近年、孤独死は増加しているうえ、亡くなる人の4割が現役世代という調査結果が出ており、全世代にわたる問題と言えます。自身が孤独死をしてしまうリスクはもちろんのこと、発見者となる可能性が考えられるでしょう。
そのような状況下で孤独死についてはもちろんのこと、発見した時の対応や孤独死への対策を知らないと、対応を間違えてトラブルに巻き込まれる可能性があります。
そのような事態を避けるためには、孤独死とは何か知ることが大切です。
本記事では、孤独死とは何か、発見した時に何をすればいいのかなど、孤独死について詳しく解説していきます。正しい知識を身につけて、トラブルを避けるようにしましょう。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
孤独死とは?孤立死との違い
孤独死を避けるためには、まず孤独死がどのようなものか知る必要があるでしょう。
ここでは、孤独死を知るために次の4つについて解説します。
- 孤独死と孤立死の違い
- 孤独死の原因
- 孤独死はどうやって発見されるのか
- 孤独死が発見されるまでの日数
それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。
孤独死と孤立死の違い
孤独死と似た言葉で孤立死という言葉がありますが、この2つはニュアンスが違います。
孤独死は、誰にも看取られずに1人で亡くなることを指しますが、亡くなった人が孤立状態だったかは問いません。
一方、孤立死は孤独死と同じ意味がありますが、孤独死と比べて、亡くなった人が地域や社会から孤立していたという意味を含んでいます。
また、行政などの公的な場で孤独死について記載するときには、孤立死のほうが用いられています。
孤独死の原因
死因 | 人数 | 割合 |
病死 | 4,496 | 66.8% |
自殺 | 702 | 9.8% |
事故死 | 82 | 1.2% |
不明 | 1,447 | 22.1% |
合計 | 6,727 | 100% |
上記の表は、2022年11月に日本少額短期保険協会孤独死対策委員会が発表した孤独死者の死亡原因を表にしたものです。
このレポートによると、孤独死の原因(死因)の過半数以上を占めるのが病死で、自殺、事故死と続いています。
一見、病死が多いように見えますが、実は孤独死では突出して自殺が多いのです。全国民を対象とした全死因のうち自殺の割合は1.4%となっており、孤独死の自殺の割合と比べると孤独死では自殺が多いことがよく分かります。
さらに、孤独死をした女性の自殺者のうち4割が20代という調査結果が出ており、若い女性の自殺が問題視されています。
孤独死はどうやって発見されるのか
発見者 | 人数 | 割合 |
親族 | 1,251 | 25.5% |
友人 | 681 | 13.9% |
管理 | 1,281 | 26.1% |
福祉 | 721 | 14.7% |
警察 | 431 | 8.8% |
他人 | 541 | 11.0% |
合計 | 4,906 | 100% |
上記の表は、2022年11月に日本少額短期保険協会孤独死対策委員会が発表した孤独死の発見者を表にしたものです。
発見者のうち1番多いのが管理で、次に親族と続いています。親しい関係者が多いように見えますが、親族と友人の割合を足しても約4割にしか届きません。一方、管理や福祉、警察といった職業上の関係者の割合は約5割を占めています。
このことから、人間関係の希薄化が進み、親しい親族や友人を持つ人が減少していると言えるでしょう。
孤独死が発見されるまでの日数
日数 | 全体 | 男性 | 女性 |
3日以内 | 41.2% | 39.7% | 48.1% |
4~14日 | 27.9% | 28.3% | 25.7% |
15~29日 | 14.0% | 14.6% | 11.4% |
30~89日 | 14.1% | 14.7% | 11.6% |
90日以上 | 2.8% | 2.8% | 3.1% |
平均日数 | 18日 | 18日 | 16日 |
上記の表は、2022年11月に日本少額短期保険協会孤独死対策委員会が発表した発見までの日数を表にしたものです。
発見されるまでの平均日数は、全体で18日、男性が18日、女性が16日と調査結果が出ています。また、女性の半数近くは3日以内に発見されており、男性より女性のほうが早く発見されています。
この調査結果から女性より男性のほうが地域や社会から孤立している可能性が高く、男性が孤立しない社会づくりが今後の課題になっていくでしょう。
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親族の孤独死を発見した際の対応の流れ
もし、自分が孤独死の発見者になった場合、どのような対応をとればいいのでしょうか。孤独死を発見した際には、次の3つの対応をとることが大切です。
- 警察へ通報する
- 葬儀社へ依頼をする
- 特殊清掃業者へ依頼をする
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
警察へ通報する
まず、孤独死を発見した際には、警察へ通報しなければなりません。
孤独死は、亡くなった人が何らかの事件に巻き込まれた可能性が想定されます。そのため、警察を呼んで現場検証をする必要があるのです。
事件性がなければすぐに現場検証は終わりますが、警察が来るまでに現場に手を加えてしまうと、かえって警察から疑われてしまう可能性があります。
現場には何も手を加えず、警察へ通報し現場検証が終わるのを待ちましょう。
葬儀社へ依頼をする
警察の現場検証が終わったら、葬儀社の手配をする必要があります。
もし、事前に生前相談をしていれば相談をした葬儀社へ連絡することがおすすめですが、ほとんどの場合は急なことで生前相談をしていないでしょう。
