遺品整理は自分でも行えますが、事前に必要な知識を知らないと遺産分割の際にトラブルへ発展する可能性があります。
また、始めるタイミングや進め方も後の手続きに影響してくるため、よく考えなければなりません。
本記事では、遺品整理を自分で行うコツやタイミング・進め方などについて解説します。
本記事を読むことで、必要な知識を身に着けられるので、遺品整理を自分で行う人は参考にしてください。
記事監修者プロフィール
遺品整理士歴10年、これまでに5,000件以上の遺品整理や特殊清掃に携わる。手がけた遺品整理で発見された貴重品のうち、お返ししたタンス預金の合計だけでも3億3千万円にも上り、貴金属などの有価物を含むと5億円近くの金品を依頼者の手元に返して来た。
遺品を無駄にしないリユースにも特化。東南アジアへの貿易を自社にて行なっており、それに共感を覚える遺族も非常に多い。また不動産の処分も一括で請け負い、いわるゆ「負動産」を甦らせる取り組みにも尽力して来た。
一般社団法人ALL JAPANTRADING 理事
一般社団法人家財整理相談窓口会員
一般社団法人除染作業管理協会理事
宅地建物取引士(日本都市住宅販売株式会社代表取締役)
株式会社RISE プロアシスト東日本
代表 仲井
遺品整理を自分で行うメリットとデメリット
遺品整理を自分で行う場合、次のようなメリットとデメリットが考えられます。
メリット | デメリット |
費用をおさえられる・片づけを通して気持ちを整理できる・最後まで遺品を丁寧に扱える | 手間や時間がかかる・精神的な負担がかかる・重要な物を処分してしまう可能性がある |
メリットとデメリットに分けて、それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。
メリット
先述しましたが、自分で遺品整理を行うメリットは次の3つです。
- 費用をおさえられる
- 片づけを通して気持ちを整理できる
- 最後まで遺品を丁寧に扱える
費用をおさえられる
自分で遺品整理を行えば、業者へ依頼した時に発生する費用をおさえられます。
遺品整理業者へ依頼すると、どうしても費用が発生してしまいます。費用は部屋の大きさや遺品の量によりますが、おおよそ3万円から高いと数十万円もかかってしまうでしょう。
しかし、自分で遺品整理を行えばこれらの費用をおさえ、処分費用や梱包費用などの最低限の出費で済みます。葬儀費用などで出費がかさむなか、高ければ数十万の費用をおさえられるのは、大きなメリットでしょう。
片づけを通して気持ちを整理できる
自分で遺品整理を行うと、遺品を自分の手で処分することで気持ちを整理できます。
遺品のなかには故人との思い出が詰まっている大切な品があるでしょう。それらの処分を他人に任せると処分した実感が持てず、気持を引きずってしまうかもしれません。
あえて自分の手で処分することで、遺品に込められた思い出と向き合い、気持ちを整理できます。遺品整理が終わるころには、晴れやかな気持ちになっているでしょう。
最後まで遺品を丁寧に扱える
自分で遺品整理を行うことで、大切な思い出の品を最後まで丁寧に扱えます。
遺品をどれだけ大切に思っているかは、当人にしか分かりません。他人には価値がないような遺品でも、自分にとっては価値がある場合があります。
そのような遺品を他人に任せると、価値が分からないことで粗雑に扱われる可能性があるでしょう。
自身の手で遺品整理を行うことで、大切な品を最後まで丁寧に扱えます。
デメリット
先述しましたが、自分で遺品整理を行うデメリットは次の3つです。
- 手間や時間がかかる
- 精神的な負担がかかる
- 重要な物を処分してしまう可能性がある
手間や時間がかかる
自分で遺品整理を行う場合、処分する遺品が多いと手間や時間がかかってしまいます。
遺品整理は部屋が狭かったり荷物が少なかったりすれば、手間や時間はかかりません。
