臭が部屋にこびりついてしまったりします。このような状態になると、一般的な清掃方法では汚れが落ちず、臭いも取れません。
そのため、特殊清掃の技術を持っている特殊清掃業者が専用の薬剤や脱臭機器を使い、汚れや臭いの除去作業をします。また、細菌やウイルスの除菌作業や、お風呂の水質検査などを行う場合もあります。
遺品整理の内容について
遺品整理とは、亡くなられた方の家にある荷物を整理し片付けることです。
主に、亡くなられた方が残したものを、必要なものと不必要なものに分けます。業者によっては不必要なものをそのまま買取してくれることも。
遺品整理は特殊清掃で行うような体液などの除去は行っていませんが、業者によっては簡単な清掃を行ってくれます。また、オプションが充実している業者では、脱臭やハウスクリーニング、お焚き上げをお願いすることも可能です。
業者のなかには、特殊清掃と遺品整理をパックで行ってくれるところもあります。「特殊清掃も遺品整理も行いたい」という方は、パックを行っている業者を選ぶと、まとめて依頼ができるのでおすすめです。
内容の相違点まとめ
ここまで文章で特殊清掃と遺品整理の違いについて解説してきましたが、分かりやすいように表でまとめて違いをまとめてみましょう。
特殊清掃 |
遺品整理 |
|
目的 |
孤独死など通常の清掃では落ちない汚れや臭いの清掃すること |
遺族に代わって遺品を整理、片付けをすること |
対象 |
亡くなられた現場・汚染された部屋 |
指定の部屋・住居 |
内容 |
特殊な清掃、脱臭、除菌など |
遺品の整理、処分、買取 |
時間 |
数日 |
1日〜数日 |
費用 |
床上の特殊清掃:30,000円~ |
1R/K:25,000円~ |
特殊清掃と遺品整理の主な違いは「目的・対象・内容・時間・費用」です。
特殊清掃が亡くなられた現場を特殊な方法で清掃するのに対し、遺品整理は遺品の整理や片付けを行います。
また、特殊清掃は消臭などに平均3日ほどかかるのに対し、遺品整理は早ければ一日で終わることがあるようです。
費用についても違いがありますが、費用の算出方法が異なるため、一概にどちらが高いとは言えません。詳細については後述します。
特殊清掃が必要な状況
依頼を考えている人のなかには、自分の依頼が特殊清掃なのか遺品整理なのか分からない人がいるでしょう。特殊清掃が必要な状況は次の3つです。
- 孤独死が起きた現場
- 事件性のある現場
- 火災があった現場
それぞれの状況について詳しく解説していきましょう。
孤独死が起きた現場
孤独死が起きた現場は、体から漏れ出した体液や血液で床が汚れています。風呂場で亡くなっていた場合には、浴室が油や肉片、残った髪の毛などで汚れているでしょう。
汚れ以外にも、腐敗臭が床や壁について取れなくなったり、細菌や害虫が発生してしまったりする場合があります。風呂場で亡くなっていた場合には、水質検査を行う必要があるでしょう。
この状態になると個人での清掃ではきれいにならないうえ、脱臭や除菌、害虫駆除、水質検査を個人で行うのは難しいです。そのため、特殊清掃業者が清掃して、人が住める状態まで原状回復する必要があります。
事件性のある現場
事件性のある現場では、悲惨な話ではありますが、血が部屋のあちこちに飛び散っている場合があります。さらに、長期間発見されないと先述した孤独死と同様に腐敗が進んで床が体液などで汚れてしまうでしょう。
さらに、事件性のある現場は状況にもよりますが、警察の現場検証に時間がかかってしまうことがあります。時間が経てば経つほど、汚れは落ちにくくなってしまうため、個人が行う清掃では血液や体液の汚れを落としきれないでしょう。
また、清掃だけでなく事件があった現場はご遺族にとって見るだけでも辛い現場なはずです。無理して個人で清掃するのではなく、特殊清掃業者に依頼をしてきれいにしてもらいましょう。
火災があった現場
火災があった現場は孤独死のような腐敗による汚れや腐敗臭こそありませんが、黒くなったすす汚れや火災臭と呼ばれる焼け焦げた臭いが現場に染み付いています。