現在では比較サイトで簡単に葬儀社を探せますが、もし探すのが苦手なら警察へ相談することがおすすめです。業務の関係上、警察は葬儀社と関わることが多く、相談すれば地元の葬儀社を紹介してくれることがあります。
特殊清掃業者へ依頼をする
葬儀社の手配と平行して、孤独死の現場を清掃してくれる特殊清掃業者への依頼を進めましょう。
孤独死の現場は清掃が遅くなるほど汚れや臭いがこびりつき、落ちにくくなります。そのため、依頼が遅くなるほど清掃に時間がかかり、費用もかさんでしまうのです。
特殊清掃業者を探す場合は、比較サイトを利用することがおすすめです。比較サイトを利用すれば地域から絞れるほか、利用した人の口コミも見られます。利用者の声を参考にしながら、お住まいの地域に対応した特殊清掃業者を見つけましょう。
業者へ依頼後の流れについては、以下の記事で解説しています。
孤独死する人の特徴
孤独死をする人には次のような特徴が見られることが多いです。
- 高齢者の一人暮らし
- 経済的に困窮している
- 持病がある
- 内向的な人
- 家族と離れて暮らしている
なぜ、このような特徴があると孤独死をしてしまうのか、詳しい内容を見ていきましょう。
高齢者の一人暮らし
高齢者の一人暮らしは、体調に異変が起きた際に周囲の人に気づいてもらえず、孤独死をしてしまう場合があります。
夫婦や子どもと同居している高齢者は、体調に異変があった際に気づいてもらいやすく、すぐに病院へ搬送してもらえるでしょう。
一方、一人で暮らしている高齢者は、異変があっても周囲に人がいないことで、なかなか気づいてもらえません。そのため、そのまま自宅で亡くなってしまい、孤独死を迎えてしまうことがあるのです。
持病がある
持病がある人は、急激に体調が悪化することで孤独死につながってしまう場合があります。
糖尿病や慢性腎臓病などのさまざまな基礎疾患を持っている人は、コロナなどの感染症にかかることで体調が急激に悪化することがあります。
もし、家族と一緒に暮らしていればすぐに救急車を手配してもらえますが、一人で暮らしていると何かあった時に助けてもらえません。
そのため、助けを呼べず、そのまま病死して孤独死に至ってしまうのです。
内向的な人
内向的な人は周囲の人と関わることが少ないことで地域社会から孤立してしまい、孤独死をしてしまう場合があります。
内向的な性格だと、興味や関心が自身の内部へ向かい、周囲の人とコミュニケーションを取ることを好みません。そのため、周囲の人と関わる機会が少なく、地域社会から孤立してしまうことがあります。
地域社会から孤立してしまうと、万が一、自宅で亡くなってもなかなか周囲の人に気づいてもらえません。その結果、発見が遅れてしまい、気づいたときには異臭が周囲に漏れ出すような凄惨な現場へなっていることがあるのです。
家族と離れて暮らしている
進学や大学などで家族と離れて暮らしている人は、何かあっても親へ相談しづらく、孤独死を迎えてしまうことがあります。
大学などの進学をきっかけに一人暮らしを始めた人のなかには、思いがけず大学に馴染めない人がいるでしょう。そのまま学校や地域から孤立をしていると、孤独感に苛まれて心を病んでしまう場合があります。
すぐに親へ相談できれば孤独死へつながることはありませんが、離れて暮らしていると相談しづらく、そのまま思い詰めてしまうことがあります。その結果、自ら命を絶ち、孤独死をしてしまう可能性があるのです。
孤独死に備えた対策
ここまで孤独死をする人の特徴を解説しましたが、そのような人でも次の3つの対策をとれば孤独死を避けることができるかもしれません。
- SNSの活用
- 見守りサービスの利用
- サービス付き高齢者向け住宅の利用
それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。
SNSの活用
SNSを活用して日頃から連絡をとるようにしておけば、遠方に暮らしている場合でも異変に気づきやすく孤独死の対策になります。
家族や親戚と離れて暮らしていると異変があった時に気付けず、孤独死につながってしまうことがあります。しかし、日頃からSNSを活用して連絡をとっていれば、連絡が途絶えることですぐに異変に気づけるでしょう。
具体的なおすすめのSNSは、LINEやFacebookです。LINEは気軽に家族や親戚と電話やメッセージを送れますし、Facebookは遠方に住む友人とやり取りをするのに向いています。
これらのSNSを積極的に導入していくと、孤独死を迎える可能性が下がるでしょう。
見守りサービスの利用
高齢でスマートフォンの利用が難しい場合には、見守りサービスを利用するといいでしょう。
見守りサービスとは、離れて暮らしている家族に代わり高齢者を見守りしてくれるサービスです。このサービスは種類があり、カメラなどの機械で見守るサービスや、スタッフが訪問する訪問サービスなどがあります。
具体的には、対面で見守ってほしい場合は訪問サービスを、24時間見守ってほしい場合にはカメラなどの機械を通した見守りサービスがおすすめです。希望する見守りの内容に合わせて、サービスを選ぶようにしましょう。
サービス付き高齢者向け住宅の利用
お金に余裕がある人は、サービス付き高齢者向け住宅を利用することをおすすめします。
サービス付き高齢者向け住宅は、安否確認や生活相談といった生活サービスから身体介護やリハビリなどの介護サービスまで行ってくれる高齢者向けの住宅です。
各部屋には異常を知らせる緊急ボタンがついているほか、住宅によってはスタッフが24時間在中しているため、何かあった時にはすぐに対応してくれます。
住宅ということもあり費用がかかるデメリットはありますが、金銭的に余裕がある人や介護が必要な人は、このサービスを利用するといいでしょう。
まとめ
孤独死の特徴や原因からわかる通り、孤独死は全世代で発生している問題であり、いつ自身が孤独死と直面しても不思議ではありません。
孤独死を他人事だと思わず、発見したらすぐに警察を呼ぶなどの対応や、SNSの活用などの孤独死を防ぐ対策を学んで行動に移すことが大切です。