しかし、部屋数や遺品の量が多いと、片づけるのに手間や時間がかかってしまいます。
もし、遺品のなかに相続や税金の手続きに関わるものがあれば、期限までに遺品整理を終わらせなければなりません。
時間に余裕がない場合は、遺品整理業者へ頼むほうがいいでしょう。
精神的な負担がかかる
自分で遺品整理を行うと、大切な品を自分の手で処分することで精神的な負担がかかる場合があります。
メリットで片づけを通して気持ちを整理できると解説しましたが、なかには自分の手で処分をすることにストレスを覚える人がいるでしょう。
遺品に思い入れがあるほどストレスは強くなり、心に傷を負う場合があります。
関連記事:遺品を捨てられない原因と捨てる方法
ただでさえ、大切な人を亡くして心に傷を負っている状態です。つらいようなら業者などほかの人の手に委ねましょう。
重要な物を処分してしまう可能性がある
自分で遺品整理を行うと、誤って相続や税金に関係する重要な物を処分してしまう可能性があります。
遺品のなかには、資産価値があるものや通院していた病院の領収書など、相続や税金の手続きに関係のある品があるかもしれません。これらの品を処分してしまうと、手続きが思うように進まなかったり、相続の際にトラブルへ発展したりするでしょう。
自分で遺品整理を行う場合は、必ず事前に遺品整理で捨ててはいけない物を調べなければなりません。捨ててはいけない物については、後で解説します。
自分で遺品整理をやるコツ|タイミングと進め方
遺品整理を始めるタイミング
遺品整理を始めるタイミングは、下記の場合であればできるだけ早く始めたほうがいいでしょう。
- 故人が賃貸に暮らしていた場合
- 相続や税金の手続きに関係するものが整理されていない場合
賃貸の場合は借りているだけ家賃がかかります。速やかに遺品整理を終わらせて、無駄な出費をおさえるようにしましょう。
また、相続や税金の手続きには期限があります。手続きに必要なものが整理されていない場合には、早く整理して必要なものをまとめましょう。
故人が持ち家の場合や必要なものがそろっている場合は、焦る必要はありません。ほかの家族や親族と協力しながら、自分のペースで進めていきましょう。
参考記事:遺品整理は49日前でも問題ない理由|注意点についても詳しく解説
自分で遺品整理をする際の服装
自分で遺品整理をする際は、次のものを着用して作業をするのがおすすめです。
- 汚れてもいい服
- マスク
- スリッパ
- 軍手
遺品整理をしているとホコリやカビで服が汚れたり、床に落ちている物を踏んでケガをしたりするおそれがあります。汚れてもいい服を着て、ケガをしないようにスリッパや軍手を着用しましょう。
また、長く家を空けていた場合、ホコリが積もっている可能性があります。ホコリを吸うとアレルギーが発症するおそれがあるため、必ずマスクをして作業しましょう。
遺品整理の進め方を順番に解説
自分で遺品整理を行う場合は、次のような手順で進めていくといいでしょう。
- スケジュールを立てる
- 必要なものと不要なものの分類
- リサイクルに出す品の選別
- ゴミの分別
- 処分・清掃
①スケジュールを立てる
片付ける部屋や遺品が多い場合、遺品整理は1日で終わりません。どの部屋をいつから片付けるのかスケジュールを立てて、計画的に進めていきましょう。
また、遺品のなかには資産価値が高い品など相続に関係する品があるかもしれません。勝手に処分するとトラブルに発展する可能性があるので、みんなで集まれる日に作業を行うようにしましょう。
参考記事:亡くなった人の衣類の処分時期|事前準備や処分方法を解説
②必要なものと不要なものの分類
遺品整理の当日は、まず必要なものと不要なものの分類から始めましょう。
必要なものに分類されるのは、後述する遺品整理で捨ててはいけないものを参考にしてください。
また、不要なものに分類されたものは後でまた確認するので、ひとまずは大ざっぱに分けていきましょう。