この火災臭は一度染み付くとなかなか落ちず、個人で臭いを除去するのは難しいです。
また、すす汚れにはダイオキシンやアスベストなど健康に害を及ぼす物質が含まれている可能性があります。最悪、石綿肺や肺がんを発症してしまう可能性があるため、火災があった現場を個人で清掃するのは危険な行為です。
特殊清掃業者は清掃のノウハウを持っているだけでなく、防護マスクやゴーグルなど有害物質への対策をしています。火災現場のような危険な場所は個人で清掃を行うのではなく、プロへ任せましょう。
特殊清掃と遺品整理の費用比較
ここまで特殊清掃と遺品整理の内容の違いを解説してきましたが、ここからは特殊清掃と遺品整理の費用を比較していきます。一般的には特殊清掃のほうが高いと言われることが多いですが、その通りなのでしょう。
それぞれの費用を解説した上で費用を比較していきます。
特殊清掃の費用
作業 |
料金 |
床上の特殊清掃 |
30,000円~ |
浴室の特殊清掃 |
50,000円~ |
消臭剤・除菌剤の散布 |
10,000円~ |
消臭オゾン脱臭処理 |
10,000円~ |
畳の撤去(1枚) |
3,000円~ |
>>[作業費用)](https://proassist-east.com/price/)
※上記料金には体液、血液、汚染物の除去、汚染物の梱包、搬出、害虫除去、清掃、除菌、消臭作業1回分が含まれます。
特殊清掃の費用は、一つの作業に当たり費用が算出されています。しかし、現場によって処理する日数や必要な作業が異なるため、簡単に費用を計算できません。
そのため、作業を行う前に現場へ赴き、どの作業がどのくらいの日数必要になのか、確認して見積もりを出す必要があります。
また、なかには当日作業を進めていくなかで、事前の見積もりだけでは分からないことがあり、追加での作業が必要になることも。そのような場合には、ちゃんと依頼人に確認をしてから作業を進めていきます。
遺品整理の費用
お部屋の間取り |
作業人数目安 |
料金 |
1R/K |
1名 |
25,000円~ |
1DK |
2名 |
60,000円~ |
1LDK |
3名 |
100,000円~ |
2DK |
3名 |
120,000円~ |
2LDK |
4名 |
150,000円~ |
3DK |
5名 |
180,000円~ |
3LDK |
5名 |
200,000円~ |
4LDK |
6名 |
250,000円~ |
>>[作業費用](https://proassist-east.com/price/)
※荷物の量やお住まいの階層・エレベーターの有無・駐車場からの距離など、作業環境による人員の増減で料金は変動します。
特殊清掃の費用が作業内容に対して費用を算出しているのに対し、遺品整理は作業を行う部屋の大きさに対して費用を算出しています。しかし、特殊清掃と同様に荷物の量やお住いの階によって費用は変わるため、簡単に費用は計算できません。
そのため、遺品整理の場合も作業を行う前に現地へ趣き、どのくらいの荷物があるのかなど確認して見積もりを出します。
また、遺品整理は作業費用とは別に家電や電化製品を買取してくれる場合も。なかには、買取金額が思いがけず高額になり、作業費用が安く済むかたもいるようです。遺品整理は買取金額によっても費用が大きく異なるでしょう。
特殊清掃と遺品整理の費用は比べられない
ここまで特殊清掃と遺品整理の費用について解説しましたが、どちらも費用の算出方法が違うため、比べることは難しいでしょう。行う作業によっては安いといわれている遺品整理のほうが高くなる場合があります。
また、特殊清掃業者のなかには特殊清掃と遺品整理をパックで行っている業者がいます。特殊清掃も遺品整理もどちらも必要な場合には、パックを行っている業者を選ぶと費用を抑えられるでしょう。
特殊清掃業者を選ぶポイント
ここでは、特殊清掃業者を選ぶ際の大切なポイントを紹介します。ポイントは全部で下記の5つです。