③リサイクルに出す品の選別
必要なものと不要なものに分けたら、次は不要なもののなかからリサイクルに出す品を選別しましょう。
小物ならともかく、家具や家電など大きい物を処分すると費用がかかります。できるだけ費用を抑えるためにも、リサイクルへ出すのがおすすめです。
また、選別することで重要な物を処分しようとしていないか、最後に確認ができます。見落としのないように、一つずつ確認しましょう。
④ゴミの分別
リサイクルに出すものを選別したら、ゴミの分別をしましょう。
ゴミの分け方はお住まいの地域によって違います。もし、分別を間違えると、ゴミを回収してもらえないおそれがあるでしょう。事前にホームページや電話などでゴミの分別方法を調べることが大切です。
⑤処分・清掃
ゴミの分別が終わったら、あとは処分して清掃するだけです。
処分はお住まいの地域によってルールが異なるので、事前に調べてルールを守るようにしましょう。
また、故人が賃貸に住んでいた場合、入念に清掃することで敷金の返済が多くなる可能性があります。窓や天井など部屋の隅々まで清掃して、原状復帰を心がけましょう。
遺品整理で使用するもの
遺品整理では以下のものを使用します。作業を始める前に準備しておきましょう。
- 段ボール・マジックペン
- 解体道具(ドライバー・ペンチ・はさみなど)
- ごみ袋
- ロープ
- 台車
- 運搬用の車
特に遺品の量によっては段ボール、ごみ袋を大量に使用するため、この2つは多めに用意しておきましょう。
また、台車や運搬用の車は大きい家具や家電を運ぶ時に使用します。もし、大きい遺品がないようなら、準備する必要はありません。
遺品整理で捨ててはいけないもの
遺品整理で重要な物を処分してしまうと、相続や税金の手続きの際にトラブルへ発展する可能性があります。特に、次の5点は処分しないように気をつけましょう。
- 資産価値があるもの
- 思い出の品
- 身分証明証
- 年金関係の書類や手帳
- パソコンやスマートフォン
それぞれの項目にどんなものがあたるかは、以下の記事で解説しています。誤って処分しないよう、遺品整理の前に必ず確認してください。
遺品の処分方法
処分する遺品はゴミへ出す以外にも、次のような処分方法があります。
- 供養に出す
- 売却する
- 寄付する
- 業者へ依頼する
どんな処分方法なのか、それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。
①供養に出す
1つめは、供養に出して処分する方法です。
供養は寺でお焚き上げ(燃やすことで天へ還す儀式)を行います。
なお、引火性があるものやプラスチックなどの有害物質が発生するものは、お焚き上げできません。
供養に出す前にどんなものがお焚き上げできるのか、ホームページや寺に問い合わせて確認しましょう。
②売却する
2つめは、リサイクルショップやメルカリなどで売却する方法です。
遺品のなかには衣服やCD、本などまだ使える品があるでしょう。このような遺品は売却することで現金を得られるほか、環境保全につながります。
もし、遺品が多いようなら出張買取などを利用して、上手に売却しましょう。
③寄付する
3つめは、施設や企業に寄付する方法です。
施設や企業によっては遺品の寄付を受け付けています。寄付の先には学校や図書館といった施設があり、社会貢献につながるでしょう。
ただし、施設や企業によって受け付けている品が違います。寄付をする場合には、どの施設がどんな品物を受け付けているのか、事前に調べるようにしましょう。
④業者へ依頼する
4つめは、遺品回収業者へ依頼する方法です。
これまでいくつかの処分方法を解説しましたが、遺品をそれぞれの方法ごとに分けるのは時間や手間がかかります。
その点、遺品回収業者へ依頼すれば一括で遺品を処分してくれることで、速やかに作業を終えられるでしょう。
業者へ依頼することで費用が発生するデメリットはありますが、手間や時間がかからないので忙しい人や時間が取れない人にはおすすめの方法です。
【関連記事】
遺品のベッドの処分は引き取り業者に頼んだほうがいい?おすすめの業者も解説
遺品のタンスの処分はどの引き取り業者に頼む?業者の選び方ついても解説
遺品整理業者に依頼する際のポイント
ここまで自分で遺品整理を行う方法を解説しましたが、なかには遺品整理業者へ依頼しようと考えている人もいるでしょう。
ここでは遺品整理業者に依頼する際の重要なポイントを、選び方・遺品整理の流れ・料金相場の3つに分けて紹介します。業者への依頼を検討している人は参考にしてください。
失敗しない事業者の選び方
遺品整理業者のなかには、作業が終了した後に高額な費用を請求したり大切な品を無断で処分したりする悪徳業者がいます。そんな業者を選ばないためにも、以下のポイントを意識することが大切です。
- 遺品整理士の資格を所持しているか
- 口コミに問題はないか
- 見積もりの内容が明確か
- 作業現場を見て見積もりを出してくれるか
- 事前にどんなケースで追加料金が発生するのか説明してくれるか
- 作業実績はあるか
- スタッフの対応に問題はないか
業者を選ぶ際は、これらのポイントに該当するか、チェックをつけながら進めるといいでしょう。
遺品整理サービスの流れ
業者へ依頼する前にどのような流れで遺品整理サービスが行われるのか、知っておくと流れが分かって安心できるでしょう。依頼を受けた後は、次の流れで進んでいきます。
- ヒアリング
- お見積りの提示
- 作業日の打合せ
- 当日作業
- 室内の確認
ヒアリングは下見もかねて作業する家で行い、現場を確認した後は業者からお見積もりを提示され、依頼主が了承すれば作業日を取り決めます。後は当日に作業を行い、最後に依頼主が室内を確認して納得すれば、作業は終了です。
料金相場
最後に、遺品整理にかかる相場を把握しておけば、見積もりを提示された際に金額が相場通りなのか分かるでしょう。プロアシストでは、下記の費用でお客様にご案内しています。
お部屋の間取り | 作業人数目安 | 料金 |
1R/K | 1名 | ¥25,000~ |
1DK | 2名 | ¥60,000~ |
1LDK | 3名 | ¥100,000~ |
2DK | 3名 | ¥120,000~ |
2LDK | 4名 | ¥150,000~ |
3DK | 5名 | ¥180,000~ |
3LDK | 5名 | ¥200,000~ |
4LDK | 6名 | ¥250,000~ |
※簡易清掃費・養生作業費・仕分け、梱包費・搬出作業費・運搬車両費・廃棄物処理費・現場出張費含まれています
※消費税、家電リサイクルに掛かる料金は含まれておりません
なお、作業人数は荷物の量やお住まいの階、駐車場の有無などにより変わります。上記の表はあくまでも目安なので参考程度にしましょう。
遺品整理ならプロアシストにお任せ
遺品整理業者のなかには、後から高額な費用を請求してくる悪徳業者がいます。そのため、自身の目でしっかり見極めて、信頼できる業者に任せることが大切です。
プロアシストでは、遺品整理士の資格を持ったスタッフが在籍しているほか、事前に無料で作業現場までうかがってお見積もりを提示します。事前に現場をしっかりと確認することで追加費用が発生することはありません。
遺品整理にお困りなら確かな作業実績を持つプロアシストにお任せください。
まとめ
遺品整理は自分で行えますが、時間や手間がかかったり、重要なものを処分したりするおそれがあります。そのようなデメリットやリスクを回避するには、遺品整理業者へ依頼したほうがいいでしょう。
もし、自分で遺品整理を行う場合は、必ず事前に捨ててはいけないものを調べることが大切です。そのうえで、物件の退去や手続きまでの日数などを加味して、綿密にスケジュールを立てて計画的に作業を進めていきましょう。