- 経験と実績
- 対応エリアと迅速性
- 料金体系
- スタッフの資質と対応
- 口コミや評判
なぜこれらのポイントが大切なのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
経験と実績
業者を選ぶ際はどのくらいの経験があり、どんな実績があるのかを確認することが大切です。
経験が浅い業者や特殊清掃の実績がない業者だと、技術のレベルが低く、腐敗臭を完全に脱臭できない場合があります。
原状回復してもらうためにも、経験年数や実績がある業者を選ぶことが大切です。
経験年数や実績はホームページなどで公開している業者が多いので、事前に確認しましょう。
対応エリアと迅速性
特殊清掃業者は業者によって対応しているエリアが異なっています。そのため、まずはお住まいの地域に対応した特殊清掃業者を探すことが大切です。
インターネットやグーグルマップで検索をして、エリアに対応した特殊清掃業者を探しましょう。
また、対応エリアだけでなく迅速に対応してくれるかも重要なポイントです。
孤独死の現場は時間が経てばたつほど汚れや臭いが落ちにくくなるため、迅速な対応が求められます。対応エリアの業者を見つけたらどのくらいで作業をしてもらえるのか確認しましょう。
料金体系
特殊清掃は業者によって大きく費用が異なることもあり、事前に見積もりをとることが大切です。そのため、見積もりが取りやすい業者を選ぶといいでしょう。
具体的には、作業を行う前に無料で見積もりを行ってくれるような業者がおすすめです。
また、業者のなかには「清掃一式:○○円」のように不明瞭な見積もりを出す業者がいます。その場合、不必要な作業代が含まれている可能性が考えられるでしょう。
作業ごとに料金を記載した明確な見積もりを出す業者を選ぶことが大切です。
スタッフの資質と対応
スタッフがよく教育され真摯な対応をしてくれる業者を選ぶと、信頼へとつながり安心して任せられます。
特殊清掃の依頼は大切な人を亡くされつらい心境のなか、特殊清掃をしてくれる業者を探しているかたが多いです。そんなご遺族の心境を汲み取れず横柄な態度をとる業者を選ぶと相手を信頼できず、「あの業者に頼まなければよかった」と後悔してしまうことがあるでしょう。
後悔しないためにも問い合わせをした時に、真摯な対応をしてくれたか、丁寧に説明してくれたかなど、信頼できる業者か確認することが大切です。
口コミや評判
特殊清掃業者を利用した人の評判や口コミを確認することで、ホームページに載っていない情報を得られます。
ホームページに良いことばかり記載してある業者でも、利用してみたら悪質だったという場合があります。そのような事態を避けるためにも、実際に利用した人の評判や口コミを確認することが大切です。
具体的には、比較サイトや特殊清掃の口コミをまとめたサイト、グーグルマップの口コミなどを確認して、利用した人の声を確認しましょう。
まとめ
特殊清掃と遺品整理には明確な違いがあり、主に目的・対象・内容・時間・費用が違います。それぞれの違いをよく理解して、自分の依頼内容はどちらに適しているのか確認しましょう。
また、遺品整理業者を選ぶ際には、経験と実績・対応エリアと迅速性・料金体系・スタッフの資質と対応・口コミや評判の5つのポイントを中心に選ぶことが大切です。それぞれなぜ重要なのかを知り、利用して後悔しない特殊清掃業者を選んでください。
特殊清掃作業はプロアシストにおまかせ
孤独死は時間が経過してしまうと臭いや汚れが落ちにくくなるだけでなく、特殊清掃の費用が高くなるもの。そんな費用を自分が負担するかもしれないと考えると、おそろしい気分ですよね。
その点、プロアシストなら無料でお見積もりができるため、特殊清掃にどのくらいの費用がかかるのか無料で分かります。しかも、清掃する部屋を直接確認してから見積もるため、見積もり段階でより正確な金額がわかるでしょう。
ぜひ、特殊清掃はプロアシストにお任せください。